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黄金週間

第512話:対人戦闘始まる(ほぼ戦ってない)

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「え?ちょ、待って!痛い痛い痛い痛い」
 遠過ぎて声しか聞こえないが、おそらく……いや、誰だ?
 野太いオネェ口調なので、ハイネかココアか。獣人兎のファラはここまで野太く無いと思うけど、判らん。

 <ムンドが締め上げておるな>
 ガルムには見えるらしい。
「相手は誰だ?」
 <名前は知らぬが、盾を持っておったエルフだな>
 クイーンか!普段は少し高めの声だが、あれは作ってたのか。

「えぇ~戦ってよぉ。ルチルぅ、火を吐くのよ、火!ローズも突撃!」
 紫蘭の声が聞こえる。
 無理矢理従魔にしたわけではないので、命令に強制力はあまり無いのか?
 俺の場合は止める以外した事無いからな。
 とにかく紫蘭の従魔達は、戦いを放棄しているようだ。

「ルチルー!ローズー!オヤツだぞ!」
 おぉ!凄い勢いで走って来たな。
 いや、お前達は呼んでない……オヤツで釣ったのは間違いだったか。
 うちの従魔も大集合してしまった。


「おや、向こうは戦闘中止になったな」
 ガギンと重い音をさせながらユズコが言う。
「あら本当ね」
 重い音の正体は、ココアの正拳突きだ。ユズコが力を入れた腹で受け止めたのだ。
 楽しそうだな、脳筋達よ。

「ちょっと!この剣の性能検査頼まれてるのに」
「あたしだって、この大剣の……」
 喜亜羅とハイネが文句を口にした瞬間、リルがゴッと青白い炎を吐き出した。二人の剣の刃が青白い炎に包まれ、握っていた柄だけを残して溶け落ちた。

 <これで終わりだね。炎に弱い>
 いやいやいや。お前の炎がおかしいのは、さすがに俺でも知ってるからな?
 ちゃんと相手してあげなさい、リル。


「まぁ、想定内?」
 俺の横で緑茶を飲んでいるリイドが呟く。いつも思うけど、鰐の顔で上手く湯呑みから飲むよな。
「あ、人参の糠漬け食べる?」
 シアラがインベントリからタッパを取り出した。

「あれ?そういえば、シアラは職業料理人だったよな。なぜ対人戦闘PvPに参加出来ている?」
 人参の糠漬けをポリポリ食べながら、シアラへと質問をする。
 お互い緊張感の欠片も無いし、これをPvPに参加していると言って良いのかは謎だが。

「第二職業で槍使いを取ったからな」
 似合う。凄く似合う。
 けど、なぜここで緑茶を飲みながら、糠漬けを食べているのだ、シアラよ。
 そして、人狼ワーウルフなので、やはり湯呑みで茶を飲んでいる姿が違和感しかない!

「まぁ、槍使いと言っても、槍を投擲してしまうので、近接戦には向いていないのだがな」
 シアラが肩をグルングルン回して見せる。普通に腕力で近接戦闘出来そうだな。



 うちで1番跳躍力があるのは、リルか?
 ガルムかもしれないが、俺の傍から離れるとは思えないから除外だ。
 ヨミも兎だし跳ぶよな。

 テラは跳躍ではないけど、ドラゴネットだから飛ぶスピードは速いだろう。
 飛ぶと言えば、プーリも大分大きくなったし、本気を出せば速いかもしれないな。
 ダークホースで、タダムネも有りか?謎の生物バハムートだ。

 まぁ、何をしようとしているかと言うとだな。
「シアラ、これを思いっ切り投げてみてくれ」
 インベントリから箱ごと出したのは、ニッコリ満面の笑みのオッサン……ではなく、魔物果物達。

「今からシアラがオヤツを投げるからな!早い者勝ちだぞ!」
 うちの子達を戦闘へ戻す作戦である。
 魔物果物を追い掛けて、敵に体当たりくらいは喰らわせるだろう。
 身内も巻き込むかもしれないが、まぁ、それも良いイベントの記念だろう。


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