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黄金週間
第514話:たまる、たまる
しおりを挟むリコンスが俺の視界に入るようにクルクルと回っており、まるでバレリーナのように金のふわふわスカートが広がる。
多分何か言って欲しいのだろうが、興味が無いからスルーだな。
「ちょっと!何か言いなさいよ」
綺麗にピタッと回転を止めたリコンスに、思わず拍手をしてしまった。
満更でもない顔をした後、そうじゃなくて!と地団駄を踏むリコンス。
コメディか?
「これ!リコの初めての作品なの!」
あぁ、そうなのか。
綺羅がリコンスに頼まれて作ったのかと思っていた。
「頑張った?な」
疑問形になったのは、服飾は全然知識も経験も無いから、どれくらい凄いのかが解らないからだ。
「これ、素材も凄いんですよ」
綺羅がリコンスのスカート部分を指差す。
「ヒラヒラの透けてる素材は、妖精の羽って呼ばれる素材で普段は虹色ですが、ここでは金色なんです」
あ~見た事あるなぁ、虹色の方。
その後、綺羅が延々と素材の話をしていたが、ヨミとネルを両腕で抱えて、二匹の背中に顔を埋めて聞き流した。
その後、戦闘フィールドへ行く度に、パーティーバトルを申し込まれた。
明らかに記念PvPなので、時間制限で受ける事にした。大抵は3分だ。
死亡ペナルティが有るのに、リルの炎を受けてみたい、とか、ガルムの斬撃を受けてみたい、とか言う特殊性癖の方々は、他のパーティーメンバーが良いなら、との条件で受けた。
一人だけ攻撃など面倒だから、広範囲攻撃しか出来ない事にしたのだ。
黄金週間が半分を過ぎた頃、俺の黄金量は凄い事になっていた。
魔物や魔獣を倒した分はクランとして登録出来るのだが、パーティーバトル分はパーティーの物になる。うちの場合は、俺一人しかいない。他は従魔だからな。
装備を補強や補充する必要も無いので、黄金が減らない。
むしろ綺羅や斗苫斗的や爺さん、今回はリコンスまで素材を欲しがったので、素材と黄金の交換で更に黄金が増えた。
無償提供は、同じクラン内でしか出来ないシステムだった。嫌がらせか?
目の前で敵――黄金蜥蜴が黄金と肉に変わった。
因みに仕留めたのは、プーリである。
頭と尻尾を鷲掴みして、上空から急降下して地面に叩き付けてた。
「足は大丈夫か?」
プーリに聞く。掴んだまま地面に激突してたからな。
何が?と言うように、首をクルンと傾げられてしまった。
<プーね、つよいこなの>
怪我が無いなら良いです。
うちの子達は良い子なので、瀕死状態のモンスターを俺の傍に持って来る。
遠くでアイテムになってしまうと、取りに行くのが大変だ、という気遣いだろう。
倒した敵の大きさ自慢では無いはずだ。
優しさのはずだ!
ヨミちゃんの角に刺さってるのは成金兎かな~?兎の体、半分地面に引きずってるよ?
水牛位ある兎を、中型犬位のヨミが角に刺して運んでいるシュール。
リルが咥えて来たのは何?金色のプテラノドンに見えるのだが?
ムンド?お前は絡んでるのか、絡まれてるのか?黄金蛇の首を咥えている。
タダムネは背中に黄金鯉を載せている。
シズカが両手で黄金亀を抱えて来たのには、少しだけほっこりした。
それが黄金色したカミツキガメみたいな凶悪な姿でも、それがグッタリと瀕死でも、小さいというだけで俺は安心する。
<あのね~大きい虎倒したけどね~、運べないの~>
テラから念話が届いた。
いや、もう、お願いだから、皆様、少しは自重してくれませんかね。
────────────────
ええ。皆様の予想通りです(笑)
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