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金儲けをしようじゃないか!

59:商売人だね

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「あの白いお店の経営者オーナーの方ですよね?」
 サンスさんがとても商売人らしい、良い笑顔で俺を見る。
 これは、金儲けの匂いがする。
「はい」
 俺も良い笑顔を返す。
〈良い笑顔ってか、それこそ越後屋な胡散臭い笑顔だけどな!〉
 うるさいぞ、ガイア。

「地方で委託販売をするつもりは有りませんか?」
 サンスさんの口角が更に上がった。
 ほほぅ。買い取りではなく、委託とな。売れない商品は容赦無く返品してくるんだろうな。
 オッサン、なかなか商売人だねぇ。

「とても良いお話ですが、まだまだ開店したばかりで店内が少し淋しい位なので、在庫を他所へ回す余裕が無いのですよ」
 わざとらしく苦笑してみせる。
 但し、これは本当の事。
 店頭に各20個も置いておけば充分なのだが、それだとスカスカになってしまうので倍量置いてある。

 在庫は有るし委託販売も嬉しい提案だ。
 買い取りならもっと良かったけどな。
 俺の魔法はほぼ一瞬だから、獣人達が頑張ってくれれば、製品の確保は難しくない。
 でも、ブラックな職場にはしたくないんだよなぁ。
 だけど新しい人を雇うほど、ゴリッゴリに金儲けしたいわけでもない。
 悩みどころだ。


 とりあえず、詳しいお話を聞いてみた。
 どうやらゴルト商会は、地方になかなか太い伝手があるらしい。
 色々な地方の商品を、こちらも委託販売したい。そうすれば、店頭の商品数問題も解決である。
 店の一角をアンテナショップにするのも楽しそうだ。
 地方独特な物とかありそうだよな。

 ちんこカップとか店頭に置いておいて、若い姉ちゃんが手に取ったところでタネ明かしをしたい。
〈変態ですね〉
 アートモに褒められた。
〈褒めておりません。むしろ嫌悪しております〉
 反語だよ!

「ちんこカップは、うちでは取り扱い無いですね」
 どうやら所々単語が口から漏れてたらしく、サンスさんに真顔で返されてしまった。
 アートモの発言より心がえぐられたよ……。



 俺の心が琵琶湖より深く抉られた以外は、とても良い取り引きが出来たと思う。
〈それなら全然問題無いな!無問題モウマンタイだ!〉
 問題無くないだろ!
<ヨシツグ~!お仕事のお話終わった?>
 サンスさんと握手して、ガイアにムカついてたら、足下にラッキーが来てスリッとしてくれた。
 癒される。

 シロも反対足にスリッとしてきた。
 うちの子達が可愛すぎる件。
 お仕事の話が終わったら遊ぼうな!
「そちらは、犬……ですかな?」
 サンスさんの目が、怖い。
 え?何で商売人の目になってるんだ?

〈ハティもスコルも神の孫だからな〉
 それは、何か信仰的なアレですかね?
 いや、その前になぜハティとスコルってバレてるんだ?
 シロにラッキーと呼んでるのに?
〈こちらのサンス・スエヒロさんは、何か特別な目をお持ちのようですよ〉
 それは俺も使う鑑定みたいな?

〈ヨッシー様のは魔法ですが、彼の場合は目自体が特別のようです。但し、性能はヨッシー様の方が上ですよ。良かったですね〉
 何が良いのかわからん。
<何かこのオッサン目が怖い~>
 ラッキーが俺の後ろへと隠れ……られないけどな。小さくなっても、ハスキーサイズだし。
<捨てて来て良いかしら?>
 シロが首を傾げて可愛い仕草で、トンデモナイ事を言う。
 駄目だからな、一応は商売仲間だ。


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