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金儲けをしようじゃないか!

55:起承転結の転

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 買ったカラフルなお菓子は、飴とクッキーの間の子みたいな、カルメ焼きに近い食感と味だ。
 これは、子供だけではなく、大人達にもお土産に買おう。
「すまないが、大量に注文しても大丈夫かな?」
 店主に聞くと、注文自体は大丈夫だが時間が掛かるとの事。

 うん。ごめん。
 80袋も注文したからな。
 その間に買いに来た子供達や、個別注文には遠慮無く売って構わない事を告げ、先に会計を済ませて離れる。


<甘いの美味しいね~>
 ラッキーがオヤツをポリポリと食べながら、器用に跳ねながら歩く。
 犬にもスキップって出来るんだな。
 ラッキーに子供達を乗せなくて正解だった。
 アレに乗ってたら、絶対に酔う。

<ヨシツグ!もう1個!>
 ラッキーがこちらを振り返って催促してくるんだけど、甘い物ってそんなに食べて大丈夫か?
〈犬じゃないから、何でも食べられるぞ!それこそ、毒もいけるな!〉
 いや、毒はやらんから!

 ガイアはちょっとおかしいよな。
 いや、異世界では普通の感覚なのか?
 日本じゃ一般人は毒なんて一生見る事無いもんなぁ。
〈化学物質もある意味毒だぞ〉
 うん。そういうところだぞ、ガイア……。

〈すみません。どこがおかしいのか理解出来ないのですが、詳しく説明していただいてもよろしいでしょうか?〉
 えぇ?何?この俺がおかしいみたいなの。
 しかもアートモがコレなら、異世界では俺だけ完全アウェイ?いや、確かにアウェイだけど。


<ねぇ、ヨシツグ。背中の子がグラグラしてるんだけど、大丈夫?>
 頭の中でガイアとアートモと密かにバトルしていたら、シロに話し掛けられた。
「え?あ!うわっ!」
 シロに言われて視線を向けた瞬間、マルリがグラリと傾いた。
 今まではウトウトしていたマルリを、タルトが後ろから頑張って支えていたようだ。

 落ちてきたマルリは、ラッキーが服を咥えて受け止めた。
 うおぉ!焦った!!
 タルトが泣きそうな顔でこっちを見ている。
「マルリは大丈夫だぞ!ラッキーが捕まえた」
 青い顔をしたタルトがウンウンと何度も頷いている。

〈捕まえたって……ヲイ〉
 うるさいよ、ガイア。
 俺も言った後でどうかとは思ったよ。
「あ!あそこです!捕まえてください!」
 いや、そのネタはもう良いから……って、え?何コレ。


 俺達の周りを、武装した集団が取り囲んだ。
 衛兵でも騎士でもないから、自警団的な何かだろうか?
 持っている剣もバラバラで、いかにも自前ですって感じだ。
 その武装集団の円陣の外に、豪華な服を着た夫婦が見える。

「見つけたぞ!誘拐犯!!」
 はぁ!?ちょっと待て。
 その話詳しく聞かせてもらおうか?
 俺に剣を向けている男は、顔と服装だけ見たら、お前が誘拐犯だからな。

「両親?」
 タルトに聞くと、首を傾げられた。
 え?どっち?
〈両親って言葉の意味が解らないのかと〉
 アートモからの有難いツッコミ。
「えぇと、パパとママ?」
 キンキラ夫婦を指差す。
 父親の方は、何となく似ているような気がしなくもなくも無いような……?
〈どっちだよ!〉
 ガイアのツッコミと同時に、タルトが首を横に振った。


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