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乙女ゲーム本編突入です。
第39話:予想通り
しおりを挟む私達の前を歩いていたライジ殿下一行と、バカ殿下ととりまきズが後ろを振り返る。
多分、異様な光景が目に入っただろう。
サラに抱き付く私と、その2人を抱きとめるジェラール。
私の傍でしゃがんでいるチョコア。
チョコアを睨みつけるミリフィール。
「何があったんだ?大丈夫か!?」
バカ殿下が駆け寄って来た。
その足に縋り付くチョコア。
それを咄嗟に避けようとしたのかバカ殿下が足を上げたため、一瞬『金色夜叉』?と思ってしまいました。
さすがに蹴らなかったけどね。
めげない女チョコアは、改めて足に縋り付く。
「酷いんです。あの人…フィオ?が私を突き飛ばしたんです」
おい、クソ女。お前は死んでもその呼び方すんな。
「チョコア嬢。貴女はもう少し常識を勉強した方が良いでしょう。ファーストネーム呼びは親しい人、愛称呼びは許された人のみです」
豆がチョコアを諫めます。
「ラストネームを持たない貴女には実感が湧かないかもしれませんが、勝手にファーストネーム…まして愛称で呼ぶなんて失礼極まりない事です」
なんだかカーシューがとても貴族らしいです。
もう遅いけどね!
カーシューに促されたアーモディがチョコアを立たせる。自分で手を貸すのは、もう嫌なんだろうな。
優しさのかけらもないアーモディの力任せな立たせ方に、他人事ながら眉間に皺が寄ってしまった。
チョコアは頑丈なので、何とも思ってないみたいだけど……
「あぁ!スカートが汚れてる!こんなのもうはけない!」
狙いはそこか!!
この前に事務員に断られたから、人のせいにしようって魂胆か!
……え?ってか、別に前と変わってなくね?
油の変色汚れがメインで、その泥汚れはどう見ても今の汚れじゃないですよね?
「どれが新しい汚れなんだ?」
直情型のアーモディが素直な疑問を口にする。
皆、心の中では拍手喝采してるよ!
「どれって、全体的に汚れましたよぉ!あ!今のでココが破けました!」
えぇ!?そんなウエスト近くのスカート部分が、今、転んだ時に破けたと!?
地面をゴロゴロ転がっても無理だわ。
いつも地面に座って木に寄りかかるから、木に引っ掛かったんじゃないの?
「それは、無理だね」
ライジ殿下が冷たく言い放ちます。
はい。終了。
どんなにゴネても、今回の件では絶対に制服は支給されませんよ。
だって、彼の言葉を覆せる人なんて陛下くらいですから。
「なん「チョコア、行くぞ」
文句を言おうとしたチョコアの言葉を遮って、バカ殿下がチョコアの手を引き歩いて行きました。
逃げたって方が正しいかもしれない。
半ばチョコアが引きずられてますもの。
最初からチョコアと一緒に歩いていれば、私が突き飛ばされる事もなかったのに~。
週明け、チョコアの制服が新しくなっていました。
何で!?と思ったら、休みの間に制服が切り裂かれ、とても着れる状態じゃなくなったとか。
寮で洗濯をし、天気が良いからと外に干していたそうです。
夕方に取り込みに行ったら、ボロボロになって落ちていたとか。
そんなに都合が良い事が起こるんですね。
そして、予想通り私のせいになってるよ。
寮生活してない私が、どうやって馬鹿女の干してある制服を切り裂くんだよ。
もし私が本気で嫌がらせするなら、炎の魔法で消炭にしますけどね。証拠なんて残すわけないじゃない。
何なら、私物全部消し炭にして、寮から出られなくしてやるわよ。
いや、恥知らずなら、パンツ一丁でも出て来るか!?
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