59 / 81
金儲けをしようじゃないか!
59:商売人だね
しおりを挟む「あの白いお店の経営者の方ですよね?」
サンスさんがとても商売人らしい、良い笑顔で俺を見る。
これは、金儲けの匂いがする。
「はい」
俺も良い笑顔を返す。
〈良い笑顔ってか、それこそ越後屋な胡散臭い笑顔だけどな!〉
うるさいぞ、ガイア。
「地方で委託販売をするつもりは有りませんか?」
サンスさんの口角が更に上がった。
ほほぅ。買い取りではなく、委託とな。売れない商品は容赦無く返品してくるんだろうな。
オッサン、なかなか商売人だねぇ。
「とても良いお話ですが、まだまだ開店したばかりで店内が少し淋しい位なので、在庫を他所へ回す余裕が無いのですよ」
態とらしく苦笑してみせる。
但し、これは本当の事。
店頭に各20個も置いておけば充分なのだが、それだとスカスカになってしまうので倍量置いてある。
在庫は有るし委託販売も嬉しい提案だ。
買い取りならもっと良かったけどな。
俺の魔法はほぼ一瞬だから、獣人達が頑張ってくれれば、製品の確保は難しくない。
でも、ブラックな職場にはしたくないんだよなぁ。
だけど新しい人を雇うほど、ゴリッゴリに金儲けしたいわけでもない。
悩みどころだ。
とりあえず、詳しいお話を聞いてみた。
どうやらゴルト商会は、地方になかなか太い伝手があるらしい。
色々な地方の商品を、こちらも委託販売したい。そうすれば、店頭の商品数問題も解決である。
店の一角をアンテナショップにするのも楽しそうだ。
地方独特な物とかありそうだよな。
ちんこカップとか店頭に置いておいて、若い姉ちゃんが手に取ったところでタネ明かしをしたい。
〈変態ですね〉
アートモに褒められた。
〈褒めておりません。むしろ嫌悪しております〉
反語だよ!
「ちんこカップは、うちでは取り扱い無いですね」
どうやら所々単語が口から漏れてたらしく、サンスさんに真顔で返されてしまった。
アートモの発言より心が抉られたよ……。
俺の心が琵琶湖より深く抉られた以外は、とても良い取り引きが出来たと思う。
〈それなら全然問題無いな!無問題だ!〉
問題無くないだろ!
<ヨシツグ~!お仕事のお話終わった?>
サンスさんと握手して、ガイアにムカついてたら、足下にラッキーが来てスリッとしてくれた。
癒される。
シロも反対足にスリッとしてきた。
うちの子達が可愛すぎる件。
お仕事の話が終わったら遊ぼうな!
「そちらは、犬……ですかな?」
サンスさんの目が、怖い。
え?何で商売人の目になってるんだ?
〈ハティもスコルも神の孫だからな〉
それは、何か信仰的なアレですかね?
いや、その前になぜハティとスコルってバレてるんだ?
シロにラッキーと呼んでるのに?
〈こちらのサンス・スエヒロさんは、何か特別な目をお持ちのようですよ〉
それは俺も使う鑑定みたいな?
〈ヨッシー様のは魔法ですが、彼の場合は目自体が特別のようです。但し、性能はヨッシー様の方が上ですよ。良かったですね〉
何が良いのかわからん。
<何かこのオッサン目が怖い~>
ラッキーが俺の後ろへと隠れ……られないけどな。小さくなっても、ハスキーサイズだし。
<捨てて来て良いかしら?>
シロが首を傾げて可愛い仕草で、トンデモナイ事を言う。
駄目だからな、一応は商売仲間だ。
28
お気に入りに追加
669
あなたにおすすめの小説
成長率マシマシスキルを選んだら無職判定されて追放されました。~スキルマニアに助けられましたが染まらないようにしたいと思います~
m-kawa
ファンタジー
第5回集英社Web小説大賞、奨励賞受賞。書籍化します。
書籍化に伴い、この作品はアルファポリスから削除予定となりますので、あしからずご承知おきください。
【第七部開始】
召喚魔法陣から逃げようとした主人公は、逃げ遅れたせいで召喚に遅刻してしまう。だが他のクラスメイトと違って任意のスキルを選べるようになっていた。しかし選んだ成長率マシマシスキルは自分の得意なものが現れないスキルだったのか、召喚先の国で無職判定をされて追い出されてしまう。
一方で微妙な職業が出てしまい、肩身の狭い思いをしていたヒロインも追い出される主人公の後を追って飛び出してしまった。
だがしかし、追い出された先は平民が住まう街などではなく、危険な魔物が住まう森の中だった!
突如始まったサバイバルに、成長率マシマシスキルは果たして役に立つのか!
