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姫は美人に決まってる

74:進展?

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 好みは人それぞれ。
 それは、間違い無い。

 でもな、健康を害するほどの肥満を他人に強要したり、嫌がる人に自分の価値観を押し付けるのは駄目だろ。
 と、いうわけで。

「魔法の訓練をします」
 俺が姫様にしてやれる事を考え、身を守る魔法を教える事にした。
 オマールとか言ってる場合じゃないよ、姫様。
〈オマールを唱えたのは姫様じゃなくて、専門の魔術師です〉
 トイレ魔法専門魔術師。ちょっと哀しい。

〈BLの世界では重宝する魔術師だな!〉
 いや、どうしてお前はそっち方面に行きたがるわけ?
〈どの世界にも一定数の需要が有るからですね〉
 ブルータス、お前もか?
〈アートモです〉
〈ガイアだな〉
 知ってるよ。そうじゃなくてだな!

ワタクシも知ってます。ガイウス・ユリウス・カエサルですね〉
 うおぉぉおぉ!俺に味方は居ないのか!
〈姫様、待ってるぞ〉
 あ、はい。
 最近、ガイアとアートモの役割が変わってきてないか?


「大丈夫ですか?」
 姫様に、すっごい怪訝な顔をされてしまった。
 そりゃそうか。
 いきなり頭の横に浮いている青白と緑白の球体を見つめて百面相している男なんて、怪しい以外のナニモノでも無いわ。

「大丈夫です。紹介しますね。これはナビゲーションシステムといって、まぁ色々アレしてくれます」
 頭の横の球を両手で示す。
「それも魔法で浮いているのですか?」
 姫様に聞かれて、俺は首を傾げた。
 気にした事無かったな。

「……多分?」
 あぁ、俺の答えに益々怪訝な表情に!
「あのプールの設計をしたのも、このガイアなんですよ」
 こういう時は、話を逸らすに限るのだ。
 誰よりもプールの恩恵を受けている姫様。
 興味有るでしょ?


 姫様の目ん玉がキラーンってした気がする!
 しまった!有りすぎたよ、興味。
 俺の胸元の服を両手で掴み、自分は爪先立ちになり、俺の服を引き寄せる。
 これがドラマならば、唇にチュッて来るところだ。
 しかし違うんだなぁ。

 顔を近付けた姫様の目は、むっちゃ怖かった。
「あの水が流れるのはどうなっておりますの?坂では無いし、そもそも輪になってますので、高低差関係無いはずですわ」
 グイグイくる姫様。
「教えますから、とりあえず離れてください!」
 姫様の肩を掴んで引き離した。

「あ、すみません」
 頬を染めて離れる姫様は、それだけ見れば可憐かもしれないが、実は苛烈な性格をしているのを知っているからな。
 残念ながら萌えない。
〈規準が萌えって……惚れじゃないのかよ〉
 うるさいよ、ガイア。
 ほら、流れるプールのシステム説明するぞ。



「なるほど。吸い込み口と吐き出し口があって、中で水を浄化するのですね」
 ヤンキー座りしながら、地面にカリカリと絵を描いて説明する。
 同じような格好の姫様が、真剣に地面を見つめている。

 俺の左右には大型犬サイズのシロとラッキー。
 シロの横に姫様が居るのだ。
 そして姫様の横には、なぜか熊兄さんと子熊。
 変な円陣が出来ている。

「あれ?何してんすか?」
 休憩時間になったのか、ラッキーと遊ぼうと思ったらしいアランが大きなボールを手に近寄って来た。

<ボール!>
 ラッキーの興味は既にボール遊びである。
「はいはい。いってらっしゃい」
 立ち上がったラッキーの背中をポンポンと叩き、送り出した。


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