18 / 113
乙女ゲーム本編突入です。
第18話:ヒロインって……
しおりを挟むうふふ、キラキラ綺麗。
……なんて、呑気に思えませんよ、コレ。
ダイヤモンドダストですよ。
発生源は、勿論、母と兄。
両親、私に隠れて参加していたようです。
こっそり高位貴族用ボックス席に来るだろう事は予想範囲内だったが、アイドルのコンサートの様にそこからダイヤモンドダストが吹き出しているよ、母。
保護者席にいる兄は……おぉう、講堂がピシリと家鳴りみたいな音をたてたよ。
このデカイ建物を、外気温との差で音が鳴るほど冷やすってダメだろ。
私達が席変更になる経緯を見てたから、余計に怒り心頭なんだろうな~。
なんて考えていたら、隣からそっと手を握られた。
サラの手だ。
「フィオ?さすがに寒いわ」
ニッコリと笑顔。怖っ。
でもサラに言われて気付いた。
私も無意識に冷気を出していたみたい。
肩の力を抜く。
同じようなやりとりが母と兄の所でもあったのだろう。
余韻を残しながら、ダイヤモンドダストが消えていった。
その他は滞りなく、入学式は終了した。
生徒は教室に移動する為に退出する。
出口に近い順で退出するのだから、当然私の前はバカ殿下達。
講堂から一歩出た途端、チョコアがバカ殿下の腕を掴んだ。
不敬なんてものじゃない。
何やってるんだ、このサプリ娘は!
「マカ様、わたし感動しました。
特にあの『全ての者が平等であるべきだ』の台詞に!」
ちょ、何でアンタが愛称で呼んじゃってるわけ?
声もデカイし、周りを見て!!
冷めた目で見られてるわよ。第一王子の愛称呼びもそうだし、話の内容も馬鹿丸出しだし。
前世の日本のように、しっかりとした法整備がされていて初めて『法の下での平等』と言うものが成立するのであって、闇雲に平等なんて無理なのよ。
せめて、公平な社会を……だったらまだ良かったのにな!
ウッキィーと、心の中で怒りを爆発させていると、またもや響く音。
出会いだから、イベント盛り沢山なの!?
**ピンポーン**
<イベントが一つ解放されました>
<新しいページが一部閲覧可能になりました>
ダメだ、気になる!
どこか、どこかで『甘王公式本』を私に閲覧させてくれ~
あ!!あるよ、ありますよ!
ひとりになれる所!!
万国共通、1人で入る所!
前世では、たまに、飲み屋とかクラブとか、良からぬ事をする馬鹿もいたけど。
子供の頃は親が一緒だったけど。
そう。トイレだ。
でもこの世界のトイレって、異様に広いんだぜ~。
なぜなら、ドレスを着てる時はひとりで入れないからだ。特にヒラヒラフワフワしたドレスの時は、水分注意だ。
「サラ。私、ちょっと……」
トイレの在る方向を示し、寄ってから行く事を伝える。
「あら、一緒に行きましょうか?」
どこまで本気かわからないサラの申し出を丁寧に断る。
制服はツーピースなので、お手伝いは要りません。
あまり時間はないので、ちょっと早足でトイレに向かう。
あれ?これ、もしかして、トイレ我慢してるように見えない?
トイレの個室に入る。
日本人の感覚だと、駅とかにある多目的トイレの4倍位ありそうだ。
トイレの中にも簡易椅子がある。侍従用だね。ここに人がいたら確実に落ち着かないな。
その侍従用の椅子に腰掛け、両手を広げる。丁度雑誌が乗るくらいの間隔のそこに『甘王公式本』が現れた。
名前:ショコラ
爵位:平民だが魔力が多い為に学園に入学。その前は、下町のパン屋で両親と暮らす。
髪色:ショコラブラウン
瞳 :ヘーゼルブラウン
属性:聖
うわ、本人よりもイラストが遥かに可愛い。
髪の毛は手入れされた巻髪でフワフワしてて、艶やかで赤みがかった茶色。
瞳もまつ毛バッチリのクリクリぱっちり二重。
今の世界で、下町のパン屋の娘がこのレベルのわけないわな。
ん?聖属性??
この世界、聖って属性ないんだよね。近いのは光属性かな。
光属性は、少ないけどいないわけではない。保護されるほど希少ではないけど。
それか、初の聖属性なのかしら?ショコラってチョコレートの事だし、チョコアも体に良い何かを持ってる?
カカオポリフェノールって体に良いんだよね!
カカオ70%以上だと「血圧低下」「動脈硬化予防」「老化防止」とかあるらしいし。
60
お気に入りに追加
1,933
あなたにおすすめの小説

妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢
岡暁舟
恋愛
妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢マリアは、それでも婚約者を憎むことはなかった。なぜか?
「すまない、マリア。ソフィアを正式な妻として迎え入れることにしたんだ」
「どうぞどうぞ。私は何も気にしませんから……」
マリアは妹のソフィアを祝福した。だが当然、不気味な未来の陰が少しずつ歩み寄っていた。