魔物に襲われた主人公の運命やいかに!
※小説家になろう様とカクヨム様にも投稿しています。
※カクヨムにて先行公開中
家族に辺境追放された貴族少年、実は天職が《チート魔道具師》で内政無双をしていたら、有能な家臣領民が続々と移住してきて本家を超える国力に急成長
ハーーナ殿下
ファンタジー
貴族五男ライルは魔道具作りが好きな少年だったが、無理解な義理の家族に「攻撃魔法もろくに使えない無能者め!」と辺境に追放されてしまう。ライルは自分の力不足を嘆きつつ、魔物だらけの辺境の開拓に一人で着手する。
しかし家族の誰も知らなかった。実はライルが世界で一人だけの《チート魔道具師》の才能を持ち、規格外な魔道具で今まで領地を密かに繁栄させていたことを。彼の有能さを知る家臣領民は、ライルの領地に移住開始。人の良いライルは「やれやれ、仕方がないですね」と言いながらも内政無双で受け入れ、口コミで領民はどんどん増えて栄えていく。
これは魔道具作りが好きな少年が、亡国の王女やエルフ族長の娘、親を失った子どもたち、多くの困っている人を受け入れ助け、規格外の魔道具で大活躍。一方で追放した無能な本家は衰退していく物語である。
スキルガチャで異世界を冒険しよう
つちねこ
ファンタジー
異世界に召喚されて手に入れたスキルは「ガチャ」だった。
それはガチャガチャを回すことで様々な魔道具やスキルが入手できる優れものスキル。
しかしながら、お城で披露した際にただのポーション精製スキルと勘違いされてしまう。
お偉いさん方による検討の結果、監視の目はつくもののあっさりと追放されてしまう事態に……。
そんな世知辛い異世界でのスタートからもめげることなく頑張る主人公ニール(銭形にぎる)。
少しずつ信頼できる仲間や知り合いが増え、何とか生活の基盤を作れるようになっていく。そんなニールにスキル「ガチャ」は少しづつ奇跡を起こしはじめる。
スキル【アイテムコピー】を駆使して金貨のお風呂に入りたい
兎屋亀吉
ファンタジー
異世界転生にあたって、神様から提示されたスキルは4つ。1.【剣術】2.【火魔法】3.【アイテムボックス】4.【アイテムコピー】。これらのスキルの中から、選ぶことのできるスキルは一つだけ。さて、僕は何を選ぶべきか。タイトルで答え出てた。
家族に無能と追放された冒険者、実は街に出たら【万能チート】すぎた、理由は家族がチート集団だったから
ハーーナ殿下
ファンタジー
冒険者を夢見る少年ハリトは、幼い時から『無能』と言われながら厳しい家族に鍛えられてきた。無能な自分は、このままではダメになってしまう。一人前の冒険者なるために、思い切って家出。辺境の都市国家に向かう。
だが少年は自覚していなかった。家族は【天才魔道具士】の父、【聖女】の母、【剣聖】の姉、【大魔導士】の兄、【元勇者】の祖父、【元魔王】の祖母で、自分が彼らの万能の才能を受け継いでいたことを。
これは自分が無能だと勘違いしていた少年が、滅亡寸前の小国を冒険者として助け、今までの努力が実り、市民や冒険者仲間、騎士、大商人や貴族、王女たちに認められ、大活躍していく逆転劇である。
異世界最強の賢者~二度目の転移で辺境の開拓始めました~
夢・風魔
ファンタジー
江藤賢志は高校生の時に、四人の友人らと共に異世界へと召喚された。
「魔王を倒して欲しい」というお決まりの展開で、彼のポジションは賢者。8年後には友人らと共に無事に魔王を討伐。
だが魔王が作り出した時空の扉を閉じるため、単身時空の裂け目へと入っていく。
時空の裂け目から脱出した彼は、異世界によく似た別の異世界に転移することに。
そうして二度目の異世界転移の先で、彼は第三の人生を開拓民として過ごす道を選ぶ。
全ての魔法を網羅した彼は、規格外の早さで村を発展させ──やがて……。
*小説家になろう、カクヨムでも投稿しております。
一人だけ竜が宿っていた説。~異世界召喚されてすぐに逃げました~
十本スイ
ファンタジー
ある日、異世界に召喚された主人公――大森星馬は、自身の中に何かが宿っていることに気づく。驚くことにその正体は神とも呼ばれた竜だった。そのせいか絶大な力を持つことになった星馬は、召喚した者たちに好き勝手に使われるのが嫌で、自由を求めて一人その場から逃げたのである。そうして異世界を満喫しようと、自分に憑依した竜と楽しく会話しつつ旅をする。しかし世の中は乱世を迎えており、星馬も徐々に巻き込まれていくが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる