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黄金週間
第510話:無敵、強敵、素敵
しおりを挟む敵が虫だった件。しかも黄金虫。
黄金虫が黄金になりましたとさ。めでたしめでたし。
日本昔ばなしならば、ここで終わって平和なのにな。
<拾ってきた~>
テラが俺の手に載るサイズの黄金を持ってきた。
<プーも!プーもひろったの!>
プーリが両足に1つずつ鷲掴みで持ってきて、俺の前でホバリングする。
これは、後ろにガルムが居なければ、後ろに吹っ飛ばされてコロンコロンとローリングしてたな。
テラから黄金を手渡されると、フォンと目の前に選択肢が出る。
〈この黄金はどうしますか?
[個人][クラン]〉
俺は本能的に[クラン]を選んでいた。
選択肢が出るという事は、更に新たな展開になる可能性が高いからだ。
一度選択したからか、プーリから受け取っても選択肢は出なかった。
その後、シズカやネルまで参加してチマチマと拾ってくる。
俺が取りに行った方が遥かに早いのだが、俺に黄金を渡すと頭を撫でて貰える!というお約束になってしまったようだ。
可愛いからやるけどな!
〈対人戦闘を申し込まれました〉
今度はPvPだと?誰だ。
<主!変なのに剣向けられてる!>
ムンドかい!
「帰って来なさい」
ムンドヘ帰還命令を出す。
見渡す限りムンドの姿は無い。どこまで行ったのか、馬鹿者めが。
相手もフィールドの敵だと思って剣を向けたら、対人戦闘になって驚いている事だろう。
傍に居ないので、PvPは断っておいた。
黄金週間イベントの敵は虫なのか。ちょっと拍子抜け……と思っていたのは俺だけでした。
虫だけではなく、立派な魔獣や魔物が湧いていた……らしい。
見ていないのだから、しょうがない。
これは後で掲示板でレイやジルドが調べてきた情報。
うちは街からそれほど離れずに、近くの大岩を破壊していた。従魔が。
黄金虫の他に、黄金色のダンゴムシも居たな。……大きさを考えるとダイオウグソクムシだな。海中では無いが。
それから透明な部分と金色の部分のある不思議な虫が居た。
鑑定すると陣笠葉虫(黄金)と出た。
どれも物理耐性・魔法耐性があり、異様に強いらしい。
悪友達が楽しそうに狩っていた。
「うおぉぉぉ!殴っても踏んでも無傷!」
「えぇ!?この氷魔法の中で動けるの?」
うん。楽しそうだ。
「剣が刺さらん!」
「蝙蝠が行ける最高到達点から落としたのに!」
うんうん。楽しそう……だよな?
「行かないのか、オーべ」
ガルムソファで寛いでビールを飲んでいる俺の横で、オーべがレモンスカッシュを飲んでいる。
「無駄な事はしない主義~」
無駄言うな。
「言いたくないけど~」
俺からのおすそわけのアメリカンドッグを齧りながら、オーべが虫と戯れる悪友四人を指差す。
「準攻略組のうちのメンバーが一切通用しない虫なんてさ~」
「むふ」
アメリカンドッグを齧りながら返事をしたら、変な声になったがオーべは気にせず話を続ける。
「生産者がここの素材を使って色々作った後にさ~、その武器を使って倒すはずの敵だったんじゃないかなあ~」
そもそも普通は大岩を割らないだろうからねぇ、とオーべに言われ、悪友達が手も足も出ない虫達を、嬉々として黄金に変えている従魔達に視線を移した。
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