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異世界生活始めました!

32:とても物知りさんデスネ

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 とんでもない事が発覚した。
 なんと、獣人兄妹には名前が無かったのだ。
 どうりで前に名前を聞いた時、変な反応だと思ったよ。
 警戒しているのかと思ったら、名前が無かったのかよ!

「奴隷商が商品として獣人同士で繁殖させた場合、間々ままある事です」
 スーザンが哀しい表情で獣人兄妹の頭を撫でる。

 従魔術師家族で、しかも家族全員揃ってという条件の為に高額過ぎて売れなかった彼女は、奴隷歴が5年程ある。
 その間に色々な所へ派遣されたので、普通の人より物知りだった。
「女の情報網は凄いんですよ」
 そう言った顔は、ちょっとアザトースを彷彿ほうふつさせた。

「前に行った所で、獣人奴隷の女性が居まして。そこはちゃんと人間として扱ってもらえるから幸せって言ってました」
 そんな当たり前の事に幸せを感じるなんて!
「隣国の奴隷商にいた頃に、子供を何人か産まされたって言ってました。子供が出来るまで、複数人の獣人男性と一緒に部屋に閉じ込められるんですって。そして産んだ子は見る事すら出来ずに取り上げられる」
 はぁ!?何それ。

「犬猫でも、もっとマシな環境ですよね」
 本当だよ!
 地球でも動物園で繁殖とかやってたけど、複数相手に妊娠だけを目的にはしていなかった!

 何だよソレ!マジで。
 男の欲求不満を解消するのと、繁殖の両方を、って事だろ?
 うがあぁぁぁ!!
 ソイツ!その奴隷商!同じ目に合わせたい!!
 意に沿わぬ性行為で苦しめてやりたい!掘られちまえ!天誅!!


 隣国に居る俺の奴隷達。
 早々にこちらに送ってもらおう。
 慰謝料なので、輸送費は勿論あちら隣国持ちだ。
 一人でも体調崩したり怪我したりしてたら、目にものせてやる。

「お~い、送ってもらうのは良いけど、どこに住むんだ?さすがにここに全員は無理だぞ」
 アザトースからツッコミ頂きました!
 え?何で俺の考えている事が解ったんだ?
〈いや、全部口に出してたからな、ヨッシー〉
 嘘、マジで。

〈マジです。「その奴隷商、同じ目に合わせたい」辺りから、言葉として発しておりました〉
 なぁ~に~?やっちまったなぁ!!
〈餅つくのか?ヨッシー〉
 何でも拾うのな、ガイアは。
 お笑い芸人好きなのか?


「この屋敷の隣の空き地を買って、建物を建てたらどうだ?」
 ボールスが提案してくる。
 従魔達と遊んでいたのに、こちらの話も聞いていたらしい。
 優秀な騎士は、体と頭は切り離せるようだ。
 護衛中に戦う事にばかり熱中して、護衛対象を放置したら本末転倒だもんな。

 ワンルームマンションみたいなのを建てれば良いのか?
 幾ら位掛かるんだろう。
 その前に、この世界にマンションを建てる技術があるのかだよな。
 鉄骨で基礎を作って、コンクリートで固めるのか?
 無理じゃね?

 江戸の長屋みたいなのじゃ、どんだけ土地が必要だって話だよなぁ。
〈自分で建てれば良いじゃん。ワンルームマンションでも、ファミリータイプでも、メゾネットタイプでもさ〉
 馬鹿なの?マンションなんて構造も知らんわ!

〈馬鹿はお前だ、ヨッシー。あたり前田のクラッカーを知ってるオレ様が、マンションの構造を知らないわけないだろ!〉
 え?ガイアの中では、マンションの構造より、あたり前田のクラッカーのが上なの!?


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