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28:三人娘が仲間になった!
しおりを挟む余りにも酷い噂を聞いて、フローレスは仲間を増やす事に決めた。
なぜなら、このままではルロローズがオルティス帝国に喧嘩を売りそうだからである。
それを注意し止める役目の第二王子は、帝国の第三皇子に嫉妬して、逆に燃料投下しそうなので当てにならない。
「アダルベルト・ディエゴ・オルティス第三皇子殿下。それが教師役の方です。決して小国の王子などではありません。ありもしない恋慕の噂など、どれほど危険かお解りいただけますわよね?」
フローレスのひそめた声に、その内容の重要性が窺える。
「こ、国際問題になりますわ」
「それどころか、第三皇子殿下に婚約者がいたら、国交断絶されても文句はいえませんわよ」
「ルロローズ様は、なぜ王子様などと呼んでいるのでしょう」
真面な令嬢三人は、事の重大さにオロオロとしている。
何となくやっと自分と同じ感性の仲間と会えた気がして、フローレスは知らずに笑顔になっていた。
「とりあえず、私達はこれ以上おかしな噂が広がらないように努めますわ」
侯爵令嬢が自分の胸をドンッと拳で叩く。
令嬢としてはどうなの?と思う行動だが、フローレスは、そういえば彼女には騎士の兄がいたな、と行動の理由に思い至った。
「それにしても、このままではルロローズ様は、第二王子殿下の婚約者候補を外されてしまいませんの?」
伯爵令嬢が頬に指を当て首を傾げる。
フローレスの肩がビクリと揺れる。
それは、1番フローレスが恐れている事だった。
「第二王子殿下が御執心なので、すぐに外される事は無いはずですが……私としては、ルロローズに王子妃になって欲しいのです」
フローレスの言葉に、三人の令嬢は驚きを隠せず、口をポカンと開けている。
「私は政略ですが、あの二人は貴族には珍しく恋愛でしょう?」
満面の笑みで告げたつもりのフローレスだったが、傍から見ると黒い笑顔だった。
家に戻り、原稿用紙を前にフローレスは考え込んでいた。
前は小説を利用して、周りをミスリードしていたルロローズが、最近では自らが行動するようになってしまっていた。
周りに「愛されるルロローズ、疎まれるフローレス」という図式が完全に定着したので、多少の無理が通ると思っているのだろう。
要は、侯爵家内での猫を被っていないルロローズを、外でも出し始めたのである。
「ここら辺で一度、ピンキーに痛い目に合ってもらわないと駄目ね」
相手はやはり、緑属性の教師だろうか?
貴方が私を好きなのは知ってます……みたいに言って、振られるとか?
フローレスはそこまで考えて、恋愛小説のヒロインにそれは駄目だろうと考え直した。
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