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黄金週間

第513話:勝敗決着

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 阿鼻叫喚。
 多分、合ってる。

 シアラが投げる。にこやかなオッサン顔の魔物果物。
 早い者勝ちなので、うちの子達の視線は魔物果物へ釘付けだ。
 だからうちのメンバーを足蹴にするし、着地点が【愛でるもの】のメンバーの上だったりする。

 しかもシアラが面白がって、被害が広がりそうな所へ狙って投げている。
 テラやタダムネがキャッチすると意外と平和だが、プーリの場合は羽ばたきによる風圧で何人かが転がる。

 あ、タダムネのサイズが大きくなったな。
 鯉のぼりの1番大きいの……真鯉だったか。あのサイズになり、なぜかキャッチする時にわざと尻尾を振って風をまき起こしている。

 どうやら新たにゲームとして、キャッチする時にどれくらいの人数を転がせるかを従魔達の中で競っているようだ。
 転がす権利は、魔物果物をキャッチしたもの限定のようだな。
 でもヨミちゃんのキャッチした瞬間に周りに雷を落とすのは反則だと思う。
 他の皆は、キャッチする時の動きと攻撃を連動させているからな。


 俺の傍には、ソファになっているガルムと、回復職のユキとバフ系のネルが控えている。
 箱から取った魔物果物をシアラに手渡しているリイドが、合間を縫ってユキとネルにもしっかりと食べさせている。
 やはり気遣いの人だな。
 見掛けはリザードマン(鰐)だから怖いけどな。


「あぁ、魔物果物が無くなりましたね」
 リイドが空の箱を見せてくる。
「それなら終わりで良いか」
<参加しているもので、食べていないものはおらぬからの>
 ガルムも賛成してくれたので、良いだろう。

「はい、終了ー!」
 俺がゲーム終了を告げた瞬間、対人戦闘PvPも終了となった。
 え?まさか、俺が降参した事になっているのか?
 ……と、心配したら、相手方の八人中六人が戦闘不能になった為に終わったようだ。
 無事なのは、シアラとリイドだけって事か。


「いやあ、楽しかった!」
 お前、最後はなぜか魔物果物争奪戦に参加してたよな、ユズコ。
「おおぉぉおぉ、硬いね~!」
 自分の身長よりも大きい鯉のぼり……ではなく、タダムネに頬擦りするオーべは、ちょっと気持ち悪い。

「うわぁん、結構黄金素材注ぎ込んだのにぃ」
 嘆いているのは、リルに剣を溶かされた喜亜羅だ。その横で本気でへこんでいるのはハイネだな。
 普段なら弁償とか賠償とか提案するのだが、イベント内の黄金の無償提供は不可になっている。

 そもそもこちらがPvPの勝者なので、あちらのクランは賭けた黄金が取られてしまうわけだ。
 お友達価格だから、最低金額に設定されているけどな。



 中立地帯へと戻ると、アルラウネを抱えた斗苫斗的と、金色のふわふわな服を持った綺羅が入り口の見える所で待っていた。
 ん?爺さんタカアシガニも居るな。
 今回は不参加かと思っていたが、遅れて参加したのか。

「あ、やっと帰って来た」
 昭和のアイドルのようなふんわりした花のようなワンピースを着ているリコンスが、大きく手を振りながら走って来る。
 まさかお前、また変なアイドルプレイ始めたのか?



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