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王立魔法学園~甘いは誰のため~(ざまぁはないよ!)
乙女ゲーム:甘い夜
しおりを挟む「心配だから、王室の治癒師に見せる」
権力を使い、ショコラを学園から連れ出したマカディーアは、そのまま王宮の自室へと招き入れる。
濡れた服は勿論着替えているが、ショコラの指先はまだ冷たい。
学園の寮にも各部屋に風呂があるのだが、ショコラにはそれを準備する侍女がいない。
いつもは自分で用意しているのだ。
濡れ鼠で帰ったショコラを見て驚いた寮母は、自分が風呂を用意すると言っていたがマカディーアの拒否を許さない台詞に、とりあえずお湯とタオルを用意しショコラに渡した。
ショコラが身体を拭き、着替える間もマカディーアは部屋の扉の前にいた。
何が起きるかわからない。
池のほとりで、カシュールとアーモディから白い羽を見せられた。
噂が本当になったのだと、やはり、と思った。
「ショコラ、身体を温めよう」
冷たいショコラの指先に触れる。
王宮のマカディーアの自室には、それなりの広さの浴槽もある。
部屋というよりも、ホテルのスウィートルームを想像したら解り易いだろうか。
浴室だけでショコラの実家がすっぽりと入るだろう。
ショコラの手を引き浴室へ入ったマカディーア。
浴槽には温かい湯が既になみなみと入れてあり、浴室内は湯気で白い。
そこに入っただけで、ショコラは少しだけ指先が温かくなった気がした。
どれだけ自分の身体が冷えていたのか実感する。
あの温かい湯に身体を沈めたい。
しかし、浴室へと案内してくれたマカディーアがいつまでも出て行かないので、服を脱ぐ事ができないでいた。
「あの、マカディ様?」
少しだけ戸惑ったようなショコラの声。
その声音の言いたい事が解っていながら、マカディーアは出て行かない。
「ショコラに何かあったら、私は生きていけない。
心配だから、一緒に入っても良いだろうか」
いつもは自信に充ち溢れているマカディーアの、どこか不安げな声。
ショコラは胸の前でキュッと手を握る。
「ずっと守ってくださいね。マカディ様」
そう言うと、制服の胸のボタンを一つ外した。
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