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黄金週間

第522話:報酬と褒賞?

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「は~い。今回の対人戦闘PvPで黄金が1.5倍になりました~」
 オーべが報告をしてくる。
 ここは、中立地帯にあるクランの仮拠点だ。
 PvPが終わったので、逃げるように帰って来たのだ。
 実際に逃げた。

 終了のアナウンスが聞こえた後、元居た場所に転移されたので、そのまま仮拠点へと一目散だった。
 まだ怒りが収まらないらしいガルムだけはあらぬ方向を見ていたけど、そっちの方向に相手が転移されたのかもしれない。
 もう終わりましたよ~試合終了ですよ~と言ってもガルムには、こちらの都合でしかないのだろう。

 とりあえず、攻略組の俺を攻撃した人は、二度とガルムの前には現れないで欲しい。
 本来従魔は住人NPC異界人プレイヤーも傷付ける事は出来ない。
 ただ、圧迫や衝撃等は全てでは無いが伝わるので、ガルムの本気攻撃は……うん、死ぬな。


「あら?黄金はお互いの8割を掛けるって話じゃなかったかしら?」
 咲樹が首を傾げ、どこか不満そうな声を出す。
 俺が思考の海に潜っている間に、話が進んでいたようだな。

 PvPの掛け率は、最高で100%だ。因みに最低は10%
 最後の魔王戦は負けても黄金が減らないらしいが、普通のPvPでは負ければ掛けた分が相手にいく。
 ん?魔王だけは減るんだっけ?まぁ、それは今は良いか。

 とにかく、今回はクランの持ち黄金の8割と決めたはずなのに、黄金が1.5倍とはこれ如何いかに。
「攻略組の最大クランが、たかが六人のクランより黄金所持量が少なかったということですね」
 レイ、辛辣しんらつ過ぎる。

「割合ではなく、金額にすれば良かったな」
 確かに。ジルドの言う事も一理ある。しかし、まさかあちらの方が黄金量が少ないとは誰も思わなかった。
 なにせ、クラン員数が違うからな。



「よし、ガルムと四天王の座を掛けて勝負だ!」
 なぜかユズコが嬉しそうに、満面の笑みで言う。脳筋に拍車が掛かってないか?
<我も参加するよ!>
<おれも!>
<きゅきゅ!!>
 神話兄弟リルとムンドが参加したら、それだけで大惨事の未来しか見えない。
 そしてヨミちゃんは、なぜこの面子めんつなのに参戦しようと思うのだろうか。

<楽しそうなので、拙者も参加しよう>
 やめろ。状況を悪化させようとするな、タダムネ。
<……毒は?>
 駄目に決まってるだろう、テラ。
 そもそも毒を許したら、ムンドの方が強い毒を持っているはずだろ。

「従魔同士の戦闘バトルは駄目だからな」
 これがクランならば、敷地内のクルクル回る遊具での勝負とかで決着がつくのだがな。
 綱引きとかだと、明らかにヨミやテラが不利だし、相撲も同じだろう。


「あぁ、またあれが良いのではないですか?」
 良い事を閃いた!とばかりにレイが投げる真似をする。
 あぁ、あれか。
 魔物果物オッサンキャッチ。
 確かにあれならば、ユズコも参加出来る……って、おい。なぜ、お前まで獣化した、レイ。

「私が投げてやろう」
 やる気満々で肩を回すジルド。
「身体強化してあげるわね!」
 なぜかこちらも、やる気の咲樹。
「とりあえず~、みんな~戦闘フィールドに行くよ~」
 止める気無いのか、引率のように手を上げて歩き出したオーべに、従魔達が続いて歩き出した。

 あれ?俺、了承してないよな?


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