問題が発生したため【人生】を強制終了します。 → 『精霊使いで再起動しました。』

山口 犬

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第三章  【王国史】

3-114 ドワーフの町を離れて

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「それでは、みなさん準備はいいですか?」



ステイビルが、ハルナたちに声をかける。



「サナさんも、ゆっくりでいいですからね」

「大丈夫ですよ!この山は、ほとんど知り尽くしていますから」







ハルナたちはいよいよふもとの町に戻ることにした。

数日間ドワーフの町に滞在し、これからのことを調整してこれからの話の大筋がまとまった。
後は当初の予定通り、実務担当者を東の国から送り引き続き話し合いを行っていくこととなった。







「それでは皆様、サナのことをよろしくお願いします」

「サナ、ちゃんとステイビルさんのいうことを聞くのよ!?」



「もぅ、うるさいなぁ。わかってますって……ブンデルさんもいるから安心よ!」





何が安心なのか全く分からならないが、ブンデルはイナとサナにひきつった笑顔でうなずいていた。







「それではイナ殿ニナ殿、大変世話になった。近いうちに信頼のおけるものを寄こすので、引き続きよろしく頼む。それと、困ったことがあれば、遠慮なく相談してほしい」




「お心遣いありがとうございます、ステイビル王子。それでは、道中お気をつけて」


「いってきます!!」







サナは見送る二人の姉と、デイム、ジュンテイに手を振った。






草木の中を進む一行は、すぐにその姿が見えなくなる。
イナは、その方向をいつまでも見送っていた。










「私、こういう旅って初めてなんです。すごくワクワクしますね!」

「でも、浮かれすぎないでね。魔物とか凶暴な動物とかも出てくることがあるから、気を付けてね」






エレーナの忠告に一応返事はするが、サナの気持ちは風船のように浮かんでいるのが傍から見て取れる。

だが、それは当然だろう。
今まで外の世界を触れたいという気持ちがあったが、様々な制約でそれが叶わなかった。
いまはしばりつける制約も無くなり、自由に行動ができるようになったのだから。







そんな心配をよそに、何の問題も起きずにハルナたちは山のふもとが見える場所まで降りてきた。

そのまま、村となった集落の入り口まで到着した。








「ふー、やっと着いたね」


「お疲れさまでした、それでは一度屋敷の方にいきましょう」








サナがきょろきょろと落ち着きのない様子で、周りを見渡す。
人間の住む場所は、初めて見たのだった。








「おい、サナ。置いていかれるぞ、早く」

「え?あ、はい!」








ブンデルの声に気付くとハルナたちはもう先の方へ歩き、ある家屋の中へ入っていった。







「ハルナさん!みなさん!おかえりなさいませ!!」


「マーホンさん、ただいまー。元気にしてました?」


「何をおっしゃってるんですか?まだ数日しか経ってませんよ?」







マーホンは、ハルナの顔を見て安心した。
その後ろに、ドワーフの町に出発する前にはいなかった人物を見かけた。







「ハルナさん……その方は?」


「え?あぁ、この方はドワーフのサナさんです。今回一緒に行動することになったんですよ」


「私、ドワーフの町で長老のひとりを務めておりましたサナと申します。よろしくお願いします」







マーホンはサナの姿を見て、固まっていた。








「マーホンさん?どうかしたんですか?」


「え?……いや、ドワーフの方なんですね。は、初めまして、マーホン・エフェドーラと申します。お見知りおきを」






マーホンは、ハルナの呼びかけに空想の世界から現実に引き戻された。



マーホンは、サナの小さくてかわいらしい姿に見とれてしまっていた。
いまマーホンの頭の中では、様々な服装を着せ替えていかにサナの可愛らしさが引き出すことができるかに、すべての想像力が費やされていたところだった。







「皆さん、お戻りになられてたと聞き安心しました!」





そういって部屋に入ってきたのは、カイヤムとポッドだった。







「わざわざすまないな、ポッド殿。どうだ?問題は起きていないか?」


「問題など、ありえません。モレドーネからの支援も継続的にいただいており、水の精霊使い様のおかげで水の問題も助かっております」





そういって、ポッドはこの村がまた以前のような活気が戻りつつあることを喜びステイビルに伝えた。





「ブンデルさんに教えてもらった場所に、貴重な薬草も見つけることができました。もちろんお約束通り、すべて採ったりはしませんよ。必要な量だけいただきました」






カイヤムも薬草師として、自分の利益だけを追及するという行為が愚かであることは理解していた。
森の中に住んでいる者たちとも共存することは、この村の目標の一つとなっていた。








――バン!





そこに、ひとりの男が部屋の中に飛び込んできた。






「ポッドさん、大変だ!入り口の近くの倉庫で事故が起きた!!」


「なんだって!!」






ポッドは部屋を飛び出して、その現場へと急いで向かった。
ハルナたちも何かできることはないかと、ポッドの後を追って走っていった。







場所は、モレドーネからきた物資を町の入り口に保管する倉庫だった。
ある程度の高さがあり、高く積めるように造られていた。



その高さが仇になり、荷物が全て崩れ落ちてきてしまっている。

近くでは一人の女性が、がれきの中に入ろうとして周りの者に止められていた。






「アナタ、アナタ!あぁ、誰か……誰かうちの人を助けて!あの下にうちの人が!!」












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