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第三章 【王国史】
3-198 東の王国2
しおりを挟むそんなことが続き、二人は相当気が滅入っていた。
二人は気分転換に村の外へ出ようということになり、森の中を歩くことを決めた。
そこで、運命が変わる出来事が起こる……
村から少し離れた森で、そこで生息している自然の恵みを採取していた。
ここは、二人が偶然に発見した場所で目当ての野草はその場所に群生していた。
この場所は誰も知らず、二人だけの秘密の場所でもあった。
今回目当てにしている”ライナム”と呼ばれる珍しい花は、咲いてしまうと苦くて食せない。
その前のつぼみを摘んで火を通すと甘い味がして、塩をまぶすと甘辛になって大人の味覚にも合う一品となる。
二人は、次々と湿った草の下に埋もれるつぼみを摘んで腕に下げている籠の中に入れていく。
その嬉しさに二人は、先ほどまで頭の中にこびりついていた嫌なこともすっかり忘れて機嫌良くなっていた。
そして二人は、森の奥の方へと目当てのものを探し更に進んでいく。
突然目の前に、緑の絨毯で敷き詰められた薄暗い広場に出た。
その暗さは心地の良い薄暗さをしており、目の中に入る光もちょうど良い光量が保たれている。
「え……なにここ?」
「この森の中に、こんな場所があったなんて……」
二人はその広場の入り口に籠を置き、緑の絨毯の上を歩いていく。
見上げれば、重なりあった木々の枝についた葉の隙間からキラキラと光が溢れる。
エイミとセイラはただ口を開けて、不思議な初めて見る光景に取り込まれてしまっていた。
すると、その場に変化が起き始めた
形のない光は、やがて粒となって形を成していく。
気付くと二人の周りには、雪のような白い光の粒が二人に降り注ぐ。
エイミとセイラは顔を見合わせて、その驚きを確かめ合った。
浮かれた二人は、手を取り、腕を組んでクルクルとその場を回り始めた。
「「あははははははっ!!」」
楽しそうな二人の声がこの広場に響き渡る、白い粒もその周りをクルクルといっしょに回っている。
はしゃぎ疲れた二人はその場に、大の字を作り寝転んだ。
森の木々からは変わらず、光の粒子と白い粒が降り注いでくる。
エイミとセイラはほぼ同時に、目を閉じてその身体を自然の中に委ねた。
「ねぇ……セイラ」
「ん、なあに……?」
「私たち、いつまでも”一緒”……だよね?」
「何をいまさら……当然でしょ?」
同じ時にこの世に生まれ、同じ時間を過ごしてきたもう一人の自分の存在。
先にこの世に出てきたため、”姉”と”妹”という差を付けられてしまった。
そのためいつも頑張っているエイミが可哀想に思えていた。
眠る時など、二人だけになる時にはそんな差は気にしていなかった。
お互いが同じ存在であり、助け合うものだと思っていたから。
それに近年では、後継者に対する問題も出てきている。
本人たちの意思とは関係のないところで……
二人は心を安らかにできる存在がいた、ほとんど同じ生き物である双子の姉妹だった。
容姿だけでなく、考え方や行動までそっくりのため二人は実の親以上に相手のことを信頼していた。
もし相手に伴侶ができた場合は、それはそれで素直に祝福するつもりでもあった。
相手が誰を、どんな理由で選んだのかも興味を持つことにもなるだろう。
だからこそ自分たちが納得のいく相手、それぞれが認めた相手であって欲しいとお互いが願っていた。
それが、もう一人の自分の”幸せ”だと信じていたから。
二人はまた同時に目を開けると、先ほどと同じような風景が目の中に入ってくる。
「……!?」
二人は、ほんの些細な異変に気付いた。
白い粒が、自然の落下とは異なる軌道で落ち始めたことに。
「エイミ……これ!?」
「うん……なんだろうこれ!?」
二人は驚いて上半身を起き上がらせ、キョロキョロと周りに浮かぶ白い粒を見渡す。
エイミは掌を上にして、その白い粒を乗せてみた。
雪のように溶けていく、白い粒は手に触れても冷たくはなかった。
セイラも真似をして、同じように掌の上に乗せてみる。
すると、一粒だけいつまでも解けない粒があった。
その粒はやがて、意識を持ったかのようにセイラの周りを飛び回る。
つい先ほどまで重力に従って落ちていたものが、それに反して浮上までしている。
エイミの方にも、同様の動きを見せる白い粒が現れ始めた。
しかも、二粒も残っていた。
その二粒も、エイミの周りを自由に飛び回っている。
「な……なに、これ?」
「分からない……初めてよ、こんなの」
二人は自分の周りを飛び回る白い粒に視線を囚われたままだった。
最終的には、セイラにももう一つ白い粒が追加された。
いつまでも回る粒に見とれていると、いつの間にかそれ以外の白い粒が落ちてこないことに気付いた。
そして二人の周りをいつまでも回っていた白い粒も、身体を挟んで対称的にらせんの動きで上昇して頭の上で姿を消した。
「何だったの……一体」
「夢でも見てたのかしら……」
そういうと、セイラはエイミの腕を摘まんでみた。
その痛さにエイミは夢じゃないことに気付き、赤くなった摘ままれた個所を擦る。
二人は念のためこのことは内緒にしようと決め、近くに置いていた籠を持ち村に戻ることにした。
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