【完結】悪役令嬢に転生したようです。アレして良いですか?【再録】

仲村 嘉高

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乙女ゲーム本編突入です。

第25話:別にどうでも良い情報だ

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『悪役令嬢に絡まれた!どうしよう?
⬜︎ごめんなさいと素直に謝る
⬜︎とりあえず泣いて時間を稼ぐ
⬜︎自分の意見を相手に伝える
さて、どうすると王子様が来てくれるかな?』

 ちょっと2番目!?ダメな女の見本じゃないか?時間を稼ぐって言っちゃう?
 しかし、選択肢としては3番目だったんだろうけど、あのサプリ娘チョコアの態度は、自分の意見を相手に伝えるになるのか?
 そもそも絡んだわけじゃないけどな!


 このイベントから3ヶ月が経っていた。
 人の口に戸は建てられない。
 昔の人は上手い事言ったもんだ。

 私達3人とチョコアのやり取り、そこに現れたバカ殿下の行動。
 そして私達と別れた後の2人の行動。
 それら全てを見ていた人がいたようだ。
 チョコア以外の学園の生徒は全員貴族か準貴族なので、地面に直接座るなどという行動を推奨する人間はいない。
 ピクニックの様な事をする事はあるが、ちゃんと敷物は敷くし、食べ物は全て紙か布で包まれて食べやすくなっている。
 なぜかハンカチを持っていると言いながら、スカートで手を拭いていたなんて細かい事まで噂されている。怖っ。

 もっと怖いのが、最近流れている映像。
「ありがとうございました。マカ様」とチョコアがパイ屑の付いた顔でお礼を言い、「大切なチョコアの為だ。何でもない」と言いながらも、そっとチョコアの体を押し離すバカ殿下。
 私達と別れた後の2人の映像が、なぜかコッソリと出回っている。
 これは闇属性の誰かが、妖精に録画させたのだろう。
 一応確認したが、義姉ではなかった。


「誰なんだろうね」
 食堂の貴族スペースの一画で、サラが問題の映像を眺めながら呟く。
 学園内の噂掲示板とでも言おうか。
 前世でのツイッターみたいな感じ。ちょっと違う所は、発信者が匿名の事が多い。
「イベントでは、腰に手をまわして軽く抱きしめるんだよね。良いスチルだったのに」
 ミリフィールは『甘王公式本』をテーブルの上に置いて見ている。

「私、最近同情的な視線を感じるよ。浮気されて云々うんぬんじゃなくて、バカ殿下の婚約者で可哀相みたいな」
 溜息をきつつ、ハイビスカスティーを一口飲んだ。

「チョコア様っていえば、ビゼタール先生にストールを買わせたらしいわよ」
 サラの後ろを偶然通ったジェラール・プリシング伯爵令嬢が、不意に会話に加わって来た。
 こちらの会話は聞こえていなかったようで、サラの見ているチョコアの映像を見て声を掛けて来たようだ。
「買わせたって何?」
 サラが振り向きながら聞く。
 ジェラール嬢は背が高いので、首が痛そうだ。
「制服だけじゃ寒いから、上に着るものも支給するのが普通でしょ?と」
 えぇ~そこは生徒全員自分で用意してるのに。
「暖かくなるまで、自分は学園に来なくても構わないんだけど、とか脅したらしいわよ」
 魔力の高い平民は、学園に通うのは強制だからね。
 辞められたら困る……困らなくない?別に。

「少し違いますね。私が買ったのではなく、国に申請しただけですよ」
 おぉう。いつの間に来たのよ、ロリコン講師ビゼタール
「どうせ授業に付いていけてませんから、留年して暖かい季節だけ通っても問題ないんですけどね」
 鬼だ。鬼がいるよ。
 この人、攻略対象者だよね?ヒロインに惚れるんだよね?
 むしろ嫌ってるように見えるんだけど。


「ジェラール嬢、貴女が拗ねるから真相を話したのですよ?あまり他の人に言いふらすのは感心しませんね」
 ビゼタールがジェラール嬢に腕を差し出す。
 ん?
「あら、だって婚約者がチョコア様に嫌な干渉されている仲間ですもの」
 ビゼタールの腕に、自分の腕を絡めながらジェラール嬢が言う。
 んん?婚約者って?
 表情に出ていたのだろう。私を見たジェラール嬢が悪戯っぽく笑う。
「まだ立場上おおやけではありませんが、婚約が決まっておりますの。
 今、婚約してしまうと、私の成績の公平性が疑われるでしょう?」
 確かに。次期伯爵家当主としては、それは避けたいよね。

 **ピンポーン**
<設定ページ一部閲覧可能になりました>

 これは、今後開示される事がないであろう情報が閲覧可能になったんだな。
 確かに、ジェラール嬢がアーモディの婚約者になる事は絶対にないだろう。
 しかしビゼタールよ。お前、相手が違うだけでやっぱりロリコン講師だったな。
 別にどうでも良い情報だけどな!ロリコン確定は!


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