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乙女ゲーム本編突入です。
第47話:公開された情報
しおりを挟むいつものように図書室で4人で小さく固まっていた。
テーブルの上には『甘王公式本』が置いてある。
その横に紙とペンが置いてあるのは、見えない2人の為にミリフィールが本の内容を描き写す為だ。
「このページが先日公開された新しいページだね。隠しキャラの竜人だよ」
新しく見えるようになった設定ページを開く。
少女漫画チックにはなっているが、今までの中で1番2次元と3次元が近い気がする。
「名前長いね。どこの国のお菓子かなぁ?」
サラサラと竜人のイラストを描き上げるミリフィールの言葉に、首を傾げる私。
見えない2人の為に、イラストの下に名前も書き出す。
『シュヴァルツヴェ・ド・リンツァートル』
てか、これ、お菓子の名前なの?
「本人の名前とほぼ一緒ね」
サラが驚くが、名前を覚えていない私にはわからない。
「公爵家令嬢なら、一発で覚えなさいよ。お馬鹿」
言いながら、甘王竜人の下に、リアル竜人の名前を書いてくれるサラ。
ツンデレか?ツンデレなのか?
『シュヴァルツェ・ド・リンツァルテン』
絶対に覚えられない……とは、言えないのが公爵家令嬢。辛いけど、立場上言ってはいけないのだ。
次に会う時までには覚えよう。うん。
「しかし、リュオ様が竜人じゃなかったかぁ」
ミリフィールがそんな事を呟く。
え?そんな事を思ってたの?
確かに、攻略対象でもおかしくない立ち位置ではあったけどね。
「ねぇ?その竜人も攻略対象とかってのなら、サプリと恋仲になる可能性があるわけでしょ?どこで出会うの?」
おぉ、良いツッコミですね、ジェラールさん!私もそれは知りたい。
視線をゲーム攻略済のミリフィールへと向ける。
「さぁ、知らないわ。残念ながら、隠しキャラまで行く前に、私は死んじゃったしね」
おぉう。さらりと悲しい事を言うね。
ミリフィールの前世は女子大生。
死因は交通事故。
「私は1番簡単な王子すら攻略してないからね」
手を挙げて宣言すると、3人が判ってるわよ……と言う冷たい視線を送ってきた。解せぬ。言った事ないのに。
「攻略してたら、もう少し上手く立ち回っているでしょう?」
その通りですわね、サラシーア様。
「それか、バカ殿下を矯正して王太子に相応しく教育するとかね」
それは多分攻略しててもやりませんでしたわ、ジェラール様。
「攻略してても、矯正は無理でした。
カシュールでしたが」
だよね?ミリフィール様!
「で、もう1つ公開されたのがイベントだったんだけど、ちょっと設定違うんだよね」
ミリフィールが首を傾げながら言う。
その言葉を受けて、ページをパラパラとめくり、新しく公開されたイベントのページを開いた。
「2年生の始めに擬似デビュタントが学園の催し物としてあって、そこで王子様がショコラと踊るっていう……」
イベントページの記事を要約して読み上げて、皆に説明する。
「あ、そう!そうなのよね。本来、学園内だけの公然の秘密的な馬鹿とサプリの仲が、社交界での公然になってビックリだったわ」
ミリフィール、落ち着け。
「ゲーム内では、マカディーア王子がエスコートするのはシフォンティーヌなの。
ファーストダンスだけ踊って、あとはショコラとずっといるんだけど……」
私のエスコートは、兄夫婦。
ファーストダンスどころか、バカ殿下とは一切ダンスを踊っていない。
ライジ殿下やビゼタール、ルーベンやサラの従兄の竜人とも踊ったのにね。
そういえば、竜人開放条件って「攻略対象者からの好感度を嫌われる寸前まで下げ、ノーマルエンド」だった気がする。
ゲームと現実は勿論違うだろうけど、ビゼタールとカーシューには敬遠されてるよね。
バカ殿下からの好感度は、かなり高そうだけどね!
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