【完結】悪役令嬢に転生したようです。アレして良いですか?【再録】

仲村 嘉高

文字の大きさ
上 下
47 / 113
乙女ゲーム本編突入です。

第47話:公開された情報

しおりを挟む
 


 いつものように図書室で4人で小さく固まっていた。
 テーブルの上には『甘王公式本』が置いてある。
 その横に紙とペンが置いてあるのは、見えない2人の為にミリフィールが本の内容を描き写す為だ。

「このページが先日公開された新しいページだね。隠しキャラの竜人だよ」
 新しく見えるようになった設定ページを開く。
 少女漫画チックにはなっているが、今までの中で1番2次元イラスト3次元リアルが近い気がする。
「名前長いね。どこの国のお菓子かなぁ?」
 サラサラと竜人のイラストを描き上げるミリフィールの言葉に、首を傾げる私。
 見えない2人の為に、イラストの下に名前も書き出す。
『シュヴァルツヴェ・ド・リンツァートル』
 てか、これ、お菓子の名前なの?

「本人の名前とほぼ一緒ね」
 サラが驚くが、名前を覚えていない私にはわからない。
「公爵家令嬢なら、一発で覚えなさいよ。お馬鹿」
 言いながら、甘王竜人の下に、リアル竜人の名前を書いてくれるサラ。
 ツンデレか?ツンデレなのか?

『シュヴァルツェ・ド・リンツァルテン』
 絶対に覚えられない……とは、言えないのが公爵家令嬢。辛いけど、立場上言ってはいけないのだ。
 次に会う時までには覚えよう。うん。
「しかし、リュオ様が竜人じゃなかったかぁ」
 ミリフィールがそんな事を呟く。
 え?そんな事を思ってたの?
 確かに、攻略対象でもおかしくない立ち位置ではあったけどね。

「ねぇ?その竜人も攻略対象とかってのなら、サプリチョコアと恋仲になる可能性があるわけでしょ?どこで出会うの?」
 おぉ、良いツッコミですね、ジェラールさん!私もそれは知りたい。
 視線をゲーム攻略済のミリフィールへと向ける。
「さぁ、知らないわ。残念ながら、隠しキャラまで行く前に、私は死んじゃったしね」
 おぉう。さらりと悲しい事を言うね。
 ミリフィールの前世は女子大生。
 死因は交通事故。

「私は1番簡単な王子すら攻略してないからね」
 手を挙げて宣言すると、3人が判ってるわよ……と言う冷たい視線を送ってきた。解せぬ。言った事ないのに。
「攻略してたら、もう少し上手く立ち回っているでしょう?」
 その通りですわね、サラシーア様。
「それか、バカ殿下を矯正して王太子に相応ふさわしく教育するとかね」
 それは多分攻略しててもやりませんでしたわ、ジェラール様。
「攻略してても、矯正は無理でした。
 カシュールカーシューでしたが」
 だよね?ミリフィール様!


「で、もう1つ公開されたのがイベントだったんだけど、ちょっと設定違うんだよね」
 ミリフィールが首を傾げながら言う。
 その言葉を受けて、ページをパラパラとめくり、新しく公開されたイベントのページを開いた。
「2年生の始めに擬似デビュタントが学園の催し物としてあって、そこで王子様がショコラヒロインと踊るっていう……」
 イベントページの記事を要約して読み上げて、皆に説明する。

「あ、そう!そうなのよね。本来、学園内だけの公然の秘密的な馬鹿とサプリの仲が、社交界での公然になってビックリだったわ」
 ミリフィール、落ち着け。
「ゲーム内では、マカディーア王子がエスコートするのはシフォンティーヌなの。
 ファーストダンスだけ踊って、あとはショコラとずっといるんだけど……」

 私のエスコートは、兄夫婦。
 ファーストダンスどころか、バカ殿下とは一切ダンスを踊っていない。
 ライジ殿下やビゼタール、ルーベンやサラの従兄の竜人とも踊ったのにね。


 そういえば、竜人開放条件って「攻略対象者からの好感度を嫌われる寸前まで下げ、ノーマルエンド」だった気がする。
 ゲームと現実は勿論違うだろうけど、ビゼタールとカーシューには敬遠されてるよね。
 バカ殿下からの好感度は、かなり高そうだけどね!


しおりを挟む
感想 22

あなたにおすすめの小説

初耳なのですが…、本当ですか?

あおくん
恋愛
侯爵令嬢の次女として、父親の仕事を手伝ったり、邸の管理をしたりと忙しくしているアニーに公爵家から婚約の申し込みが来た! でも実際に公爵家に訪れると、異世界から来たという少女が婚約者の隣に立っていて…。

妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢

岡暁舟
恋愛
妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢マリアは、それでも婚約者を憎むことはなかった。なぜか? 「すまない、マリア。ソフィアを正式な妻として迎え入れることにしたんだ」 「どうぞどうぞ。私は何も気にしませんから……」 マリアは妹のソフィアを祝福した。だが当然、不気味な未来の陰が少しずつ歩み寄っていた。

ヴェルセット公爵家令嬢クラリッサはどこへ消えた?

