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間違いない!

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「失礼ね!平成生まれよ!」
 どこかから聞こえた「昭和かよ!」の声に、咄嗟にツッコミ返したリナモモは、重要な事に気が付いた。
 昭和と言う年号を知っているのは、間違いなく前世持ちだ。
 もしかしたら憑依パターンかもしれないが、どちらにしても日本人としての記憶持ちだ。

「誰よ!バグ野郎!」
 リナモモは立ち上がって食堂を見回した。
 声は男だった、と声のした方向で顔を止める。

 バッチリ目が合った後に、慌てて目を逸らしたのは、リナモモの最推しの公爵子息であるアンシャンテだった。

「マジか~~~」
 リナモモは脱力して、椅子に座った。
 まさかの、推しがバグである。
 しかし、そうと解れば納得もした。
 攻略対象がオネェな乙女ゲームなど、成立しない……事もない?
 ちょっと楽しそうではある。


 リナモモは急いで食事を済ませ、食堂を出て行くアンシャンテを追った。
 追い抜きざま、本人にだけ聞こえる声量で「お前、放課後体育館裏な」と告げる。
「体育館、無いわよ!」
 返って来た言葉に、リナモモは満足気に微笑む。
「体育館を知ってらっしゃるのね?」
 この世界に体育館は存在していなかった。

「放課後、お時間頂けるかしら?」
 リナモモの笑顔での問いに、アンシャンテは頷くしかなかった。
 不安そうな表情をしている悪役令嬢のはずのシャルトリュー侯爵令嬢にも、笑顔を向ける。
「ご心配なら一緒にいらして」
 なぜか公爵や侯爵よりも偉そうなリナモモだったが、反抗出来ない鬼気迫る雰囲気があった。



 放課後、体育館裏ではなく、中庭の四阿あずまやで三人で集まった。
 お茶とチョコレートとクッキーが用意されている。
「さすが貴族の学校ですよね~。私が通ってた学校は厳しかったから、お菓子とか学校内で食べられなかったんですよ」
 リナモモがチョコレートを口に含み、紅茶を飲む。

「私の行ってたのは、所謂ヤンキー校でね、何でも有りだったわ。毎日火災警報器が鳴るし、校庭には族車が入って来るし」
「それなのにオネェなの!?」
「成人してからよ。大学を中退して、ヘアメイクの専門学校に入り直して、働き始めてからのデビューよ。言っておくけど、この話し方で可愛い物は大好きだけど、恋愛対象は女よ」

「え?もしかして、社会人だったの!?え?待って、いつから記憶あるの?ロリコン?」
「なんですってぇ!?このクソガキ!」

「あのぉ……全然お話が理解出来ないのですが」
 悪役令嬢のはずのシャルトリューが、気弱そうに手を上げて二人を見ていた。


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