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30:自分に都合の良い男 ※クズ視点
しおりを挟む王宮デザイナーとかいう女に恥をかかされて、あの女の家から帰って来てからすぐに教会に婚約破棄の破棄を申請したが、既に国王の承認がある上に、あの女はシセアス公爵と婚姻しているので無理だと言われた。
たかが貧乏伯爵家のくせに、公爵と結婚だと!?
地方の狒々爺に嫁ぐ事が決まったんだと思ったのに!
しかもそんなにすぐに結婚が認められるっておかしいだろう!?
あの日、高級レストランで公爵とあの女が親しい様子は無かった。
公爵が変な正義感を振りかざしたせいで、婚約が破棄になり、共同事業が解体になった。
それを恩に着せた、何か裏のある結婚に違いない。
実は公爵が男色だとか、平民の愛人が居て結婚出来ないとかだな!
そうか。
それであの女は、都合の良い妻になったんだな。
それなら最長で3年、最短で1年で離縁されるはずだ。
やはり傷物で戻る事に変わりは無いじゃないか!
そこを俺が引き取ると約束すれば良い。
何だ。計画は変わらないじゃないか。
婚約破棄は覆らないなら、慰謝料だけでも取り消させよう!
司法が払えと言っても、アイツんちが要らないと言えば良いんだろ?
俺が言えば、あの女は絶対に従う。
今までもそうだったんだ。
それなのに!それなのに!!
なぜ、あの女に会えないんだ!!
話さなければ、計画が進まないじゃないか!
今うちの伯爵家は、驚く程に貧乏だ。
まず金が無い。
いや、金庫の中に金は有るのだが、差し押さえられていて使えないのだ。
小銭1枚まで数えられていて、少しでも使ったら即犯罪者となると脅された。
食費は、母親の昔の宝石や、銀食器などを売ってなんとか工面していた。
料理人を雇う金もなく、庶民が食べるような安い料理を買って来て食べている。
惨めだ。
それもこれもあの女の家が、生意気にも共同事業を解体したからだ。
絶対に逆らえない法曹界の首領と呼ばれる男が出張って来たと、父親が顔を青くしていた。
「売上げの1割しか渡して無いのは、絶対にバレる。そしたら今までの4割分は絶対に払わなければ!払えなければ犯罪者になる」
そんな事を父親が言ってるが、うちの商品の売上げなら分ける必要は無いだろう。
「でも、ほら、高級品はうちの商品になってるでしょ?あっちの庶民用の売上げの4割を渡すだけなら、大した金額にならないわよ!」
あぁ、あのうちの高級品の倍位厚みのある庶民用な。
うちのティーカップは、薄くて軽くて、色も少し青味がかった白で美しいんだ。
それを真似したんだろう。
パッと見、形はそっくりだが、横に並べると違いが判る。
アイツんちが偽物を売れないように、うちのボトンブランドには黒い線が入っているそうだ。
そもそも販路を持って無いアイツんちは、うちに頼るしかない。
売れても売れなくても全部仕入れ値は払ってやってたんだ。
それだけでも感謝するべきだろう。
「そうよ!庶民用は安い上に、大した量売れてないわ。輸送手数料だと思えば、4割全額渡さなくても大丈夫よ、きっと」
母親がいかに渡す金額を下げるか、色々と考えている。
まぁ確かに、塵も積もれば山となると言うし、共同事業を始めた時からの差額と考えたら、それなりの額になるか。
とにかく、はやくあの女に会って、慰謝料の取り消しと共同事業の継続を約束させなければな!
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