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復讐実行の章 ※センシティブな内容となります
41:母として、女として
しおりを挟むコレットは、軟禁されている部屋に来た医者を見上げていた。
ジスランの所に行くには早い時刻。
全裸でベッドの上に座っているコレットを見て、魔女は眉間に深い皺を寄せる。
「またひとり遊びしてたの?ジスランもだけど、貴女も大概マリーズの体が好きよね」
マリーズの体になったコレットは、前夜をなぞるように全身に触れるのが日課になっていた。
最初は吐き出された残滓を掻き出す行為だった。
自分の為に吐き出されたのでは無い欲を嫌悪しての行動だった。
それがいつの間にか、記憶の上書き行為に変わった。
頭の中で「マリー」と甘く呼ぶ声を「コレット」に置き換え、前夜の行為を思い出しながら全身を愛すのだ。
自分には大き過ぎる胸も、細い腰も、気付かない振りをした。
「元に戻すわよ、コレット」
魔女はぼんやりと中空を見ているマリーズに向かい、施されていた魔法の解除をした。
人より大きかった胸は縮み、平均以下の大きさへと変わる。
心身共に、約半年ぶりにコレットへと戻った。
「あ、あぁ……!」
コレットは小さい胸を揉み、涙を流した。
それが自分に戻れた喜びなのか、ジスランにマリーズとして抱かれる事が終わった安堵なのか、ジスランの本気の愛に触れる事が無くなった悲しみなのか、コレット自身にも判らなかった。
「服を着……いや、どうせ脱ぐからもう良いわ。どうせうちの弟子はアンタなんか見ても欲情しないし」
魔女はコレットの手を引いて、弟子とコレットが待つ部屋へと向かった。
マリーズは、二人のコレットを見ながら、ただ佇んでいた。
ソファに座るコレットと、ベッドの上に居るコレット。
どちらも見えて、どちらからも遠い距離。
どちらのコレットも、マリーズを見ても反応を示さなかった。
視界に入っていても、認識していないように感じる。
「では、貴女の子供を戻すわよ」
コレットをベッドの真ん中へ弟子に放らせて、魔女はニヤリと笑って手をかざした。
「え?何?いや、痛い……痛い痛いイタイイタイ、いぎゃあぁあああぁぁぁ!」
コレットが悲鳴を上げる。
獣の咆哮のような声を上げたのは魔法使いと同じだったが、その後は言葉にならない金切り声へと変化した。
魔法使いは、急にバチリと意識が覚醒した。
自分の体を確認する。
真っ平らな腹に、平坦な胸。
下半身には存在を主張するモノが見える。
脂肪の少ない、骨ばった体。
男にしては貧弱な体だが、今は妙に懐かしく感じた。
体を起こし、違和感を感じたが、それはすぐに霧散した。
横に寝ている女の裸を見て、変な親近感を感じて首を振る。
妊婦の全裸に欲情する特殊な性癖は持ち合わせていない。
臨月間近な妊婦なのに、全身に散っている鬱血痕に呆れと、若干の忌避感を感じた。
部屋を見回すとベッド上の妊婦以外に人は居ないようだった。
なぜ裸の妊婦が放置され、その横に自分が寝ていたのか。
全然記憶が無い。
いや、下も見えない程膨らんだ腹を見た気がする。
女の金切り声が聞こえたような?
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