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断罪後のお話 ※ざまぁ要素はもうありません
第91話:幸せに(本編完結)
しおりを挟むリュオの龍王国と、シュヴァルツェの竜人国は、国交が盛んだそうだ。
リュオは別に龍ではなく、普通の人間だ。
国が龍に護られていて、その龍は初代国王と契約したとか。
魔法も使えるが、西洋の魔法より、陰陽道に近く、妖精や精霊と言うよりも、妖寄りなのだそう。
きゅ、九尾の狐とかもいるのかな?
水木シゲ◯の世界?妖怪ポストとかあるのかな?
夏休みにサラと会話していたのは、リュオに頼まれたシュヴァルツェ。
彼も闇魔法保持者。
一番最初にマカルディーとチョコアの逢引き動画を流したのは、腹黒殿下。
ここから始まってたんだね。
ちなみに、子供が出来ていなかった場合に備えて、マカルディーとチョコアのやらかしてる動画もあるらしい。
あの凍った池に落ちた日のね。
「見たいならやる」と言われたが、いらん。
「ライジ殿下とサラのなら欲しいです」と正直に言ったら、サラに後頭部を殴られた。
少し離れた隣のテーブルから、大爆笑が聞こえてきた。
ルーベンとビゼタールに『乙女ゲーム』と『甘王公式本』の話をした後、男性陣に甘王登場人物のイラストをミリフィールが描いて見せていたのだ。
多分、今の爆笑は『シフォンティーヌ・エクレール』だろう。
『ミルフィー・ビスコーティー』か?
2人ともドリルのような巻き髪に、コギャル真っ青の厚化粧だからな。
さて、『ジェリラート・プディーング』のスイカップを見た時の男性陣の反応が楽しみだ。
ゴッ!とテーブルを殴る音が聞こえ、「どこを見ている?」と言うジェラールの地を這う声が聞こえた。
予想通りだな。
「私は、現実のジェラールの方が好ましいがな」
ビゼタールの台詞に、ジェラールがそう?なんて頬を染めている。
微笑ましいが、ビゼタールはロリコンだからな。巨乳には興味ないのも納得。
「ビゼタール先生はロリコンじゃないと思うぞ。そもそも生粋のロリコンなら、ジェラールよりもフィオだろう」
よし、腹黒。また腹パンされたいらしいな?
拳を握り、闘気と凍気を纏う。
「フィオ!?なんで王太子になってからの方が俺の扱いが酷いんだ?」
それは、私の事を勝手に利用していたのが判明したからですね。
ニッコリ。
お腹を押さえて大袈裟に蹲るライジ殿下は放置し、皆のいるテーブルへと移動する。
今描いているのは、隠しキャラの『シュヴァルツヴェ・ド・リンツァートル』だ。
うん。やはり、一番現実に近い。
「シュヴァルツェが留学して来た時は、正直焦ったよ」
私の後ろから、『甘王公式本』を覗き込みながらリュオが呟く。
ちょ、耳元でやめて。
「竜人の出現条件はとても厳しくて、『ヒロインが攻略者全員の好感度を嫌われる寸前まで下げると開く』はずなのに、何故?とね」
確かに、私も同じ事を思ったわ。
マカルディーとチョコアは、その時ラブラブだったはずだもんね。
「まぁ、結局は子供作るくらいラブラブだったわけだし、現実と二次元の違いじゃない?」
ちょっと、何よ。その呆れたような顔は。
失礼でしょう?
「そこがフィオの良いところだよね」
うんうんと頷くリュオが何となくムカつく。
後ろから、そっと抱き締められた。
肘鉄入れようと思ったけど、やめておこう。
「大好きだよ、フィオ」
耳元でイケボ。鳥肌たちそうよ。
「幸せにする」
「いえ、結構です」
間髪入れずに、脊髄反射で答えてしまった。
乙女ゲームを攻略できない私を甘く見ないでくださいマセ。
リュオの苦笑が背中から伝わってくる。
「一緒に幸せになろう」
「はい。頑張りましょう」
あ、馬鹿ップルの仲間入りしたかもしれない。
まぁ、良いか。
リュオとなら、幸せになれる気がする。
「お姉ちゃん、おめでとう」
妹の声が聞こえた気がした。
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