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姫は美人に決まってる

64:美の基準

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 まぁ、まだ来てもいない人間を警戒してもしょうがないし、その姫様が来訪してから色々考えよう。
 もしかしたら、お互いに一目惚れとかして、「運命の恋」とか言っちゃう恥ずかしい相手がこの国で見つかるかもしれないしな!

 しかしその相手は俺では無い(断言)。

 何せ比較的差別の少ない国、日本で生まれ育ったからな。
 人種差別や宗教差別、階級差別もあまり無い国だからな。皆無とは言わないが。
 女性を見たら必ず褒めるお国で育っていたら、きっと俺もモテていた。

<それはどうかしら?>
 足下でひょこりと顔だけを出したシロが俺を見上げる。因みに大きさはサモエドサイズ。
<なんか前に「頓珍漢な褒め言葉なら要らない」って女の人に言われてた!>
 あぁ!ラッキーまで俺の心をえぐってくる!!
 そうだね。元カノにそう言われて「今どき頓珍漢って」って、つい笑っちゃって平手打ち喰らったんだよ。

 悲しい事を思い出させられた俺は、枕を濡らしに行きますよ。
 リビングにしている部屋を出て、自分の部屋へ行こうと階段を登っている途中で、マリンに呼び止められた。

「ヨッシー様。新しく夫婦になった獣人が増えましたので、部屋が足りないようです」
 わかったよ、母さん。
 独り身の俺は、幸せな新婚夫婦の為に新居を作成しますよ。
 ちくしょう。



 今日は王城に来ています。
 不思議ですよね!
 俺は王城勤務じゃないのに、なぜかボールスやアザトース、それに先生……じゃなくて宰相や魔法長と一緒に並んでますよ!

 そして王様の前には、異様な集団。
 相撲取りの巡業ですか?
 思わずそう言いたくなるような一団がいる。そして、それは男女関係無い。
 とても、とてもとても、とぉっても申し訳無いのだが、化粧を落としたら俺には男女の見分けがつかないかもしれない。

 お国柄なのか、男女で服装もあまり変化が無い。全員ハワイのムームーの豪華版みたいな衣装を身に着けてるし、本当に判り辛い。
 いや、オッサンは禿げてたり、髭生えてたりするから、若い人限定か。

 そしてその中心に居る、一際大きなお腹をしている女性?女性だよな?化粧しているのに、断言する自信が持てなくなる風貌の人が、おそらく姫様なのだろう。
 いや、だってね。こ〇亀の両さんみたいなゲジゲジ1本眉なんだよ!?

 美の基準は人種や国によって違う。
 日本でも鶏ガラみたいに細い人が持て囃されていた時期もあったし。
 太い眉が流行ったり、細い眉が流行ったり、アヒル口が流行ったりした。

 1本眉は流行らなかったけどな……。

 この人達の国では、とにかく体に脂肪が付いていて、眉毛が太い人が好まれるのだろう。……多分。
 男性も女性も眉毛の手入れ?ナニソレ、みたいな眉をしている。

 でもどこでも流行りに乗らない人はいるわけで。
 姫様は自分の事は棚に上げ、相手には脂肪と眉は求めていないと見た。

 なぜなら、この部屋に入って来てから、彼女の視線はアザトースに釘付けだ。
 それなりに整った顔のアザトースは、勿論ゲジ眉では無い。
 そして魔術師だから、線が細い。
 顔だけで言えばボールスのが美形だが、姫の好みはアザトースのようだ。



───────────────
前回ヨシツグ(主人公)がボールスに姫抱っこされたのを根に持ってる、とあるのですが、実際にはされていませんでした(笑)

まぁ、本人も勘違いしているという事で
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