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黄金週間
第511話:予定調和の輪
しおりを挟む「相変わらずのイベントクラッシャーだな」
ジルドが掲示板を眺めながら言う。
「やはり虫の情報はありませんね」
レイもウィンドウを開いているのは、ジルドと違うイベント掲示板を見ているのだろう。
現実黄金週間1日目を終わり、クラン所有の黄金を、仮拠点にしている借家のリビングへと出してみる。
虫は素材を落とさず、完全に黄金のみなので、とんでもない量が床を埋めた。
本当に終盤に黄金集めの為に倒す敵な気がしてきた。
普通は、素材集めて武器や防具を強化するのがイベントの醍醐味だよな。
もっとも俺の中のゲームは、VRMMOどころかMMOですらなく、コントローラーを持ってやる漫画家やイラストレーターがキャラデザやった有名RPGで止まっているけどな。
「はぁ~い注目~!」
皆で黄金を積んだりして遊んでいたら、オーべが手を叩いて皆の視線を集める。
「クラン戦闘を申し込まれました~!」
いやいやいや、楽しそうに言う事か?
「相手は【愛でるもの】で~す」
「身内かよ!」
思わずツッコミを入れた俺は悪くないと思う。
「ヴィンが嫌がるだろうから、『殺さず』で毒禁止ね~」
<えぇ~>
オーべの説明に不満の声を上げたのは、テラである。
いつもおやつを貰ってる相手に毒を食らわせる気満々だったのか?
俺は知っている。
陣笠羽虫が集まっている所にテラが毒霧を吹き付け、ドロドロに溶かしてしまった事を。
イベントフィールドだと毒が世界に影響が与える事を気にしなくて良いと判明したので、手加減無しで毒を使っている事を。
それで充分だろう?
「こんにちはぁ」
仮拠点にしている借家へ、来客。
「クランバトルの打ち合わせに来ました」
現れたのは、ココアとハイネと斗苫斗的と綺羅とリコンス。
黄金で足の踏み場が無いので、急いでインベントリへしまう。
「凄い入るね!さすがテイマー」
生産職も同じ位入るだろ?
そういえばリコンスの職業知らないな。
「クランバトルって、もっと殺伐としてるんじゃないの!?」
出された緑茶片手に、タイ焼きを齧りながらリコンスが聞いてくる。
緊張感が無いのはお前も同じだ、馬鹿者。
「だってぇ、打ち合わせしないで何でも有りにしたら、アタシ達なんて瞬殺よ?」
ココアはうちの従魔とPvPした事あるからな。経験談だ。
「そうよ!あたしの盾なんてムンドのシッポの一撃でオシャカよ」
ん?ハイネは戦った事無いよな。
俺の視線に気付いたハイネが口を尖らせる。
現実なら可愛いのかもしれないが、今は獣人灰色熊の雄だからな。
「個人PvPは断られちゃったのよね」
あぁ!あれはハイネだったのか。
「従魔は攻撃力無いはずなのに、衝撃だけで盾が真っ二つに折れ曲がるのよ!」
なぜ喜ぶ。確実に喜んでいる顔だ。
それにしても従魔はPvPでなければ傷付けられないって嘘だな。
衝撃だけでも人を殺めそうだ。気を付けよう。
※※※※※※※※※※※※※※※
その頃、神様(仮)が現実の画面の前で、「想定内!今回のイベントは、貴方の規格外の力を予想して組んだので大丈夫ですから!ドンと来い!」と言って高笑いしていた。
その横で同僚も「たくさん黄金を集めるが良いのです」と不気味に笑っていた。
───────────────
黄金週間、毎日更新を目指していましたが……駄目でしたぁ(T^T)
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