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乙女ゲーム本編突入です。
第64話:犯罪ですから
しおりを挟む園遊会の後、王族と国庫の管理をしている経理部みたいな部署の間で、一揉めあったようだ。
勿論、バカ殿下が平民にドレスを贈った件である。
前回の王族が招いたデビュタントと違い、贈る正当な理由がないからね。
今回私がリュオのパートナーになったのは王族の意向であっても、バカ殿下がチョコアを選んだのは個人の自由である。それに、制服での参加も可能だったからね。あくまでも学園内の催し物だから。
バカ殿下のポケットマネーで払えよって経理部が言うと、婚約者に贈った事にすれば良いだろうとか言い出したらしい。はぁ!?
それ、前世だったら犯罪ですからね?
そんな発言をしたものだから、前回の白いコートも実は、私にプレゼントするって名目でお金が引き出されていた事が発覚。
最終的には孤児院へ寄付されたが、それは一度チョコアの手に渡った後の為に、平民の為のプレゼントに国庫のお金が使われた事と判断された。
個人で何か収入があるわけではないバカ殿下に、そんなお金があるわけがない。
結局、側妃の実家が払う事になったらしい。
ニヤリ。
それって、捉えようによっては、実家公認の仲って事よね?
断罪されるのは嫌だけど、婚約破棄は大歓迎だ。
********
バカ殿下とチョコアの仲が揺るぎないものになってきた頃、学園は夏休みに入りました。
学園最後の夏休み。
9月からは、3年生となります。
今年は、カヌーレイ家の避暑地で皆で遊びます。
え?カヌーレイ家って誰だっけって?
サラちゃん家ですよ。
更に言うと、義姉の実家。
サラ達のご両親はいらっしゃらないけど、兄夫婦はまた一緒です。
仕事とか、良いの?と心配になります。
特に兄。
まだまだ父が現役ですから、まぁ、平気っちゃ平気だろうけど。
「とうとう最終学年になりますわね」
改まった口調でサラが言う。
「私は卒業したら、すぐに結婚となりますわ」
ミリフィールが頬に手を当てて少し首を傾げる。
その表情に暗いところがないので、婚約者のルーベンとは良い関係が築けているようだ。
「私は、ビゼタール様が学園をお辞めになって、私の補佐に入られてからになりますわね。
その前に自領を治める為の勉強も本格的に始めませんと……」
私の王妃勉強と同じように、伯爵家を継ぐ為の勉強を小さい頃からしているジェラール。
彼女なら、きっと良い領主になれるよ!
「私は婚約者を見つけるところからですが、それよりも問題有りの方がここに1人いらっしゃるわよね」
サラの言葉に、3人の視線が私に集まる。
うぅん。否定はしない。
「婚約解消は無理だろうから、破棄を狙う」
あんだけチョコアLOVEのくせに、いくら打診しても解消に応じない。
まぁ、平民じゃ王太子の正妃には成れないからね。
破棄される為に、学園に池でも寄付するか?
そこに突き落とせば、『世界の強制力』で婚約破棄されるかも?
いやいやいや。
それじゃアレができなくなっちゃう。
それだけは避けたい。
ミリフィールと出会って、乙女ゲームの事を色々聞いた。
『世界の強制力』のせいで、卒業までは婚約解消も破棄もできないであろう事も最近知った。
なので、私はアレをする為に、日々我慢をしているのです。
あと1年。
くっそう、長ぇな。
その間、空気読まない女とバカ殿下の相手すんのか~。
誰か代わってくんないかな。
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