ほんわりゲームしてます Ⅱ

仲村 嘉高

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黄金週間

第524話:魔王決定(知ってる)

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《魔王が決定しました》

 うん、知ってる。俺だよな。

《とても強いので、異界人プレイヤーの皆様は、本当に本当に本っ当に!頑張ってください》

 おい、ワールドアナウンス。
 俺に喧嘩売ってるのか?

《魔王には、鬼強おにつよな従魔がたくさん居ますので、覚悟を持っていどんでください》

 もうこれ、悪意しか無いだろう。
「凄いね~。もう、魔王倒せない前提でのアナウンスだ~」
 オーべが笑いながらタダムネをペチペチ叩いている。
 硬い良い音がする。
「これは、ヴィンに攻撃が向かないようにしないと、また大惨事になるな」
 ジルドが真剣な顔で言うが、頭の上のヨミのお陰で台無しだ。
 ヨミちゃん、頭に乗るのはジルドでもレイでも良いのか?
 そしてジルド。「また」言うな。

「魔王なのに、攻撃されないって不可能だろうが」
 思わずツッコミを入れてしまったが、間違った事は言っていないよな?
「隠します。全力で」
 レイが格好良い台詞を口にしているが、シズカを抱きしめて顔を埋めながらだから、説得力は皆無である。


「あれ~?神様(仮)からメール来た~」
 オーべがウィンドウを開きながら首を傾げる。
「クラン宛だ~」
 オーべがクラン責任者だから、オーべに来たのだろう。
 俺以外の四人がオーべの所へ集まる。

「うははははははは!」
 楽しそうに笑いだしたのはユズコだ。
「は?」
 怖い……凄い低音の声を出したのは咲樹。最近キャラ崩壊して素が出てるぞ。
 まぁ、仲間内だけかもしれないが。

「いっそこれを了承して、内側から崩壊させるか?」
 ジルドはヨミを頭に乗せたままだからか、背筋を伸ばしたまま、視線だけ下げてオーべのウィンドウを見ている。
「僕は銀狼になってでも、ヴィンの所へ残ります」
 何やらおかしな事を言っているのはレイだ。顔も声も怖いが、その手は優しくシズカを撫でている。
 もしや俺ではなく、従魔達と敵対したくないのでは?

「まぁ、普通に拒否るよね」
 オーべが無表情で画面操作している。
<魔王が屈強くっきょう過ぎるゆえ、クランの了承が有れば配下は無しになる、との提案をされたようである>
 メールを見て来たタダムネが報告してくれた。



 魔王城の簡単な地図が発表された。
 1番高い位置には、当然玉座の間がある。
 その一つ下の階には、該当クランが控える配下の間。
 その下は黄金魔物達が居る迷路というか迷宮ダンジョンらしい。
 幻想世界ファンタジーワールドにもダンジョンってあったのか。

 ここで新たな黄金魔物も出るらしい。
 黄金ハナ蟷螂カマキリとか、黄金スズメバチとか、見てみたい。
 こっそり俺もダンジョン攻略に参加しては駄目だろうか?
 駄目だろうな。くそぅ。

 どうでも良いけど、配下の間が広いな。
 これはもしや、あの大規模クランが配下になる前提で設計されてるな。
「これは広すぎて対応難しいから~、ピリリとハナサンも有りにしてくれないかな~」
 オーべが魔王城の見取図を見ながら何やらポチポチしている。
 神様(仮)へのメールだろうか。

 これ以上戦力強化してどうするのだろうか、とは言わないでおこう。
 ピリリとハナサンが参加になったら、うちの爬虫類組も喜ぶだろう。うん。


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