悪役令嬢の婚約者は頭がおかしい

メンチカツ（不発）

　マヨネーズでのチートは出来なくなってしまったリナモモ。
　マヨネーズに年齢制限があるのなら、次に転生チートの定番料理と言ったら、ハンバーグや揚げ物である。
　しかしよくよく思い出してみると、食卓には普通に揚げ物があった。
　つけ合わせのポテトフライも、プリップリなエビフライもあった。
　挽肉入りのコロッケは、リナモモの好物である。

　ハンバーグも既にある。それどころか、チーズインハンバーグまである。
　ハンバーグのタレは、ケチャップとソースを合わせたものが定番だ。

　ソースはウスターソースのように、サラサラしていて香辛料の香りがするものだった。
　ソースが大丈夫なのに、マヨネーズは子供に駄目なのは、なぜなのか。
　不思議な設・定・があるのが異世界っぽいと、リナモモはひとり心の中で思っていた。



　ふと、思い出す。ハンバーグと揚げ物を合わせた食べ物があった！
　メンチカツ！

　リナモモの記憶にあって、この世界には無い食べ物。
　ハンバーグも揚げ物もあるのに、なぜかメンチカツだけは無いのだ。
　その理由はすぐに判明した。

「リナモモ様の言う通りにハンバーグを揚げてみましたが、美味しくありません」
　料理人がハンバーグに衣をつけて揚げた物を、お皿に載せて持って来た。
　サクリと言うよりも、ザックリと手応えが固い。
　しかも妙に脂っこい。

　揚げ油の温度が分からないし、前世の万能なキッチンと違って油の温度を一定に保てないのだろう。
　メンチカツもどきを入れて下がった油の温度を上げ、今度は上がり過ぎて周りは焦げてください固いのだろう。
　塊肉を揚げる唐揚げやカツと違い、中に火が通る頃には周りに火が通り過ぎて固くなってしまうのだ。

　厨房で自分で調理するか、せめて見学出来れば違ったのかもしれない。
　ハンバーグは、メンチカツよりも良い肉を使うので、脂分が多い。
　焼いた時に膨らむように、牛乳に漬けたパン粉も入っている。

　ハンバーグよりも手間暇が掛かるのに、ハンバーグの方が美味しい。
　本来のメンチカツを知らないのだから、料理人を責める事は出来ない。
　リナモモの言った通り、ハンバーグのタネに衣を付けて揚げただけなのだ。

　リナモモは、メンチカツを諦めた。



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ハンバーグのタネに衣をつけて揚げても美味しい方法があるかもしれませんが、料理人にメンチカツの知識が無いので上手くいかなかったという事で（笑）

火加減の失敗は、友人の経験談ですw
外は固くて火が通り過ぎボソボソで、中は半生だったとか。