【完結】悪役令嬢に転生したようです。アレして良いですか?【再録】

仲村 嘉高

文字の大きさ
上 下
91 / 113
断罪後のお話 ※ざまぁ要素はもうありません

第91話:幸せに(本編完結)

しおりを挟む
 


 リュオの龍王国と、シュヴァルツェの竜人国は、国交が盛んだそうだ。
 リュオは別に龍ではなく、普通の人間だ。
 国が龍に護られていて、その龍は初代国王と契約したとか。
 魔法も使えるが、西洋の魔法より、陰陽道に近く、妖精や精霊と言うよりも、あやかし寄りなのだそう。
 きゅ、九尾の狐とかもいるのかな?
 水木シゲ◯の世界?妖怪ポストとかあるのかな?

 夏休みにサラと会話していたのは、リュオに頼まれたシュヴァルツェ。
 彼も闇魔法保持者。
 一番最初にマカルディーとチョコアの逢引き動画を流したのは、腹黒ライジ殿下。
 ここから始まってたんだね。

 ちなみに、子供が出来ていなかった場合に備えて、マカルディーとチョコアのやらかしてる動画もあるらしい。
 あの凍った池に落ちた日のね。
「見たいならやる」と言われたが、いらん。
「ライジ殿下とサラのなら欲しいです」と正直に言ったら、サラに後頭部を殴られた。 


 少し離れた隣のテーブルから、大爆笑が聞こえてきた。
 ルーベンとビゼタールに『乙女ゲーム』と『甘王公式本』の話をした後、男性陣に甘王登場人物のイラストをミリフィールが描いて見せていたのだ。
 多分、今の爆笑は『シフォンティーヌ・エクレール』だろう。
『ミルフィー・ビスコーティー』か?
 2人ともドリルのような巻き髪に、コギャル真っ青の厚化粧だからな。
 さて、『ジェリラート・プディーング』のスイカップを見た時の男性陣の反応が楽しみだ。

 ゴッ!とテーブルを殴る音が聞こえ、「どこを見ている?」と言うジェラールの地を這う声が聞こえた。
 予想通りだな。
「私は、現実のジェラールの方が好ましいがな」
 ビゼタールの台詞に、ジェラールがそう?なんて頬を染めている。
 微笑ましいが、ビゼタールはロリコンだからな。巨乳には興味ないのも納得。

「ビゼタール先生はロリコンじゃないと思うぞ。そもそも生粋のロリコンなら、ジェラールよりもフィオだろう」
 よし、腹黒ライジ。また腹パンされたいらしいな?
 拳を握り、闘気と凍気を纏う。
「フィオ!?なんで王太子になってからの方が俺の扱いが酷いんだ?」
 それは、私の事を勝手に利用していたのが判明したからですね。
 ニッコリ。


 お腹を押さえて大袈裟にうずくまるライジ殿下は放置し、皆のいるテーブルへと移動する。
 今描いているのは、隠しキャラの『シュヴァルツヴェ・ド・リンツァートル』だ。
 うん。やはり、一番現実リアルに近い。

「シュヴァルツェが留学して来た時は、正直焦ったよ」
 私の後ろから、『甘王公式本』を覗き込みながらリュオが呟く。
 ちょ、耳元でやめて。
「竜人の出現条件はとても厳しくて、『ヒロインが攻略者全員の好感度を嫌われる寸前まで下げると開く』はずなのに、何故?とね」
 確かに、私も同じ事を思ったわ。
 マカルディーとチョコアは、その時ラブラブだったはずだもんね。

「まぁ、結局は子供作るくらいラブラブだったわけだし、現実リアル二次元ゲームの違いじゃない?」
 ちょっと、何よ。その呆れたような顔は。
 失礼でしょう?
「そこがフィオの良いところだよね」
 うんうんと頷くリュオが何となくムカつく。
 後ろから、そっと抱き締められた。
 肘鉄入れようと思ったけど、やめておこう。

「大好きだよ、フィオ」
 耳元でイケボ。鳥肌たちそうよ。
「幸せにする」
「いえ、結構です」
 間髪入れずに、脊髄反射で答えてしまった。
 乙女ゲームを攻略できない私を甘く見ないでくださいマセ。

 リュオの苦笑が背中から伝わってくる。
「一緒に幸せになろう」
「はい。頑張りましょう」
 あ、馬鹿ップルの仲間入りしたかもしれない。
 まぁ、良いか。
 リュオとなら、幸せになれる気がする。


「お姉ちゃん、おめでとう」
 妹の声が聞こえた気がした。


しおりを挟む
感想 22

あなたにおすすめの小説

妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢

岡暁舟
恋愛
妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢マリアは、それでも婚約者を憎むことはなかった。なぜか? 「すまない、マリア。ソフィアを正式な妻として迎え入れることにしたんだ」 「どうぞどうぞ。私は何も気にしませんから……」 マリアは妹のソフィアを祝福した。だが当然、不気味な未来の陰が少しずつ歩み寄っていた。

ヴェルセット公爵家令嬢クラリッサはどこへ消えた?

