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黄金週間
第509話:イベント始ま……え?
しおりを挟む街中でモフモフ達に埋もれる俺を、悪友達はニコニコと見守っている。
【sechs(ゼクス)】が揃っているからか、周りに野次馬も集まっている。
いや、あの白い世界から転送されて来た人達が同じ場所に居るだけか。
「インベントリ内の素材は、使用不可なのか」
ジルドがウィンドウを眺めながら呟く。
既にイベントモードで検証に入っているようだ。
こういう時は頼もしいな。
「あぁ、本当ですね。グレーになっていて取り出し不可です」
レイも同じように真剣な顔でウィンドウを見ている。
こうして見ると、やはり双子だな、と感動する。銀狼と吸血鬼で色味は真逆だが。
「よし!敵を倒しに行くぞ!」
何も考えていないように見えるユズコが、両腕を上に上げて宣言をする。
単なる脳筋に見えるが、実はそれなりに色々考えている……はず。
実は幻想世界では、本当に単なる脳筋キャラかもしれない、と最近は思い始めている。
現実と違って、好きな事だけしていても大丈夫だしな。
「一応戦闘服とかはそのまま使えるのね」
咲樹が戦闘服に着替える。戦闘服だよな?パーティードレスではないよな?それ。
俺はここで好きな事をして、楽しく過ごしている自覚あるけど、こいつも大概だよな。
「あ!居た!良かったぁ」
手を振りながら走って近寄って来たのは、綺羅だ。その後ろには、アルラウネの鉢植えを抱えている斗苫斗的が続く。
あれ?アルラウネはペットだよな。
「あれ~?ペット不可じゃないの~?」
オーべが俺と同じ疑問を持ったのだろう。斗苫斗的に質問をする。
「あっちにペット用の転移陣がありますよ。僕達生産者は中立地帯からは出られないので、戦闘フィールドへ連れて行けるかは判りませんけど」
因みに転移陣は有料です!と付け足して、斗苫斗的は話を終わらせた。
「ペットの事は気になるけど、とりあえず戦闘フィールド行こうか~」
オーべが門を指差す。
扉は無く、外の自然豊かな景色が見える。
いかにも戦闘職!という感じの人達が続々と門の方向へ向かっていた。
「黄金の敵って事は、黄金豚とかかしら」
咲樹が指に光る大玉の黄金真珠を日に翳す。
「イベント特有の敵でしょう~?豚じゃ弱すぎでしょ~」
滅多に持たない杖まで持って、本気モードのオーべが呑気に答える。
本気モードだよな?
「索敵するのは、もう少し異界人が減ってからにするか」
ジルドが周りを見回しながら、肩を竦める。
確かにワッサワッサと戦闘職の人達が溢れているな。
<かいてーん、キーーーック!>
シズカがいきなり跳んで行ったと思ったら、近くにあった大岩に回転踵落としを喰らわせた。
え?何している?シズカよ。
パカンと割れた岩の中は空洞になっており、俺の靴よりも大きな黄金虫が出て来た。靴のサイズは今の俺ではなく、現実の俺の方だ。
うえぇ、キモチワルイ。
綺麗な金色だけど、ワサワサ動いてるのが大量だとなぁ。
<食べられないものは要らないね>
リルが口を大きく開けたと思ったら、カッと青い炎を吹き出した。
灰も残さずに消えた黄金虫。
ええぇぇぇえええ。
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