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44:気持ちはわかります
しおりを挟む「さぁ、行くわよ!」
私は今、ドラゴンの背中に乗っております。
あの橋を剥ぎ取った子ではなく、かなり小型の子です。
スピード重視の、伝達用に使われる事の多い小型ドラゴン。
「奥様、あまり暴れますと、折角の薬の瓶が割れてしまいます」
一緒にドラゴンに乗っている女性竜騎士が私を窘めます。
別に暴れているわけじゃないのに。
王国に新たに密偵を入れ調べたら、とんでもない事実が判明しました。
あの可愛いらしさしか取り柄のない正妃が火傷を負ってしまったとか。
頭もスタイルも性格も良くないのだから、王太子妃なのにどこも良いところが無くなってしまったではないですか!
適切な応急処置は受けているようですが、今の王国じゃそれ以上の回復は難しいでしょう。
何も取り柄のない人が将来の王妃なんて、国民が可哀想過ぎます。
とりあえず、帝国一の薬師が作った薬を持って王国に行きます!
王宮の庭に着地すると、国王陛下と王妃がいらっしゃいました。勿論、護衛も。
薬を用意している間に先触れを出したのですが、その返事が来る前に直接来てしまいました。
かなり不作法ですが、今回はしょうがないですよね。
陛下は、挨拶だけで戻って行かれました。相変わらずの、事勿れ主義ですわね。
王太子程では有りませんが、彼も愚王に分類されるでしょう。
「私があの小娘に紅茶の入ったポットをぶつけたのです」
正妃のいる部屋に向かいながら、王妃が説明してくださいます。
はい、知ってます……とは言えませんので、「そうなのですね」と相槌を返しました。
「気持ちはわかります」の方が良かったかしら?
絶対に正妃の方に非があると思いますもの。
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