ルーシャオ
恋愛
完璧な令嬢であれとヴェルセット公爵家令嬢クラリッサは期待を一身に受けて育ったが、婚約相手のイアムス王国デルバート王子はそんなクラリッサを嫌っていた。挙げ句の果てに、隣国の皇女を巻き込んで婚約破棄事件まで起こしてしまう。長年の王子からの嫌がらせに、ついにクラリッサは心が折れて行方不明に——そして約十二年後、王城の古井戸でその白骨遺体が発見されたのだった。 一方、隣国の法医学者エルネスト・クロードはロロベスキ侯爵夫人ことマダム・マーガリーの要請でイアムス王国にやってきて、白骨死体のスケッチを見てクラリッサではないと看破する。クラリッサは行方不明になって、どこへ消えた? 今はどこにいる? 本当に死んだのか? イアムス王国の人々が彼女を惜しみ、探そうとしている中、クロードは情報収集を進めていくうちに重要参考人たちと話をして——?

公爵令嬢の辿る道

ヤマナ
恋愛
公爵令嬢エリーナ・ラナ・ユースクリフは、迎えた5度目の生に絶望した。 家族にも、付き合いのあるお友達にも、慕っていた使用人にも、思い人にも、誰からも愛されなかったエリーナは罪を犯して投獄されて凍死した。 それから生を繰り返して、その度に自業自得で凄惨な末路を迎え続けたエリーナは、やがて自分を取り巻いていたもの全てからの愛を諦めた。 これは、愛されず、しかし愛を求めて果てた少女の、その先の話。 ※暇な時にちょこちょこ書いている程度なので、内容はともかく出来についてはご了承ください。 追記  六十五話以降、タイトルの頭に『※』が付いているお話は、流血表現やグロ表現がございますので、閲覧の際はお気を付けください。

婚約者から婚約破棄をされて喜んだのに、どうも様子がおかしい

恋愛
婚約者には初恋の人がいる。 王太子リエトの婚約者ベルティーナ=アンナローロ公爵令嬢は、呼び出された先で婚約破棄を告げられた。婚約者の隣には、家族や婚約者が常に可愛いと口にする従妹がいて。次の婚約者は従妹になると。 待ちに待った婚約破棄を喜んでいると思われる訳にもいかず、冷静に、でも笑顔は忘れずに二人の幸せを願ってあっさりと従者と部屋を出た。 婚約破棄をされた件で父に勘当されるか、何処かの貴族の後妻にされるか待っていても一向に婚約破棄の話をされない。また、婚約破棄をしたのに何故か王太子から呼び出しの声が掛かる。 従者を連れてさっさと家を出たいべルティーナと従者のせいで拗らせまくったリエトの話。 ※なろうさんにも公開しています。 ※短編→長編に変更しました(2023.7.19)

毒を盛られて生死を彷徨い前世の記憶を取り戻しました。小説の悪役令嬢などやってられません。

克全
ファンタジー
公爵令嬢エマは、アバコーン王国の王太子チャーリーの婚約者だった。だがステュワート教団の孤児院で性技を仕込まれたイザベラに籠絡されていた。王太子達に無実の罪をなすりつけられエマは、修道院に送られた。王太子達は執拗で、本来なら侯爵一族とは認められない妾腹の叔父を操り、父親と母嫌を殺させ公爵家を乗っ取ってしまった。母の父親であるブラウン侯爵が最後まで護ろうとしてくれるも、王国とステュワート教団が協力し、イザベラが直接新種の空気感染する毒薬まで使った事で、毒殺されそうになった。だがこれをきっかけに、異世界で暴漢に腹を刺された女性、美咲の魂が憑依同居する事になった。その女性の話しでは、自分の住んでいる世界の話が、異世界では小説になって多くの人が知っているという。エマと美咲は協力して王国と教団に復讐する事にした。

婚約破棄ですか???実家からちょうど帰ってこいと言われたので好都合です!!!これからは復讐をします!!!~どこにでもある普通の令嬢物語~

tartan321
恋愛
婚約破棄とはなかなか考えたものでございますね。しかしながら、私はもう帰って来いと言われてしまいました。ですから、帰ることにします。これで、あなた様の口うるさい両親や、その他の家族の皆様とも顔を合わせることがないのですね。ラッキーです!!! 壮大なストーリーで奏でる、感動的なファンタジーアドベンチャーです!!!!!最後の涙の理由とは??? 一度完結といたしました。続編は引き続き書きたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

ある王国の王室の物語

朝山みどり
恋愛
平和が続くある王国の一室で婚約者破棄を宣言された少女がいた。カップを持ったまま下を向いて無言の彼女を国王夫妻、侯爵夫妻、王太子、異母妹がじっと見つめた。 顔をあげた彼女はカップを皿に置くと、レモンパイに手を伸ばすと皿に取った。 それから 「承知しました」とだけ言った。 ゆっくりレモンパイを食べるとお茶のおかわりを注ぐように侍女に合図をした。 それからバウンドケーキに手を伸ばした。 カクヨムで公開したものに手を入れたものです。

公爵令嬢を虐げた自称ヒロインの末路

八代奏多
恋愛
 公爵令嬢のレシアはヒロインを自称する伯爵令嬢のセラフィから毎日のように嫌がらせを受けていた。  王子殿下の婚約者はレシアではなく私が相応しいとセラフィは言うが……  ……そんなこと、絶対にさせませんわよ?

処理中です...