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乙女ゲーム本編突入です。

第26話:とりまき、その2

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 解放された設定ページを開き、ジェリラートの見事なスイカップに心の中で歓声をあげ、ジェラール嬢のちちを確認して、私とミリフィールは首を傾げた。

「サラの方が大きいわよ」
「これが二次元と三次元の違いってヤツかしら」
「当主として男装する為に、サラシとか巻いてるのかもよ?」
「いやいや、女子の制服だし」

 2人でそんなやり取りを小声でしていたら、当のジェラール嬢にバレてしまい、「おふたり共、ちょっとこちらへいらして」なんて、にこやかに大きめの観葉植物の陰に呼ばれ、子供のようにコッテリと叱られた。

 決して乳が小さいのをけなしていたのではないのよ!?と、一生懸命に説明し、最後には『甘王公式本』の事までゲロさせられた。
 伯爵令嬢怖い。
 てか、私達2人、根性なしで口が軽い?
 あ、彼女の名誉の為に言っておきますが、ジェラールは貧乳ではありません。
 普通です。Dかな?多分。
 ジェリラートは、JかKはありそう。なんせスイカップ。
 余談だが、二次元だからスイカップって良いけど、リアルだとバランス悪くてあまり良くないと思うのは、私が女だからだろうか?
 爆乳より美乳が好きだ。負け惜しみではない。


 一匹狼っぽかったジェラールだが、ただ単に次期当主だから他の令嬢に距離を置かれていただけらしい。
 結婚相手も、私達や普通の令嬢とは違い入婿を探すので、参加するお茶会と言う名の婚活パーティーも違ったらしいよ。

 そんなわけで、私達は4人のグループになった。
 とりまき、その2が仲間になった。ちょっとRPGみたいだ。
 悪役令嬢とそのとりまきっぽい!と、思っていたが「その場合の『悪役令嬢』はサラだね」とジェラールが指摘して、こっそり落ち込んだのは秘密。


 雪がチラつく寒い日。
 どこの雪山だよ!って位のモコモコになったミリフィールと、メロンだとコートの上からでも凄いな!のサラと、『お姉様って呼んで良いですか?』のジェラールと、冬に見ると何か寒そうな私が馬車を待つ間、食堂で温かい飲み物を飲んでいた。
 ここで待ってると、通った馬車が見えるのよ。

「何、あれ」
 最初に気付いたのは、サラだった。
 彼女の指差す先には、制服にストールを巻いただけの姿で、雪が降っているのにもかかわらず、クルクルと舞い踊っているサプリ娘チョコアがいた。
 相変わらず頑丈だね。

 ミリフィールに視線を向けると、顔を横に振る。ゲームではこんなイベントはなかったようだ。
 ボーっと眺めていると、三馬鹿がチョコアに駆け寄って行く。アーモディが自分のコートを掛けてやった。
 雪の中で勝手に踊っていたのに、お優しい事である。
 頭の上に積もった雪をカーシューが払い落とす。そんなに積もるほど踊っていたんかい!

 バカ殿下は何をするんだろう?と、ワクワク見ていたら、特に何もせずに4人で建物へと向かう。
 何となく拍子抜けしてしまった。

 しばらくすると、その4人が食堂へと入って来る。
 チョコアの腰に手を当て、エスコートするように歩くバカ殿下。
 こちらを見た気もするが、私達の興味は自分達を迎えに来る馬車なので、すぐに窓の外へと視線を戻す。

『学園内は、生徒は平等』と自分で言ったから、私達が挨拶をしなくても文句は言ってこない。
 いや、最初の頃は、やれ婚約者だ自分は第一王子だとか言っていたが「マカ殿下の考える平等とは、自分は除外なのですか?」と正論を返してから何も言わなくなった。
 じっとりとした何か言いたげな視線は感じるが、そんなん無視よ無視。


「チョコア、何か温かいものを飲んだ方が良いだろう」
 バカ殿下の声が食堂内に響く。
 必要以上に大きいのは、私に聞かせる為だろう。
 それにしても呼び捨てですか。
 身内という認識をにされますけど、わざとなんでしょうね。
 婚約者よりも親しいと、皆に宣言している、と。

「チョコア、ココアが良いかい?カフェオレ?」
 カーシューの声が聞こえる。さ
 その瞬間、隣のモコモコが動いた。
「カーシュー様?ワタクシの言葉は、貴方には伝わらないようですね?」
 立ち上がってニッコリと笑うミリフィール。
 凄まじい笑顔で、言われたカーシューは勿論の事、周りの私達も蒼白になった。


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