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姫は美人に決まってる
70:結果オーライ!
しおりを挟むはあぁぁぁ~と、肺の中身を全部吐き出されたのでは?という程の、深い深い溜め息をアザトースが吐き出す。
酸欠になりますよ~。
別に秘密保持契約結ぶんだから、多少は良いだろう?
秘密保持契約で、名前が合ってるのか知らんが。守秘義務では無いのだけは、俺も解ってるよ!
つい最近は殆ど青に近かった、アザトースの頭の上の三角形が緑色になった。
え?悪意?悪意が増えたの?
〈俺の仕事を増やしやがってクソ野郎、という感情なので、悪意で合ってると思います〉
解説ありがとう、アートモさん。
ちょっと知りたく無かった情報だけどな。
〈執着してくる好みじゃない女をテリトリーに入れるな、かもしれません〉
えぇ、それは腹黒アザトースでも、ちょっとアレだな……って、しれません?
〈予想です〉
予想かよ!じゃあさっきの『クソ野郎』もか!
〈そりゃあシステムで繋がってるヨッシーならともかく、他人の気持ちなんて判るわけないじゃん〉
なんだろう。ガイアに言われると、正論でもムカつく。
〈差別!〉
〈日頃の行いですね〉
アートモ、君も腹黒とみた。
〈否定はしません〉
おぉう。
〈悪意や敵意、好意や殺意などは判りますが、そこに付随する気持ちまでは判りません〉
まぁ、そうか。ナビだもん、万能では無いよね。
「まぁ、反省してるなら良い」
アザトースが今度は小さな溜め息を吐いた。
どうやら俺がナビ達と会話して無言になっているのを、反省していると勘違いしたらしい。でもそれを訂正するほど、俺も馬鹿じゃない。
とりあえず無言で俯いておいた。
「あの第二王女は、外交の仕事が終わったら屋敷に来る事になった」
アザトースの言葉に顔を上げる。
「何だその顔は」
俺の顔を見たアザトースが変な顔をする。
怪訝な顔って言うのか?
「仕事あったんだ」
思わず呟いた俺に、アザトースの表情が怪訝から呆れに変わる。
「お前は第二王女が何をしに来たと思ってんだ」
いや、それは……まぁ、あはははははは。
ゴメン。男漁りだと最近までマジで思ってました。
「あれ?でも、アザトースが「王女は結婚相手を探しに来る」って言ってたんだよな?」
おい、顔を背けるな。
屋敷に戻った俺とアザトースは、使用人達で用意した姫様用の部屋を確認した。
場所は1階のサロン。
冷暖房完備で、段差の無いユニバーサルデザインなんだぜ。
前にとても良い床材に替えて土足禁止のペットの部屋にした、あの元パーティールームの隣である。
元がサロンだからちょっと窓が多いけど、カーテンは付いてるから良いだろう。
キングサイズのベッドや、どデカいドレッサーも置いてある。
椅子やソファも通常の倍の幅だ。
「よくこのサイズがあったね」
ベッドはともかく、他は普通の家には置いてないよね。
「あ~家具職人のボンドが注文のサイズを間違えたのです。昨日完成して間違いに気付いたので、今日報告する予定でした」
職人を取り仕切っている使用人がパラパラと書類をめくって説明してくれる。
ボンドってあの神経質そうな職人だよね。何か意外な間違いだな。
「あ!語弊がありました!この国と、隣国では長さの単位が違いまして、注文票に単位が書いてなかったのです」
使用人が何かを見て、慌てて付け足した。
あぁ、それは慣れてる単位で作るよね。
「今回はそのお陰で助かったし、結果オーライ!」
俺は親指を立てて笑った。
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