14 / 113
乙女ゲーム本編突入です。
第14話:今日は入学式
しおりを挟む9月のとても晴天の吉日。
私の心は曇天です。
今日は王立魔法学園入学式です。
入学式を見に来たいと言う両親をなんとかなだめて、公爵家の馬車で学園へと向かいます。
残念な事に、私1人ではございません。
両親よりも遥かに問題のある兄夫婦が同乗しております。
妹の晴れ舞台(特に何もしません)を見逃さないように、義姉など妖精を引き連れての参加です。
私に妖精をつかせて、晴れ姿を記録するそうです。
えぇ~、お義姉様~貴重な闇魔法、そんな事に使って良いのですか?と、個人的には心配になります。
兄夫婦と別れて、クラス分けの確認をします。
学園のクラス分けは能力順ですので、当然私は特級です。
んん?何故かバカ殿下も一緒です……これが権力の力ってヤツですね。
公明正大をうたっている割に、権力に屈しているのを表明してますが……私には関係ないので、まぁ、良いでしょう。
そもそも、本来バカ殿下は一つ上の学年のはずなのです。
私と第二王子は同い年ですが、バカ殿下は3か月ほど早く生まれています。
まぁ、どうでも良いです。
私には関係ないですから。
確か6月生まれでしたけど、私はその時期『療養中』でしたからね。
誕生日パーティーは勿論欠席です。
運悪く、バカ殿下の誕生日の1週間ほど前から、中等科の卒業式1週間後まで体調が崩れてしまったのですもの。
しょうがないですわよね。
毎年夏前の時期は、季節の変わり目で体調を崩してしまうのですもの。
しかし、貴族がほとんどのこの学園で、クラス分けの発表が掲示板ってどうなの?
この辺が『乙女ゲーム』の世界観で、日本式なのか?
おっと、思考とはいえ本性が出てしまった。
長年の貴族令嬢生活で対外的な部分では上品になったが、やはり基本はガサツなまま。残念。
バカ殿下呼びも、ヤツが成長して尊敬できる人物になったら止めようと思っていたが、馬鹿はやはり馬鹿だった。残念。
「お前も特別クラスになれたようだな」
偉そうな声に振り返ると、予想通りの馬鹿面がいた。
寧ろ、何でアンタが特級にいるのか小一時間問い詰めたい。
隣で偉そうにしてる2人は……
アーモンドとカシューナッツ。
しかもアーモンドは確実に特級に名前なかったぞ。
カシューナッツは正式名知らんからわからんがな。
「これはマカ殿下。お久しゅう御座います」
人混みなので完璧なカーテシーは出来ないので、簡易の挨拶をする。
「王族に対してちゃんとした挨拶も出来ないのですか。残念な方ですね」
残念なのはお前の頭だ。宰相の息子のカシューナッツ。
今のお前は、私より立場が下だろう?
自己紹介もなく話し掛けるなんて言語道断だ!
なので、私からお前は見えない、透明人間だからな!!
「マカ殿下、ワタクシはこれから予定がございますのでお暇させて頂きますわね」
有無を言わせず一息で言い切って、その場を後にする。
予定なんかないが、三馬鹿と一緒に居たくないわ。
学園の入学式は、さすがに人数が膨大なので序列で入場なんて面倒な事はしない。
ただ座る席順は暗黙で決まっている。
下位の方は正直わからないが、侯爵までは、確実に固定されていた。
開始時間までを上位貴族用サロンで過ごし、同じ公爵家令嬢のサラと会場に向かう。
サラは、サラシーア・カヌーレイと言い、例の義姉の妹である。
義姉と同じ迫力のある美人なので、私と2人並ぶとちょっと近寄り難くなるよ。
瞳はほんのり赤みがかっているプラムのような色でとても可愛いんだけどね。
他が迫力満点過ぎる。15歳で既にボンキュッボンだしね。
悔しくなんてないんだからね!
会場内に足を踏み入れると、なんかザワザワと落ち着かない。
入学式でソワソワしてる…なんて、明るい雰囲気ではなく、何となく不穏な雰囲気。
何でだろう?と、不思議に思いながら自席へ行って理由が判りました。
私の指定席に座っている人がいます。
うわぁ、面倒臭ぇ~何で座ってるかな~。
60
お気に入りに追加
1,933
あなたにおすすめの小説

妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢
岡暁舟
恋愛
妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢マリアは、それでも婚約者を憎むことはなかった。なぜか?
「すまない、マリア。ソフィアを正式な妻として迎え入れることにしたんだ」
「どうぞどうぞ。私は何も気にしませんから……」
マリアは妹のソフィアを祝福した。だが当然、不気味な未来の陰が少しずつ歩み寄っていた。

ヴェルセット公爵家令嬢クラリッサはどこへ消えた?
ルーシャオ
恋愛
完璧な令嬢であれとヴェルセット公爵家令嬢クラリッサは期待を一身に受けて育ったが、婚約相手のイアムス王国デルバート王子はそんなクラリッサを嫌っていた。挙げ句の果てに、隣国の皇女を巻き込んで婚約破棄事件まで起こしてしまう。長年の王子からの嫌がらせに、ついにクラリッサは心が折れて行方不明に——そして約十二年後、王城の古井戸でその白骨遺体が発見されたのだった。
一方、隣国の法医学者エルネスト・クロードはロロベスキ侯爵夫人ことマダム・マーガリーの要請でイアムス王国にやってきて、白骨死体のスケッチを見てクラリッサではないと看破する。クラリッサは行方不明になって、どこへ消えた? 今はどこにいる? 本当に死んだのか? イアムス王国の人々が彼女を惜しみ、探そうとしている中、クロードは情報収集を進めていくうちに重要参考人たちと話をして——?

公爵令嬢の辿る道
ヤマナ
恋愛
公爵令嬢エリーナ・ラナ・ユースクリフは、迎えた5度目の生に絶望した。
家族にも、付き合いのあるお友達にも、慕っていた使用人にも、思い人にも、誰からも愛されなかったエリーナは罪を犯して投獄されて凍死した。
それから生を繰り返して、その度に自業自得で凄惨な末路を迎え続けたエリーナは、やがて自分を取り巻いていたもの全てからの愛を諦めた。
これは、愛されず、しかし愛を求めて果てた少女の、その先の話。
※暇な時にちょこちょこ書いている程度なので、内容はともかく出来についてはご了承ください。
追記
六十五話以降、タイトルの頭に『※』が付いているお話は、流血表現やグロ表現がございますので、閲覧の際はお気を付けください。

婚約者から婚約破棄をされて喜んだのに、どうも様子がおかしい
棗
恋愛
婚約者には初恋の人がいる。
王太子リエトの婚約者ベルティーナ=アンナローロ公爵令嬢は、呼び出された先で婚約破棄を告げられた。婚約者の隣には、家族や婚約者が常に可愛いと口にする従妹がいて。次の婚約者は従妹になると。
待ちに待った婚約破棄を喜んでいると思われる訳にもいかず、冷静に、でも笑顔は忘れずに二人の幸せを願ってあっさりと従者と部屋を出た。
婚約破棄をされた件で父に勘当されるか、何処かの貴族の後妻にされるか待っていても一向に婚約破棄の話をされない。また、婚約破棄をしたのに何故か王太子から呼び出しの声が掛かる。
従者を連れてさっさと家を出たいべルティーナと従者のせいで拗らせまくったリエトの話。
※なろうさんにも公開しています。
※短編→長編に変更しました(2023.7.19)
毒を盛られて生死を彷徨い前世の記憶を取り戻しました。小説の悪役令嬢などやってられません。
克全
ファンタジー
公爵令嬢エマは、アバコーン王国の王太子チャーリーの婚約者だった。だがステュワート教団の孤児院で性技を仕込まれたイザベラに籠絡されていた。王太子達に無実の罪をなすりつけられエマは、修道院に送られた。王太子達は執拗で、本来なら侯爵一族とは認められない妾腹の叔父を操り、父親と母嫌を殺させ公爵家を乗っ取ってしまった。母の父親であるブラウン侯爵が最後まで護ろうとしてくれるも、王国とステュワート教団が協力し、イザベラが直接新種の空気感染する毒薬まで使った事で、毒殺されそうになった。だがこれをきっかけに、異世界で暴漢に腹を刺された女性、美咲の魂が憑依同居する事になった。その女性の話しでは、自分の住んでいる世界の話が、異世界では小説になって多くの人が知っているという。エマと美咲は協力して王国と教団に復讐する事にした。

婚約破棄ですか???実家からちょうど帰ってこいと言われたので好都合です!!!これからは復讐をします!!!~どこにでもある普通の令嬢物語~
tartan321
恋愛
婚約破棄とはなかなか考えたものでございますね。しかしながら、私はもう帰って来いと言われてしまいました。ですから、帰ることにします。これで、あなた様の口うるさい両親や、その他の家族の皆様とも顔を合わせることがないのですね。ラッキーです!!!
壮大なストーリーで奏でる、感動的なファンタジーアドベンチャーです!!!!!最後の涙の理由とは???
一度完結といたしました。続編は引き続き書きたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

ある王国の王室の物語
朝山みどり
恋愛
平和が続くある王国の一室で婚約者破棄を宣言された少女がいた。カップを持ったまま下を向いて無言の彼女を国王夫妻、侯爵夫妻、王太子、異母妹がじっと見つめた。
顔をあげた彼女はカップを皿に置くと、レモンパイに手を伸ばすと皿に取った。
それから
「承知しました」とだけ言った。
ゆっくりレモンパイを食べるとお茶のおかわりを注ぐように侍女に合図をした。
それからバウンドケーキに手を伸ばした。
カクヨムで公開したものに手を入れたものです。

公爵令嬢を虐げた自称ヒロインの末路
八代奏多
恋愛
公爵令嬢のレシアはヒロインを自称する伯爵令嬢のセラフィから毎日のように嫌がらせを受けていた。
王子殿下の婚約者はレシアではなく私が相応しいとセラフィは言うが……
……そんなこと、絶対にさせませんわよ?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる