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09:我が国の恥部
しおりを挟む「また新しい宝石を買ったのか!」
この人は、私の顔を見ると宝石の事しか言うことがないのでしょうか?
私が何個宝石を買おうがドレスを作ろうが、この人には一切関係がないのに。
あれから2年近く経つのに、顔を合わせたのはほんの数回です。
他国へ招待された時くらいでしょうか?
自国のパーティーや祭典は、側妃になった愛人が全て参加してますね。
私個人が招待されたパーティーには勿論出席しております。
偶にそこで王太子と側妃に会いますが、普段は会釈して終わりです。
今日は珍しく声を掛けられました。単なる言い掛かりでしたが。
変わらず趣味の悪いドレスと安っぽい宝飾品を身に付けている側妃を見て、これが一国の妃かと呆れました。
宝飾品は、安っぽいのであって安いのではありません。宝石は一流品なのにデザインが安っぽいのです。
つい溜息を吐いてしまいました。
「何かご不満な事でも?」
本日の主催者である侯爵家夫人が声を掛けてきました。
先程の溜息をパーティーへの不満だと取られたのかと心配しましたが、分かっていて声を掛けてきたようです。
彼女の視線がチラリと王太子と側妃を見ました。
「他国の要人を招くパーティーがここ最近開かれていなくて良かったと思っていたところですわ」
結婚の儀以降、他国の要人を招くような大規模な催し物は行われていない。
なので、我が国の恥部は、まだ国内だけにとどまっていた。
我が国の政治部はとても優秀で、政はほぼ宰相や大臣の裁量で決められます。
陛下の仕事は外交と言うか、国の『顔』とか『象徴』であり、言葉は悪いですがお飾りなのです。
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