ルーシャオ
恋愛
完璧な令嬢であれとヴェルセット公爵家令嬢クラリッサは期待を一身に受けて育ったが、婚約相手のイアムス王国デルバート王子はそんなクラリッサを嫌っていた。挙げ句の果てに、隣国の皇女を巻き込んで婚約破棄事件まで起こしてしまう。長年の王子からの嫌がらせに、ついにクラリッサは心が折れて行方不明に——そして約十二年後、王城の古井戸でその白骨遺体が発見されたのだった。 一方、隣国の法医学者エルネスト・クロードはロロベスキ侯爵夫人ことマダム・マーガリーの要請でイアムス王国にやってきて、白骨死体のスケッチを見てクラリッサではないと看破する。クラリッサは行方不明になって、どこへ消えた? 今はどこにいる? 本当に死んだのか? イアムス王国の人々が彼女を惜しみ、探そうとしている中、クロードは情報収集を進めていくうちに重要参考人たちと話をして——?

【完結】熟成されて育ちきったお花畑に抗います。離婚?いえ、今回は国を潰してあげますわ

との
恋愛
2月のコンテストで沢山の応援をいただき、感謝です。 「王家の念願は今度こそ叶うのか!?」とまで言われるビルワーツ侯爵家令嬢との婚約ですが、毎回婚約破棄してきたのは王家から。  政より自分達の欲を優先して国を傾けて、その度に王命で『婚約』を申しつけてくる。その挙句、大勢の前で『婚約破棄だ!』と叫ぶ愚か者達にはもううんざり。  ビルワーツ侯爵家の資産を手に入れたい者達に翻弄されるのは、もうおしまいにいたしましょう。  地獄のような人生から巻き戻ったと気付き、新たなスタートを切ったエレーナは⋯⋯幸せを掴むために全ての力を振り絞ります。  全てを捨てるのか、それとも叩き壊すのか⋯⋯。  祖父、母、エレーナ⋯⋯三世代続いた王家とビルワーツ侯爵家の争いは、今回で終止符を打ってみせます。 ーーーーーー ゆるふわの中世ヨーロッパ、幻の国の設定です。 完結迄予約投稿済。 R15は念の為・・

公爵令嬢の辿る道

ヤマナ
恋愛
公爵令嬢エリーナ・ラナ・ユースクリフは、迎えた5度目の生に絶望した。 家族にも、付き合いのあるお友達にも、慕っていた使用人にも、思い人にも、誰からも愛されなかったエリーナは罪を犯して投獄されて凍死した。 それから生を繰り返して、その度に自業自得で凄惨な末路を迎え続けたエリーナは、やがて自分を取り巻いていたもの全てからの愛を諦めた。 これは、愛されず、しかし愛を求めて果てた少女の、その先の話。 ※暇な時にちょこちょこ書いている程度なので、内容はともかく出来についてはご了承ください。 追記  六十五話以降、タイトルの頭に『※』が付いているお話は、流血表現やグロ表現がございますので、閲覧の際はお気を付けください。

公爵令嬢を虐げた自称ヒロインの末路

八代奏多
恋愛
 公爵令嬢のレシアはヒロインを自称する伯爵令嬢のセラフィから毎日のように嫌がらせを受けていた。  王子殿下の婚約者はレシアではなく私が相応しいとセラフィは言うが……  ……そんなこと、絶対にさせませんわよ?

【完結】私なりのヒロイン頑張ってみます。ヒロインが儚げって大きな勘違いですわね

との
恋愛
レトビア公爵家に養子に出されることになった貧乏伯爵家のセアラ。 「セアラを人身御供にするって事? おじ様、とうとう頭がおかしくなったの?」 「超現実主義者のお父様には関係ないのよ」 悲壮感いっぱいで辿り着いた公爵家の酷さに手も足も出なくて悩んでいたセアラに声をかけてきた人はもっと壮大な悩みを抱えていました。 (それって、一個人の問題どころか⋯⋯) 「これからは淑女らしく」ってお兄様と約束してたセアラは無事役割を全うできるの!? 「お兄様、わたくし計画変更しますわ。兎に角長生きできるよう経験を活かして闘いあるのみです!」 呪いなんて言いつつ全然怖くない貧乏セアラの健闘?成り上がり? 頑張ります。 「問題は⋯⋯お兄様は意外なところでポンコツになるからそこが一番の心配ですの」 ーーーーーー タイトルちょっぴり変更しました(● ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾ さらに⋯⋯長編に変更しました。ストックが溜まりすぎたので、少しスピードアップして公開する予定です。 ゆるふわの中世ヨーロッパ、幻の国の設定です。 体調不良で公開ストップしておりましたが、完結まで予約致しました。ᕦ(ò_óˇ)ᕤ ご一読いただければ嬉しいです。 R15は念の為・・

悪役令嬢に転生しましたが、行いを変えるつもりはありません

れぐまき
恋愛
公爵令嬢セシリアは皇太子との婚約発表舞踏会で、とある男爵令嬢を見かけたことをきっかけに、自分が『宝石の絆』という乙女ゲームのライバルキャラであることを知る。 「…私、間違ってませんわね」 曲がったことが大嫌いなオーバースペック公爵令嬢が自分の信念を貫き通す話 …だったはずが最近はどこか天然の主人公と勘違い王子のすれ違い(勘違い)恋愛話になってきている… 5/13 ちょっとお話が長くなってきたので一旦全話非公開にして纏めたり加筆したりと大幅に修正していきます 5/22 修正完了しました。明日から通常更新に戻ります 9/21 完結しました また気が向いたら番外編として二人のその後をアップしていきたいと思います

処理中です...