ヴェルセット公爵家令嬢クラリッサはどこへ消えた?
ルーシャオ
恋愛
完璧な令嬢であれとヴェルセット公爵家令嬢クラリッサは期待を一身に受けて育ったが、婚約相手のイアムス王国デルバート王子はそんなクラリッサを嫌っていた。挙げ句の果てに、隣国の皇女を巻き込んで婚約破棄事件まで起こしてしまう。長年の王子からの嫌がらせに、ついにクラリッサは心が折れて行方不明に——そして約十二年後、王城の古井戸でその白骨遺体が発見されたのだった。
一方、隣国の法医学者エルネスト・クロードはロロベスキ侯爵夫人ことマダム・マーガリーの要請でイアムス王国にやってきて、白骨死体のスケッチを見てクラリッサではないと看破する。クラリッサは行方不明になって、どこへ消えた? 今はどこにいる? 本当に死んだのか? イアムス王国の人々が彼女を惜しみ、探そうとしている中、クロードは情報収集を進めていくうちに重要参考人たちと話をして——?

公爵令嬢の辿る道
ヤマナ
恋愛
公爵令嬢エリーナ・ラナ・ユースクリフは、迎えた5度目の生に絶望した。
家族にも、付き合いのあるお友達にも、慕っていた使用人にも、思い人にも、誰からも愛されなかったエリーナは罪を犯して投獄されて凍死した。
それから生を繰り返して、その度に自業自得で凄惨な末路を迎え続けたエリーナは、やがて自分を取り巻いていたもの全てからの愛を諦めた。
これは、愛されず、しかし愛を求めて果てた少女の、その先の話。
※暇な時にちょこちょこ書いている程度なので、内容はともかく出来についてはご了承ください。
追記
六十五話以降、タイトルの頭に『※』が付いているお話は、流血表現やグロ表現がございますので、閲覧の際はお気を付けください。

婚約者から婚約破棄をされて喜んだのに、どうも様子がおかしい
棗
恋愛
婚約者には初恋の人がいる。
王太子リエトの婚約者ベルティーナ=アンナローロ公爵令嬢は、呼び出された先で婚約破棄を告げられた。婚約者の隣には、家族や婚約者が常に可愛いと口にする従妹がいて。次の婚約者は従妹になると。
待ちに待った婚約破棄を喜んでいると思われる訳にもいかず、冷静に、でも笑顔は忘れずに二人の幸せを願ってあっさりと従者と部屋を出た。
婚約破棄をされた件で父に勘当されるか、何処かの貴族の後妻にされるか待っていても一向に婚約破棄の話をされない。また、婚約破棄をしたのに何故か王太子から呼び出しの声が掛かる。
従者を連れてさっさと家を出たいべルティーナと従者のせいで拗らせまくったリエトの話。
※なろうさんにも公開しています。
※短編→長編に変更しました(2023.7.19)
毒を盛られて生死を彷徨い前世の記憶を取り戻しました。小説の悪役令嬢などやってられません。
克全
ファンタジー
公爵令嬢エマは、アバコーン王国の王太子チャーリーの婚約者だった。だがステュワート教団の孤児院で性技を仕込まれたイザベラに籠絡されていた。王太子達に無実の罪をなすりつけられエマは、修道院に送られた。王太子達は執拗で、本来なら侯爵一族とは認められない妾腹の叔父を操り、父親と母嫌を殺させ公爵家を乗っ取ってしまった。母の父親であるブラウン侯爵が最後まで護ろうとしてくれるも、王国とステュワート教団が協力し、イザベラが直接新種の空気感染する毒薬まで使った事で、毒殺されそうになった。だがこれをきっかけに、異世界で暴漢に腹を刺された女性、美咲の魂が憑依同居する事になった。その女性の話しでは、自分の住んでいる世界の話が、異世界では小説になって多くの人が知っているという。エマと美咲は協力して王国と教団に復讐する事にした。

婚約破棄ですか???実家からちょうど帰ってこいと言われたので好都合です!!!これからは復讐をします!!!~どこにでもある普通の令嬢物語~
tartan321
恋愛
婚約破棄とはなかなか考えたものでございますね。しかしながら、私はもう帰って来いと言われてしまいました。ですから、帰ることにします。これで、あなた様の口うるさい両親や、その他の家族の皆様とも顔を合わせることがないのですね。ラッキーです!!!
壮大なストーリーで奏でる、感動的なファンタジーアドベンチャーです!!!!!最後の涙の理由とは???
一度完結といたしました。続編は引き続き書きたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

ある王国の王室の物語
朝山みどり
恋愛
平和が続くある王国の一室で婚約者破棄を宣言された少女がいた。カップを持ったまま下を向いて無言の彼女を国王夫妻、侯爵夫妻、王太子、異母妹がじっと見つめた。
顔をあげた彼女はカップを皿に置くと、レモンパイに手を伸ばすと皿に取った。
それから
「承知しました」とだけ言った。
ゆっくりレモンパイを食べるとお茶のおかわりを注ぐように侍女に合図をした。
それからバウンドケーキに手を伸ばした。
カクヨムで公開したものに手を入れたものです。

公爵令嬢を虐げた自称ヒロインの末路
八代奏多
恋愛
公爵令嬢のレシアはヒロインを自称する伯爵令嬢のセラフィから毎日のように嫌がらせを受けていた。
王子殿下の婚約者はレシアではなく私が相応しいとセラフィは言うが……
……そんなこと、絶対にさせませんわよ?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる