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金儲けをしようじゃないか!

57:文化の違い?

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 さて、ギラギラ夫婦をアザトースへ引渡しますか!
「おっま、ふっざ……があぁ!」
 アザトースが壊れたな。
 ボールスは、よくやった!というようにラッキーの頭を撫でている。
「今なら何でもペラペラ喋るな!」
 ボールスがニヤリと笑う。
 でも、アザトースのような胡散臭さが滲み出ないので及第点だ。

 引き摺られるように連行されて行く夫婦に、同情する気持ちは一切湧かない。
 もし要請されれば、いくらでもラッキーを貸し出そう。
 シロも付けるぞ。
 なんなら熊兄さんも、熊母さんも付ける!

 この世界は日本に比べて、人の命が軽い。
 それは理解しているが、納得出来た訳では無い。
 今回はおそらく、お家騒動なのだろう。
 テンプレ通りなら、出来の良い兄夫婦を妬んだ馬鹿夫婦が事故を装い殺害した後、子供達の後見人として家に入り込み、乗っ取りをしたってところか。

 子供達が殺されなかっただけ、良かったと思おう。
 食事を抜かれて痩せているとか、怪我をしているとかは無いようだし。
 一応は、きちんとした生活を提供していたのだろう。
 もしかしたら、使用人達がしっかりしているのかもしれない。



「生きてた!?」
 あのギラギラ夫婦が逮捕?捕縛?拘束?された。
 取り調べではペラペラと聞いていない事まで話しているらしい。
 そして朗報。
 タルトとマルリの両親が生きていたのだ!

 取り調べをした騎士がボールスへ報告をしに来て、ボールスがそれを俺とアザトースに教えてくれたのだ。
「タルトとマルリを呼んで来よう」
 俺が椅子から立ち上がろうとしたら、俺より先にダッシュする姿が……。
「ちょ!ラッキー!お前だけ行っても……ああぁぁぁ!」
 まぁ、良いか。


 しばらく待っていたら、ラッキーがタルトを背中に乗せ、マルリを咥えて来た。
 マルリを咥えてと言うか、マルリの服の背中部分を咥えてブラーンとしてる。
 セーフか?セーフで良いよな?
〈アウトです。マルリが泣きそうです〉
 アートモ!そういう事は早く言って!

「マルリ!大丈夫か!」
 ラッキーの口元から慌ててマルリを回収すると、確かに涙目になっている。
 日本人より成長早いから忘れがちだけど、まだ2歳なんだよ!
 ラッキーの背中にしがみついてるタルトだって3歳だ。

「パパとママに会いに行こうな!」
 ボールスがラッキーの背中からタルトを持ち上げ、抱きしめる。
 動きがスマートで、背中をポンポンしている姿が外国の映画みたい!なんて思ってないからな。
 ちくしょう、イケメンめ。


 悔しいからボールスとアザトースの薄い本でも作って、あらぬ疑いを掛けてモテなくしてやろうか!
 いや、薄い本を売る場所が無いか。
 その前に薄い本を作る技量が俺には無かったわ。
〈お手伝いします〉
 アートモさん?
 ちょっと、変な方向に行ってませんかね?

〈新しい文化として、新たな収入源になるかと思いました〉
 確かにな!でも書かないし、描かないよ。
 文才無いし、絵心も無い。
〈オレ様も手伝ってやろうか?〉
 どうしてこういう時に限ってやる気満々なんだよ、ガイアさんや。
〈地球と言うか、日本の文化だしなぁ〉
 それなら、腐ったのじゃなく、健全青春バトル物でお願いします。

〈それでは、この世界では珍しくも何ともありません。目の前で繰り広げられます〉
 あ~!!そうだった!
 剣と魔法と魔物の世界だったわ。
〈よし!ヤろうぜ!〉
 やらねーよ!!


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