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姫は美人に決まってる
65:無理です
しおりを挟む「無理ですね」
両手を顔の前で合わせて、俺を拝むようにしている王様にキッパリと告げる。
「そこをなんとか!」
片目を瞑ってウインクしながらこちらを見てくるチャラい王様に、もう一度「無理ですね」と断る。
だって、あの相撲取り一団……では無く他国の賓客だった……をうちの屋敷に泊めろとか言うんだぞ!?
ファミレスとか、ワンルームマンションとかタウンハウスとか、うちには守秘義務契約が必要な物が山程有るんだよ!
そもそもお宅の魔術師様が凄ぉく嫌そうな顔してますけど?
「警護兼案内役のボールスが住んでるし、都合が良いでしょ?ね?」
ウインクして首を傾げるチャラ男にイラッとする。
都合が良いのはそちらであって、断じて俺では無い。
もう面倒だしこの国出て、どこかの魔の森とか魔の荒野とか探して移住しようかな。あるのか知らんけど。
今なら奴隷達と一緒に開拓するのも楽しそうだ。
獣人と魔物のもふもふ王国建立!
意外といける気がする。
「あー、ヨッシーが出て行く気満々になってるけど、大丈夫ですかね?陛下」
アザトースが俺の心の機微に気付いたようだ。
いや、あれは俺に託けて、姫を屋敷には絶対に入れないアピールか?
どちらにしても、結果としては同じなので黙っておこう。
「え?あのお屋敷を出てくって事?」
呑気だな、おい。んなわけあるか。
「国を、ですよ」
本気なのかとぼけただけなのか判断のつかない王様へ、アザトースがすっごい冷たい視線を向ける。
あ、凄い焦った表情でこちらへ顔を向けたから、王様は素だったようだ。
「嘘でしょう?そこまでする程あの一団が嫌なの!?確かにちょっと難ありな姫だけどさぁ」
色々失礼だな、王様。
「エンゲル係数高そうだけど、そこはちゃんと国庫から出すから」
ね?とか首を傾げて言ってくるが、ウザいよ。
「問題はそこじゃ無いですからね」
うちのセキュリティ的な何かなんだよ。
「確かに居るだけで鬱陶しいし、場所を取るけどさ。あの屋敷広いじゃんか」
いや、だから……。
「確かに姫はアレだけど、ちゃんとお手当て弾むから!」
執拗いな!
「だからうちはそういう問題じゃなくてだな!」
守秘義務契約の事を説明しようとしたら、廊下へ通じる扉がバァン!と外側から開け放たれた。
「さっきから聞いていれば、お客様に対して失礼じゃないですか!」
扉を開け放ったのはボールスだった。
ボールスの後ろには、姫様達一団の姿も見える。
「確かに姫様はデブだしブスです!」
おぉい!何言ってんの?ボールスさん!!
「居るだけで鬱陶しいし、ホンの少し歩いただけで息遣い荒くなるし、汗流れてるし、醜いですよ!」
いや、誰もそこまで言ってないぞ。
何気にお前が1番失礼だからな、ボールス。
「人を容姿で差別するなんて最低です!」
うん。言ってる事は正しいとは思うけど、誰よりも姫の心を抉ったのはお前だと思うよ、俺は。
ほら、姫様がお前の後ろで下向いてプルプルしてるし。
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