【完結】悪役令嬢に転生したようです。アレして良いですか?【再録】

仲村 嘉高

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乙女ゲーム本編突入です。

第37話:中庭でピクニック

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 勘違い女チョコアが特級で大騒ぎした件が、なぜかチョコアの指輪を私が意地悪で捨てた事になっていた。
 事務所に届いていたんだから、そもそも捨てられてないじゃん。
 特級の人が変な噂を立てるとは考え辛いので、これはが意図的に流した噂だと思われる。

「私の指輪が自分の指輪に似てて気に食わないからって、捨てるなんて酷いです!」
 何か後ろから聞こえる気がするけど……うん、無視。


 今日の私達はお弁当です。 
 ピクニックみたいに、中庭で食べるのですよ!
 勿論、用意は全て家の使用人です。
 ライジ殿下は参加できないと思ってたのに、王城の調理場の人が各家に1人手伝いで入る事により大丈夫だそうです。
 え、そんな力技してまで仲間に入る事なくない?
 私的には、女子会でも充分なんですけど。むしろそっちの方が大歓迎なんですけと。

 貴族のピクニックって、レジャーシートじゃなくて、絨毯なんですよ。
 裏は防水ですがね。
 それかテーブルと椅子持参。
 今日は私とミリフィールの希望で直座りです。前世でのピクニック感を出したかったので。
 それぞれが持ってきたお弁当を並べる。
 王城から料理人が来ちゃったものだから、『第二王子殿下』も食べる事がバレバレです。
 ただでさえ他家に負けるもんかと力が入っていたのに、更に王子要素が入ったもんだから、お弁当が正月のおせちのように豪華です。

「こんなに誰が食べるのかしら?」
 ジェラールが呟くが、人一倍気合が入ってるのは、なぜ?
 次期当主の為に、料理人さんが頑張ったんだろうけど。慕われてるね、ジェラール。

「温かいものがあった方が良いかと思い、スープを持ってきてみたが……」
 ライジ殿下?それはスープを持って来たのではなく、調理場を持って来たのでは?
 簡易調理台に寸胴鍋に料理人3人。
「私はデザートを持って来てみました。旬のフルーツタルトと、同じく旬のフルーツのロールケーキです。
 未来の奥様の為に気合いを入れたそうですよ」
 婚約者ルーベンの言葉と笑顔に、ミリフィールが嬉しそうに頬を染める。
 微笑ましいけど、うちらには食うなってか!?食うけどね。山ほど食うけどね!
 皆の視線がもう1人の男性へと集中する。
 何となくオチを期待する元日本人。

「俺は、ライジの所に居候の身だから、料理はない。
 俺ののお茶を持って来たが……口に合わなかったらすまん」
 実は彼はまだ自己紹介をしていない。
 何か理由ワケありのようで、この様に大勢の時は会話するが、個人的に会話はNGのようだ。
 リュオが愛称だそうで、皆でいる時はそう呼んで欲しいそうだ。

 さてと、皆でいただきますか!


「ちょっと、何で無視するのよ!学園内調理禁止って、ここなら良いの?権力横暴!」
 まだ居たんだ、チョコア。
 てか、アンタが喧嘩売ってるのは、この国の第二王子よ。
 バカ殿下と仲良いからって、王族と対等になった気でいるの!?

 席順はいつもの食堂と同じ。
 私の右隣から、大きな溜息が聞こえます。
 食堂と違って、強制的に排除するわけいきませんもんね。
 無表情ながらも不機嫌さが伝わってくる程度のライジ殿下だったが、侍従がそっと寄って来て、何やら耳打ちしたら完璧に不機嫌になった。
「勝手にしろ、と伝えておけ」
 吐き捨てるように告げるライジ殿下。
 なかなか珍しいものが見られました。


 前世のお花見のようにワイワイとお弁当をつつく。
 あれが美味しい、これのレシピを後で家の者に、これが好き、嫌いなはずが食べられる、手も口も止まらない、まさしくピクニック!
 リュオの持って来たお茶は、何と緑茶でした。しかも玉露とか、お高いやつ。
 飲み慣れてる私とミリフィールは大喜び。
 後日、家で飲む分を貰う約束までしました。

 そんな楽しい雰囲気をぶち壊す声が……
「なんだ。こんな所で食べていたのか」
 チッ。会いたくなかったぜ。


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