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第一王子殿下side
第96話:青年期 断罪までのカウントダウン
しおりを挟むプレゼントを用意しても、なぜかフィオの元には届かない。
いや、昔は用意もしなかったが、最近になりイライジャが魔石の付いた高い指輪をプレゼントしたらしい事を知ったので、急いで用意したのだ。
デビュタント用のドレスに続き、コートも平民女にあげる事になってしまった。
明らかにサイズが違うのに、何で自分のだと思ったのかこの平民女は。
急遽決まった園遊会でも、平民女をエスコートする事になった。留学生のパートナーをフィオが務めるから、俺にはパートナーがいなくなるので、仕方なく誘ったからだ。
「私ぃ、デビュタントと同じドレスで参加するんですかぁ?あれ以外、ドレス持って無いんですよね~。
王子様のパートナーが前回と同じって、恥ずかしくないですかぁ?」
俺がフィオの為に作らせた、あの俺色のドレスを、また平民女が着るだと!?
「好きなデザインで作ると良い。後で仕立て屋を行かせよう」
金色は使わないように、仕立て屋には言っておかないとな。
園遊会でフィオを見て驚いた。何だ、そのドレスは。見た事の無いデザインで、明らかにこの国の物ではない。
俺からのプレゼントをまだ一度も身につけた事が無いくせに、なぜ他の男からのプレゼントを着ている?しかも、明らかに贈り主の色を使っているドレスをだ。
イライジャに、贈り物のドレスを着ているのはフィオだけではないと言われ周りを見ると、イライジャのとりまき達がエスコートしている女達も不思議なドレスを着ていた。
第一王子の俺より、第二王子のイライジャと縁を結ぶ龍王国の王太子にもイラついた。
なぜか俺と平民女が愛し合っていると噂されている。
俺とフィオが愛し合っているのに。この女は、フィオに嫉妬させる道具だ。
素直になれないフィオの為の、単なる当て馬でしかない憐れな女だ。
この女が池に落ちた後、待てども来ない侍女に代わり、濡れた制服を脱がせてやった。恥ずかしそうにしているが、お前の裸を見ても何も感じないがな。
平民女が風呂に入っている間に、自分も濡れた服を着替える。
下着になったところで押し倒された。
その力の強さに、一瞬意識が遠のく。
気が付いたら、俺の上でチョコアが喘いでいた。体は正直で、直接的な刺激には抗えない。
俺は目を閉じて、フィオを脳裏に浮かべた。
「マカ様の子供ができました!」
何度かチョコアに上に乗られ、性欲処理に利用していたら、そんな事を言われた。
子供だと?この女との?
そんなモノいらない。いや、ちょっと待て。
たしか昔言われた「王太子の条件」が後継を作る事だったはずだ。
平民女では、王太子の正妃には絶対になれない。側妃も無理だし、妾がせいぜいだろう。
フィオも王太子の正妃なら、文句はないだろう。
やっとフィオが手に入る。
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