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乙女ゲーム本編突入です。
第58話:園遊会3
しおりを挟むなんて言うんだっけ、こういうの。
水を打ったような静けさ?
自国の第一王子がパートナーに選んだ女がコレですからね。
皆様、言葉も無くなるってもんでしょう。
ヤベ、顔が笑う。隠せ隠せ。
「さっきからそれ、ムカつくんだけど」
おぉう、相変わらずの空気読めなさ加減健在。
アンタも止めなさいよ、バカ殿下。
「何で顔隠すのよ。何?高い扇だからって見せびらかしてんの?」
もう、誰か対応代わってくれないかな。
バカ殿下を睨む。
この女を止めろ!
「チョコア嬢、止めろ」
お?呼び捨てじゃないんだ。
「え?」
多分、バカ殿下からの初めての敬称呼びなのだろう。
チョコアがとても間抜け面です。
「公式の場で扇を持つのは、貴族の嗜みだ」
さすがに学園内でも王族主催のイベントだと理解してるんだね。
チョコアに貴族の常識を説明する。
「それから、フィオは俺の婚約者だ。言葉使いに気を付け、態度を改めろ」
おおぉ?私への愛称呼びは置いておいて、ちゃんと平民に立場というものを言いきかせてるよ!
「マカ様!こんな女の味方するんですか!?学園内は平等なんでしょ?」
さすがです!さすがチョコアです!
ここまでくるとむしろ尊敬します。
勘違い女は、自分も王族の一員のようなつもりなんでしょうか?
「今ここは、学園内でも社交界という別世界だ」
自分の言い分を否定されたチョコアは、私を睨んで黙り込んだ。
え?私、今、関係なくね?
バカ殿下が私を見る。
「俺のパートナーが申し訳なかった。それで、今日はこの前踊……」
「そろそろ開会したいんだけど、良いかな?」
相変わらず、バカ殿下の台詞をぶった切るのが好きですね、腹黒殿下。
まぁ、助かりましたけど。
今のは多分『ダンスの誘い』だろう。
「はい。お騒がせして申し訳ありませんでした」
ニッコリ微笑むと、ライジ殿下と一緒にいたリュオが手を差し出してくる。
エスコートの為だ。
私はその手を取り、導かれるままに腕を組んだ。
うぅ~ん。慣れてる。
一朝一夕にできる動作じゃないから、やはりリュオは高位貴族だろう。
私達が落ち着くと、陛下が開会の挨拶をした。
学園の生徒は優秀だとか、リュオが留学生だとか、私達4人が着ているドレスがリュオの国の民族衣装とドレスを組み合わせたデザインだとか、両国の関係が良好に続くように、だとかそんな挨拶。
お陰でまた4人が注目の的ですよ。
一部の方がサラのメロンに釘付けになり、パートナーの女性にコッソリ制裁されてましたが。
そして、開会のダンス。
ライジ殿下とサラは、わかる。
うん。普通。
バカ殿下とチョコアもわかる。
何でリュオと私?
ライジ殿下達と一緒に入場したから?
まさかの練習無しのぶっつけ本番デスヨ。
確かに、パーティーのダンスはパートナー以外は誘われて踊るから、ほぼぶっつけ本番だけども!
こんな衆人環視の中では踊らないわ!
チョコマカと変な動きのチョコアが、殿下の足を踏んだりしながら踊るのが視界の隅に見えた。
そんな2人に優雅に寄って行き、何事か話し掛けて離れて行くライジ殿下。
「な!?」
ダンス中に発する大きさではない声を上げて、バカ殿下の動きが一瞬止まった。
何だ?
「踊り辛くはないか?」
他に気を取られていたら、リュオから小声で話し掛けられた。
ごめん。失礼だよね。
「はい。とてもお上手で踊りやすいです。リュオ様の国でもダンスを練習したりするのですか?」
食堂では聞けない、ちょっと突っ込んだ話をしてみる。
「いや、基本はしないが、俺は外交する機会が多いからな」
おっと、やはり高位貴族確定ですね。
「フォンティーヌ嬢こそ、我が国の事をよく知っていらっしゃる」
ヤベ。藪蛇。
「申し訳ございません。着物の事だけ詳しいのです。とても素敵な装いですもの。
でも調べたのがまだ小さい頃でしたので、他の情報には疎いのです。申し訳ありません」
ご、ごまかせたかな?
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