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王立魔法学園~甘いは誰のため~(ざまぁはないよ!)
乙女ゲーム裏設定:真実の白い羽《真実は、誰にも知らされなかった》
しおりを挟むシフォンティーヌの落とした白い羽を光に透かしながら歩いていたショコラは、悪意を持って自分に向かってくる人物に気付いていなかった。
三人の令嬢。
特にショコラと接点があるわけでも、ましてやマカディーアやシフォンティーヌに関係があるわけでもない。
下級貴族と呼ばれる、男爵家の令嬢達。
彼女達がショコラを発見したのは偶然だった。
いつものようにシフォンティーヌとその友人二人に責められていたショコラ。
ダンス、や、婚約者、という声が聞こえる。
昨夜の事を言っていると直ぐに判った。
社交界の掟ともいえる仕来り。
親しい仲で二回。婚約者とでは三回。
それが踊る回数の上限だ。
社交の場であるのだから、ダンスもその一環であり、一人の人間が独占するなどもっての外。
そんな貴族の当たり前、常識が解っていないショコラ。
第一王子は、日頃から『学園内では平等』『古い仕来りなど廃止した方が良い』と言っていた。
それを婚約者であるシフォンティーヌには、貴族の矜持が……などと批判されていた。
貴族の矜持などと胸を張って言えるほど、この令嬢達には芯がなかったが、平民であるショコラが自分達よりも優遇されている事を妬むくらいには、貴族だった。
事の成り行きを息をひそめて見つめる。
想像していたよりもずっと静かに、四人はその場を離れた。
シフォンティーヌ達三人は建物のある方向へ。
ショコラは、三人とは反対の方向へ。
何かを拾ったショコラは、それに気を取られて上を見ながら歩いている。
三人の下級令嬢は顔を見合わせた。
誰かが何かを言ったわけではない。
ただ、目を合わせて頷き、池のほとりを歩くショコラを突き飛ばした。
殺意があったわけではない。
濡れて困れば良い……それくらいの気持ち。
寒空の中、真冬の池に落ちるという事がどういう事かを想像できる頭は、残念ながら持ち合わせていなかったようだ。
池に落ちたショコラがすぐに上がって来ない事で、やっと事態の重さに気付く。
「誰か!ショコラ様が池に!」
「誰か助けて差し上げて!」
さも今発見したかのように、悲鳴を上げた。
────────────────
最後までお付き合いいただき、ありがとうございましたm(_ _)m
勢いだけで書いた昔の作品ですが、意外と思い入れがあったりします。
なろう移行時にどこかで1話間違って削除して、書き直したのも良い思い出です(笑)
他の作品も、ぜひよろしくお願いします!
※かなり毛色の違う物がありますので、タグの確認お願いします。
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作者様
こんにちは、初めまして!
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再投稿に感謝を。
今後も楽しみにしてます。
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