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乙女ゲーム本編突入です。
第79話:負の感情
しおりを挟む何か、私の意思とは関係なくどんどんイベントが進んでいっている気がする。
しかし、まだ『甘王公式本』の例の音がしない。
1:ヒロイン池ポチャる。
2:攻略対象者、今回はバカ殿下がヒロインを助ける
今、ここだね。
3:攻略対象者とヒロインの既成事実
ここまでいかないと駄目って事か!?
うわぁ、あの音がなったら、チョコアとバカ殿下がいたしたって事~?
それ、要らない……つか、どうでも良いし、知りたくもない情報だわ。
多分、自分が思ってるよりも嫌悪を露わにした表情をしていたのだろう。
「マカルディーとアレが2人きりになるのは嫌なのか?」
ライジ殿下が見当違いな事を聞いてきた。
「全っ然、大丈夫ですわ」
あ、全力で否定しちゃった。
2人きりだろうが、エロい事しようが、もう何でもやってくれって感じなんだけど、それを通知されるのが嫌なんだよね~。
だって想像してみ?
キラキラではあるけれど、滲み出る馬鹿さが隠せないバカ殿下と、イマイチ清潔感のない頑丈女だよ?
彼女の場合、平民だとか関係なくて、本人の資質だよね。
なんて色々考えていたら、サライさんが帰って来た。
早いな。
ライジ殿下に報告をするらしく、一礼した後、腰を屈めて顔を寄せる。
「浴槽に湯を張り、2人分のバスタオルとバスローブをご用意してきました」
サライさん?声デカくないっすか?
「アレを助けたのは、誰だ?」
ライジ殿下……侍従に質問する為にでも名前呼ぶのは嫌なのかい?
しかし、さすがは王子の侍従さん。わかっている。
「発見したのはビゼタール様ですが、自力で這い上がったようです」
たくましいな、チョコア。
「ご自身で制服を脱ぐのは厳しそうなので、うちの侍女の手が空いたら向かうように手配いたしました」
おや?含みのある言い方デスネ。
「そうか、ご苦労」
うわぁ、腹黒殿下らしい笑顔いただきました。
結局、この日は午後の授業が始まっても、全ての授業が終わっても、日付が変わっても、『甘王公式本』が鳴る事はなかった。
ヒソヒソ、コソコソ、サワサワ、学園内の空気が落ち着かない。
ウキウキワクワクの好意的な雰囲気ではなく、どちらかと言うと負の感情が蔓延している。
そして、とても残念な事に、私が通るとそのコソコソ話がピタリと止まってしまう。
明らかに私も関係している噂話だ。
あ、原因が歩いてる。
廊下……と言うには広すぎる通路の向こうから、仲良さげなカップルがこちらに歩いてくる。
「あら、おはよう」
バカ殿下の腕に身体を寄せながら腕を組んで歩いていたチョコアが挨拶をしてくる。挨拶か?
「マカルディー殿下、おはようございます」
敢えてチョコアは無視をして挨拶をする。
前からベタベタしてたけど、前とは明らかに違う雰囲気。うん。完全なバカップル。
皆もそれを感じているから、このヒソヒソ話状態なのだろう。
「マカルディー殿下、おはようございます」
私の隣にいたサラも同じようにバカ殿下にだけ挨拶をする。
バカ殿下の腕にぶら下がる頑丈女を見て、隣のメロンを見る。
抱きつかれるなら、絶対こっちが良いなぁ。
声も出さず横柄に頷くバカ殿下をチラリと見て、サラがメロンを押し付けるように私の肩に腕を回す。フフフ、役得だね。
「フィオ、あちらにライジ殿下がいらしたわよ」
と、優雅に私を誘導する。
多分、行った先にライジ殿下はいないだろう。単なるバカ殿下への嫌がらせだ。
なぜかサラとバカ殿下の間に火花が散ったように見えた。
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