2 / 38
黄金週間
第507話:本番は明日から!
しおりを挟む討伐系イベントでは無いからか、イベントが始まっていても途中参加が出来るらしい。
まぁ黄金週間前日の告知だから、これで途中参加不可としたら暴動が起きそうだな。
しかし、正月イベントの3日前告知もどうかと思ったが、今回は前日か……。
コンコンコンガチャ。躊躇無し。
「イベント概要見た~?」
「まず返事を待つ事を覚えろ」
相変わらずノックの後に返事を待たずに開ける悪友。今日の犯人はオーべだ。
これを幻想世界だけでなく現実でもやるからな。
一度きっちりとお話し合いをした方が良いかもしれない。
オーべは持参の卓袱台を勝手に出して、急須で麦茶をいれている。
なんでやねん。
そして、俺の言葉は綺麗に無視されている。
自分と俺の前にマグカップの麦茶を置いて、いそいそとウィンドウを開いているオーべ。
もう一度言うぞ。
なんでやねん。
「で、イベントなんだけどね~」
「おい」
「対人戦闘って、普段より人数制限緩くてクラン同士とかも出来るらしいよ~」
「そうか。それは良かったな」
それよりも俺は、普段の態度の事でお話し合いをしたいのだが?
「そんな顔しても可愛いだけだよ~」
俺の機嫌が悪くなっていってるのが解ってて、態とはぐらかしてたな、お前。
オーべの手が俺の頭に伸びてきて……ガルムに叩き落された。
<いい加減にせぬか、うつけ者が>
俺の後ろで大人しくソファになっていたガルムが、執事らしさを発揮してくれた。
さすがガルムだね。惚れる!
<きゅ?>
ヨミちゃん。可愛く首傾げてるけど、体に雷纏うの止めようか。
ノックの件は、もうクセみたいなものなので無理!と開き直られてしまった。
まぁ、俺も本気で困っているわけじゃないからな。現実で一緒に住んでいたら困るかもだが。
「それじゃ話進めるよ~。今回のイベントは、うちのクランは全員参加予定なんだ~」
「へえ……え?」
うちの子達だけでも無敵なのに、悪友達も一緒だと!?
それはオーバーキル確定では?
<何故ペットは戦いに参加できないのでしょうか。ワタクシならば、絶対にお役に立てますのに>
オーべの横でふよふよと浮かんでいるハナサンは、リヴァイアサンらしい自信に満ち溢れていて、中々に恐ろしい台詞を口にしている。
これ以上戦力強化してどうするつもりだ。
「普通、ペットは弱いからね~」
そう言うオーべのもう一匹のペットは火蜥蜴だけどな。
説得力皆無だ。
「あれ?そういえばピリリは?」
その火蜥蜴の姿が見えない。
「なんかね~。【ペットカフェ】の溶岩槽でデートしてる~」
「は?」
「ルチルと~」
あぁ、紫蘭の従魔の火蜥蜴か。
え?デート?飼い主、ペットに負けてないか?
「火蜥蜴の卵は孵化方法が確立されたから、孵化依頼が殺到しているらしいよ~」
ピリリ監修の溶岩槽は、火蜥蜴の卵の孵化場として有名だ。
それにしても、周りを火蜥蜴の卵に囲まれてのデートなのか?色気無いな。
「溶岩槽の中で寝てるだけで~、【ペットカフェ】オーナー達から色々貰えるみたいだよ~」
それは、デートではなく、バイトではないかね?オーべさんや。
329
お気に入りに追加
821
あなたにおすすめの小説
【完結】6歳の王子は無自覚に兄を断罪する
土広真丘
ファンタジー
ノーザッツ王国の末の王子アーサーにはある悩みがあった。
異母兄のゴードン王子が婚約者にひどい対応をしているのだ。
その婚約者は、アーサーにも優しいマリーお姉様だった。
心を痛めながら、アーサーは「作文」を書く。
※全2話。R15は念のため。ふんわりした世界観です。
前半はひらがなばかりで、読みにくいかもしれません。
主人公の年齢的に恋愛ではないかなと思ってファンタジーにしました。
小説家になろうに投稿したものを加筆修正しました。
「お姉様の赤ちゃん、私にちょうだい?」
サイコちゃん
恋愛
実家に妊娠を知らせた途端、妹からお腹の子をくれと言われた。姉であるイヴェットは自分の持ち物や恋人をいつも妹に奪われてきた。しかし赤ん坊をくれというのはあまりに酷過ぎる。そのことを夫に相談すると、彼は「良かったね! 家族ぐるみで育ててもらえるんだね!」と言い放った。妹と両親が異常であることを伝えても、夫は理解を示してくれない。やがて夫婦は離婚してイヴェットはひとり苦境へ立ち向かうことになったが、“医術と魔術の天才”である治療人アランが彼女に味方して――
美しい姉と痩せこけた妹
サイコちゃん
ファンタジー
若き公爵は虐待を受けた姉妹を引き取ることにした。やがて訪れたのは美しい姉と痩せこけた妹だった。姉が夢中でケーキを食べる中、妹はそれがケーキだと分からない。姉がドレスのプレゼントに喜ぶ中、妹はそれがドレスだと分からない。公爵はあまりに差のある姉妹に疑念を抱いた――
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
神に逆らった人間が生きていける訳ないだろう?大地も空気も神の意のままだぞ?<聖女は神の愛し子>
ラララキヲ
ファンタジー
フライアルド聖国は『聖女に護られた国』だ。『神が自分の愛し子の為に作った』のがこの国がある大地(島)である為に、聖女は王族よりも大切に扱われてきた。
それに不満を持ったのが当然『王侯貴族』だった。
彼らは遂に神に盾突き「人の尊厳を守る為に!」と神の信者たちを追い出そうとした。去らねば罪人として捕まえると言って。
そしてフライアルド聖国の歴史は動く。
『神の作り出した世界』で馬鹿な人間は現実を知る……
神「プンスコ(`3´)」
!!注!! この話に出てくる“神”は実態の無い超常的な存在です。万能神、創造神の部類です。刃物で刺したら死ぬ様な“自称神”ではありません。人間が神を名乗ってる様な謎の宗教の話ではありませんし、そんな口先だけの神(笑)を容認するものでもありませんので誤解無きよう宜しくお願いします。!!注!!
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇ご都合展開。矛盾もあるかも。
◇ちょっと【恋愛】もあるよ!
◇なろうにも上げてます。
婚約者に犯されて身籠り、妹に陥れられて婚約破棄後に国外追放されました。“神人”であるお腹の子が復讐しますが、いいですね?
サイコちゃん
ファンタジー
公爵令嬢アリアは不義の子を身籠った事を切欠に、ヴント国を追放される。しかも、それが冤罪だったと判明した後も、加害者である第一王子イェールと妹ウィリアは不誠実な謝罪を繰り返し、果てはアリアを罵倒する。その行為が、ヴント国を破滅に導くとも知らずに――
※昨年、別アカウントにて削除した『お腹の子「後になってから謝っても遅いよ?」』を手直しして再投稿したものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる