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色々やったので、初心にかえろうと思います

539:お約束?

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 急遽決まったカレーパーティー?祝賀会?慰労会?
 まぁ、とにかく飲み会だな。
 黄金週間イベント不参加の人達も多く参加しているから、単なる飲み会の位置付けが正しいのかもしれん。
 カレー用にご飯を炊くのは、俺と山茶花さざんかの仕事だ。

 久しぶりに会った山茶花は、相変わらずけしからんスイカの持ち主だ。
 米をとぐのにブルンブルンと揺れ……ん?料理スキル使えば、下処理は一瞬だよな。
 わざとか!

 そしてやはり久しぶりの燕と三条は、大鍋でカレーを作っている。
 芋煮会鍋程ではないが、それなりに大きな鍋が3つ……現実リアルではラーメン屋でしか見た事無いような、バカデカい寸胴鍋。
 これは当然、工房からの持ち込みである。良いよな、必要な道具を自作出来るって。

 そしてカレーの種類は、俺の作成予定だった夏野菜カレーと、誰のリクエストかチキンカレー。それとカレールーではなく香辛料で作る本格的なカレーの3つらしい。
 香辛料を鑑定したら、シナモン、ナツメグ、ターメリックなど俺でもギリ名前を知っているものから、クミンやらコリアンダー、ガラムマサラなどの謎香辛料までたくさんあった。
 因みにターメリックは(ウコン)とあったので判ったが、ターメリックだけだったら謎香辛料に分類されていただろう。


 野菜を切るくらいは手伝おうとしたが、女性陣に排除された。
 そう。排除だ。
 今回は中身女性で外は男性の【愛でるもの】のメンバーも参加である。
 その中の獣人灰色熊グリズリーのハイネに、まるで幼子が高い高いをされるかのように掴まれ、ガルムの背中に乗せられたのだ。

「お野菜提供してもらうんだもの。あちらで前菜でもつまんでて」
 ウフフ、と笑ったクイーンが怖かった。
 料理スキルがなくても色々と手伝えるらしく、ココアや紫蘭も料理に参加している。ハイネもか。



 前菜を作っているのは、シアラである。
 その横で甲斐甲斐しく手伝っているのは、夫のリイド。人狼とリザードマン(鰐)の夫婦は見ていて怖い。
 そしてこき使われているリコンスが娘に見えるのが可笑しい。

「働け~リコンス」
 ガルムソファで寛ぎながら、リコンスに声を掛ける。
 右手にはビールだ。
「うるさいわね!アンタも手伝いなさいよ!」
 リコンスが叫んだ瞬間、シアラの尻尾がリコンスを咎めるかのように叩く。

「早くこれを持って行って」
 ドスの効いたシアラの声に、俺までビビったのは内緒だ。
 渋々従ったリコンスが運んで来たのは、チーズ揚げワンタンの皮バージョンと、同じく中身枝豆バージョン。
 テーブルの上には、俺作のちくわ巻きや、シアラの糠漬けも並んでいる。

 女性陣に追いやられた者達は、皆各々おのおの好きに飲み始めており、既に飲み会が始まっている感じだ。
 俺の両脇はレイとオーべがおり、レイの横がジルド、オーべの横にはユズコが居る。
 工房のオッサンや目黒や名取、爺さんタカアシガニや綺羅の料理出来ない組も一緒に居た。

 ここに居ない斗苫斗的は少し離れた所で咲樹と何やらやっている。
 隣のテーブルには、ミロを含む【spinnengewebeシュピネンゲヴェーベ】がかなりのハイペースで飲んでいる。
 まだメインのカレーは調理中なのだがな。


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