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乙女ゲーム本編突入です。
第22話:情報をありがとう
しおりを挟むサロンでの一悶着の後、結局4人は王族特別室に行ったらしいが、先にいた第二王子ライジ様にやんわりと責められたらしい。サラ情報。
「王族特別室に初めて呼ぶ女性という事は、そういう事で良いのかな?」とのライジ殿下の言葉に、バカ殿下が真っ先に踵を返したらしい。わぉ、第二王子怖いわ。
今いるのは、私の家の私の部屋。
目の前のテーブルには、『甘王公式本』と紅茶とクッキー。
今日は学園はお休みで、待望の転生者トーク日ですよ。
面子は私とミリフィールと、なぜかサラ。
サラは『甘王公式本』は見えない事を確認済み。
なのに「2人で遊ぶのズルい~私も呼んで~」と駄々を捏ね、口外無用の約束でここにいる。
「転生って言うの?楽しそうね」
なんて、私達の話を聞いている。
ミリフィールの前世は、漫画家志望の大学生だったらしく、公式本ばりのイラストが描ける。
ちなみに、ゆるふわオサレ女子は、前世かららしい。
そんなミリフィールは、ゲームの殿下やとりまきたちのイラストをスラスラ描いてサラに見せていた。
「甘王公式本って、結局発売されてないんですよね~。データが全てどこかに消えてしまったんですって。ウィルスか!?なんて、一時期大騒ぎでしたよ」
カシュールを描きながら誰に言うでもなくミリフィールが話している。
私が前世から消滅した事により、妹の人生は変わったはず。
編集者にはならなかったのだろうか?
それももう、確認のしようがないけどね。
「しかし、現実の攻略対象者って、馬鹿ばかりなんですかね?」
ペラリとページをめくって、今度はゲームの自分『ミルフィー・ビスコーティー』を描いて、サラを爆笑させている。
サラの爆笑は二度目で、勿論一度目は『シフォンティーヌ・エクレール』ゲームの私だ。
ペラリと設定ページを1枚めくり、ミリフィールの手が止まる。
「あれ?アーモンディ・クラフの婚約者情報が見られないよ?」
「私が会ってないから、情報開示されてないんだよね」
2人で話していると、サラが首を傾げる。
「アーモンディって名前からして、アーモディ様の事よね?彼に婚約者はいないわよ?」
なんですと!?
「騎士爵家の第二子よ?よっぽど優秀ならともかく、嫁に行きたい令嬢なんていないわよ。
お兄様はとても優秀な騎士ですもの。騎士爵は間違いなくお兄様が継ぐわ」
それって、要は彼は成人したら平民とほぼ同等って事よね。優秀なら騎士になれるかもしれないけど、今のままだとそれも望み薄だ。
バカ殿下、とりまき2がそれで良いの?
「ゲームでは伯爵家の令嬢だったのよね。プディングみたいな名前の……おっぱいの大きい……」
「サラより?」
私の問いに、ミリフィールが頷く。
「あれはスイカップだわ」
「サラは?」
「メロン?」
サラに殴られた。
私達2人とも。
「プディング、プディング……プリシング家ならあるけど。
ジェラール・プリシング伯爵家令嬢。
プリシング家は見事な女系だから、当主は代々女性なのよ。だから第一子は女児でも男児でも大丈夫な名前を用意するのですって」
幼少期、私と違い他家と交流していたサラは、色々な情報に明るい。
そして侯爵家より、公爵家の方が情報量も多い。
本来、私もこのくらいの情報がわかる交流があるはずなのに……。
「そういえば子供の頃のお茶会で、ジェラール嬢に婚約者になれって迫って泣かされた子がいたわね」
ミリフィールが意地悪く笑う。
「あぁ、『俺は騎士の息子だぞ、お前の家に俺ほど相応しい者はいない』とか馬鹿言って、コテンパンに伸された馬鹿か~」
サラが馬鹿馬鹿言ってるのは、わざとよね。きっと。
多分、彼女がゲームのとりまき2だろう。
ジェラート・プディングみたいな名前だったと思われる。
『甘王』は、色々スイーツだからな。登場人物の頭の中身とかな!
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