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乙女ゲーム本編突入です。
第42話:デビュタント(直前)
しおりを挟む両親と兄夫婦と使用人の集大成である本日の私は、自分で言うのもなんですが無茶苦茶可憐で素敵です。
ハニーブロンドに近い金色のストールは、アップにした髪に髪飾りで留めてあります。
同じ色の手袋もして、やたらデカいルビーの付いた指輪もしております。
それに負けないネックレスとイヤリング。
「本当はピジョンブラッドにしようかと思ったんだが、敢えて明るめのフィオの瞳の色にしたんだよ」
とは、父の言葉。
兄のデビュタントはそこまで力入れてたっけ?
あ、私が階段から転げ落ちた年か。
無理矢理バカ殿下の婚約者にさせられたり、バタバタした年だわ。
まぁ基本、男性のデビュタントは令嬢のデビュタントほど気合いが入ってないけどね。
何て色々考えていたら、兄が迎えに来た。
赤いスーツに淡い水色のアスコットタイ?クラバット?とにかく、ゴージャスなネクタイを巻き、私とお揃いのルビーの飾りを付けている。
身内ながら、格好良いなぁ、おい。
で、後ろから入って来た義姉もまた、とんでもなくゴージャス美人。
ゴールドと赤のドレス。ルビーの宝飾品。
アップにした髪には、水色のストールが紫の宝石で留めてある。
兄のタイと義姉のストールは同じ色だけど、お互いの色では無い。私の髪色みたいな水色だからね!
兄、義姉、私と3人揃うとバランスが取れる着こなしになっていた。夫婦なのに、私ありきのコーディネートってどうなのよ。
私を真ん中にして嬉しそうだから、もう良いや。うん。
会場に着くと、伯爵家の入場がそろそろ終わりそうだった。
公爵家の控え室に行くと、既にサラは到着していたよ。
私を見て笑顔になり、自分の姉を見て眉間に皺を寄せる。
2人とも赤を基調にしたドレスだけど、雰囲気は大分違うのに何が不満?と思ったら、シスコン……と呟いたのが聞こえた。
この場合のシスコンはサラシーアではなく、フォンティーヌなのだ。
「なに、そのフィオがいないと成り立たないコーディネート」
呆れた声のサラに、義姉は胸を張る。
「エスコートですもの。これくらいは当然よ」
いや、一応訂正しておくと、エスコートは兄です。
この女帝のことだから、本当にエスコートしそうだけど。
え?しないよね?え?フラグ立てちゃった?
「侯爵家の入場が始まりました」
係の人の声が部屋に響く。
侯爵は全部で16だから、まだまだ時間に余裕はあるが、ミリフィールに挨拶して来ようかな。
席を立つと、サラも一緒に立ち上がる。
「ミリッフェのところでしょ?私も行くわ」
ついて来ようとする心配性の兄夫婦を制して、サラが私の腕に腕を絡めた。
ミリフィールの所に行くと、婚約者のルーベンとイチャイチャ……してない?
なんかソワソワキョロキョロしてる。
珍しく緊張してるのかと思ったら、私を見付けて駆け寄って来た。
「鳴った?鳴った?」
第一声それかい。意味わからん。
キョトンとした私を見て、溜息を吐く。
「アンタ、ホントに全然進んでなかったのね」
え?それってもしかして……
「ミリッフェ、そろそろ呼ばれるよ」
ルーベンが遠慮がちに声を掛けてきた。
あら、2人並ぶとお互いの色の入った素敵なコーディネートだわ。
正しい婚約者の姿よね。
スタイルも良いし、美男美女でお似合い。
「会場内でまた話しましょう」
侯爵家令嬢に戻ったミリフィールが挨拶をして去って行った。
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