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37:王太子視点4

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「橋が落とされた……だと?」
 隣の国へ行く唯一の通り道だった橋が爆破されただと!?
 暴動か?反乱か?
 焦る俺とは対照的に、ひどく冷静な声で答えが返ってきた。

「爆破したのは、子爵家当主本人です。あぁ、元子爵家でしたか。伯爵家の方は、ドラゴンが運んだので、船での運行はできそうですよ」
 あぁ、こちらも元伯爵家ですね、なんて書類から顔も上げずに言う。相変わらず失礼な態度の側近だ。

「しかし子爵家も馬鹿だな。そんな事をしたら孤立するだけではないか。まぁ、あんな汚い石しか採れない辺境地など、なんの価値も無いがな」

「馬鹿は貴方ですよ、王太子殿下」
 何だと!?さすがにこの発言は許せんぞ!
 怒りで立ち上がった俺の机の上に、ヤツの机の上にあった書類が積み上げられる。

「子爵家はもう帝国領ですから、この国と繋がっている必要はないんです。しかも、帝国からの支援であの厚い岩山にトンネルを通す事業が確定しました」

 何だ?こいつはこんな顔で笑うヤツだったか?

「王国とは完全に縁を切りたかったからこそ、橋を爆破して船が通れないようにしたんですよ」
 何を言っている?何で俺様の国と縁を切りたいなどと世迷言を言うんだ?

「王都から離れている辺境地だと散々馬鹿にされ、鉱物の採掘で上位の税金を納める領なのに、国内での地位は名実ともに低いまま」
 何をしている?何で私物をまとめている?
「それでも前の正妃様がいる頃は良かったんですけどね……
 王太子殿下。私の名前も覚えていないでしょうが、私は殿下達が散々馬鹿にしてきた『汚い石しか採れない辺境地』の次男です」


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