問題が発生したため【人生】を強制終了します。 → 『精霊使いで再起動しました。』

山口 犬

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第三章  【王国史】

3-109 確認2

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「ですが、私たちはサナを町の外へ出すことは許さないでしょう。そう、サナがバカな考えを忘れてくれれば、またいつも通りの私たちに戻るのです……ねぇ、サナ?」





「――ちょっと待ってくれ!?」




今まで黙っていたブンデルが、立ち上がって突然声を荒げる。






この場の視線が、一斉にブンデルに向けられる。
その視線の中にサナの視線もあり、ブンデルも一瞬サナの方を見てイナたちに視線を戻した。








「……どうかなされたのですか?エルフ殿」







イナはこちらを睨むような視線でみるブンデルを、ワザと名前では呼ばなかった。







「確かにお前たちのいうこともわからないでもない……だが、一人のドワーフとしての意見はどうする!?このままこの町に縛り付けられたままで本当にいいのか?サナは……サナの人生はどうなる!?この町が変ろううとしているなら、そこに住むドワーフたちも変わらなくってどうするんだ!」








イナは、表情を変えずにブンデルの言葉を聞いているが、その目の中には明らかにブンデルに対して良くない感情が浮かんでいる。

その言葉を聞いたニナは、発言がいったん終了したことを確認しブンデルに告げた。






「何を勝手なことを……あなたが何故エルフの村を離れて今ここで過ごされているのかはわかりませんが、私たちは集団で暮らしています。ドワーフの町での長老という立場は、その住民を守ることでありその手本となるべき立場でもあるのです。その者が好き勝手な行動をとれば、秩序がどのようになるかは……あなたもそのくらいのことは、少し考えればわかることでしょう?」






「ぐっ……」







ブンデルは自分の立場を思い出した。
エルフの村から逃げ、自分勝手で自由に過ごしている。




エルフの村の中では、期待されることなどなかった。
それよりも、自分はこの村に居てはいけないといった空気を常に感じていた。
それは誰が言ったわけでもないが、自分に対する周囲の接し方や態度からそうであると信じ込んでしまっていた。


そのため、ブンデルは協力して何かを成すといった経験がない。



だが、集団の上に立つということは容易ではないことは想像に難しくない。

理想は持っているが、あくまで自分が集団に入った時の妄想レベルを超えていなかった。



実際に集団をまとめてきた、さらに言えば町に存在する敵対し合う二つの派閥を管理していた長老となると、その実績や判断力はかなりのものだろう。





ブンデルにしてみれば、ここで引き下がってはいけない気がしていた。
しかしドワーフの正論に対して反論する術もなく、余所者のエルフが他の種族のしきたりにまで首を突っ込んでいい話ではない。
かといって、このまま引き下がるのはかっこ悪くもあり、待ったをかけたサナを助けてあげたいという最初の気持ちが嘘になりそうな気がしてしまうのが怖かった。






「……何も言うことがないみたいね。ステイビル王子たちはいかがですか。この件に関して何か、発言したいことはございますか?」





ニナの言葉に、ステイビルは首を横に振る。




「わかりました……では、そちらのエルフ殿はいかがでしょうか。まだ何かございますか?」




(くそっ……)




ブンデルは何か言い返したいが、口に出せる言葉が浮かんでこない。


こういう時には、ステイビルのような交渉スキルがあればと思うが、魔法の効果のようにすぐ望めばすぐ現れるものでもない。
それは、長い時間をかけて知識と駆け引きを事前と身に付けていくべきものだと悟った。


今ここで、そのスキルがないことを嘆いても状況は何ひとつ変わらない。




ブンデルは何か言葉素を口にするために息を吸っては、そのまま何もなく息を吐き出す。
思いつくこと全てが、説得力に乏しい者しか浮かんでこなかった。







「何もなさそうですね。それでは……」



「お待ちなさい、ニナ。あのエルフの者に聞きたいことがあります」






イナがニナの言葉を制し、最終決断が一時的に停止された。





「あなたは、サナをこの町の外に出すこと決定することに異議を唱えましたね?その理由は、サナ自身の将来の決定が、本来はその個人にあると主張しました。サナや私たち姉妹は長老という公共の立場にもありますが、個人という存在も確かに持ち合わせています」




ブンデルは、イナの発言の意図がどのようなものなのか現段階で汲み取れず、自分自身の中を全て総動員して一字一句逃さず聞いている。
もしかすると、その中にこの状況を逆転させるべきものが見つかるかもしれないと信じて。





「更にあなたは、こうも言いました。”この町が変るなら、ドワーフ自身も変わっていく必要がある”……と」





イナは上の場所から階段を降りて、ステイビルたちと同じ高さの位置に来た。





「わたくしはその言葉にも、一理あると思いました」




「え?……だったら」




「お待ちなさい。まだ楽観するのは早計ですよ、エルフ殿」




そうして、イナはブンデルの傍まで近寄った。
ハルナもその様子を、息を呑んで見守る。




「ブンデルさん。個の発言や決定にはそれぞれ責任が伴うものです、それは我々も同じ境遇にいます。このことを言い出したサナにも責任がありますし、当然あなたにも」




「……」





イナは目を閉じて、誰も聞こえない声で何かをつぶやいた。





「さぁ、ブンデルさん。教えてください、サナを町の外に出した時に何かが起きた時……もしサナが町を出て戻れなくなった時、あなたはこの”責任”をどのように取るおつもりなのかしら?」











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