6 / 113
乙女ゲームに転生したようです。
第6話:2次元と3次元の差なの?
しおりを挟む何の情報もない主人公のページを見ていてもしょうがない。
もう1ページめくってみる。
見開きの右側に私が生前に唯一やってみた王子のイラストがあった。
端正な顔のアップと、9どころか10頭身はありそうなスタイル抜群の全身のイラスト。
その脇に、主人公と同じような設定が書いてあるが、こちらはそれなりに読めそうだった。
右側の王子のイラストを眺める。
好みではないが、とても整った顔をしている。前世の言葉で表現するなら、チャラ男だろうか。
王子なのに、チャラ男ってどうなの?
名前:マカディーア・フォン・パティシエーリル
ん?
爵位:パティシエーリル王国第一王子
んん?
髪色:バターを溶かしたような艶のある金色
ちょっと待て??
瞳 :クランベリーのような深みのある赤
なぁんだ、じゃあ違うか。
あの馬鹿はクランベリーってよりも、ブルーベリーだ。
ほとんど赤くない。
って、そんなわけあるかぁ!!
これどう考えてもあのクソ王子の事でしょ?
名前がちょっとひねってあるけど、ほぼ一緒じゃんか。
あの馬鹿の正式名は
『マカルディー・フォン・ティシエール』
他は?他の情報はないの?
あぁ、属性は火属性って書いてあるけど、この世界では一番持っている人が多い属性だ。
幼い頃からの婚約者がいるって、そんなの貴族では珍しくもない。
貴族の階級を重んじる体制に疑問を持っている?
いやいや、国の第一王子がそれじゃダメでしょ。
それにこのイラストの設定年齢はおそらく18歳くらい。
今の王子の容姿とは似ても似つかない。
チャラ男で好みではないが、イラストの王子は間違いなく美男子だ。
いや、これは2次元と3次元の差なのか?
となりのページは、主人公よりも情報がない。
姿が真っ黒なシルエットなのは一緒だが、全ての情報が文字化けしているからだ。
判る情報が何一つない。
どこか、ほかに情報はないの?
更にページをめくると、突然のカラーページ。
手を止めると、いかにも意地悪そうな顔の女性のイラスト。
緩やかなウェーブのついたハニーブロンドをハーフアップにして、ゴテゴテと飾り付けている。
ドレスもこれでもかって位の派手なヤツで、胸元をババーンと強調している。
うわぁ……と思って名前を見ると
『シフォンティーヌ・エクレール』
おい、ふざけんなよ。
これってもしかして私??
私の名前はフォンティーヌ・エルクエールである。
これで赤の他人て事はないでしょう。
えぇ~私ってこんなに意地の悪い顔してるの?
口元なんて生肉でも喰ったのかってくらい真っ赤でテカテカで、ニヤリって笑ってるんだよ。
悪魔かよ!!
ハッ!設定!設定確認しなきゃダメよね?
名前:シフォンティーヌ・エクレール
爵位:公爵家の長女
髪色:蜂蜜色
瞳 :ブルーベリーのような蒼色
属性:水
※第一王子の婚約者。
公爵家である事、第一王子の婚約者である事に全てのプライドをかけている。
主人公が王子ルートに入った場合、一番邪魔してくる。
他に%%67や$5$#のルートだと、婚約者の味方として出てくる。
えぇ~あんなクソ王子だったら、熨斗つけてくれてやるのに。
綺麗にラッピングして、花束つけて贈るよ。
公爵家である事にプライドは持つけどね!
そこは貴族の矜持って言うかさ、領民からの税金で生活しているわけよ私達貴族は。
だから領民の生活に責任を持たなきゃいけないし、何かあった場合は領民を守らなきゃいけないのよ。
それを実行している父を心から尊敬しているし、父を支える母の事も尊敬している。
両親の様な結婚が出来たら良いなと、前世の記憶が戻る前の私は思っていた。
今でも思っている。
それがあのクソ王子と婚約だと?
脳みそに皺があるのかも疑わしいあの御馬鹿王子と、両親のような関係は無理だ。
それにしても、クソ王子以上に私の設定は差異がある。
髪はハニーブロンドではなく水色だし、瞳もブルーベリーではなくクランベリーのような赤だ。
この差はなんなんだろう?
72
お気に入りに追加
1,933
あなたにおすすめの小説

妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢
岡暁舟
恋愛
妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢マリアは、それでも婚約者を憎むことはなかった。なぜか?
「すまない、マリア。ソフィアを正式な妻として迎え入れることにしたんだ」
「どうぞどうぞ。私は何も気にしませんから……」
マリアは妹のソフィアを祝福した。だが当然、不気味な未来の陰が少しずつ歩み寄っていた。

ヴェルセット公爵家令嬢クラリッサはどこへ消えた?
ルーシャオ
恋愛
完璧な令嬢であれとヴェルセット公爵家令嬢クラリッサは期待を一身に受けて育ったが、婚約相手のイアムス王国デルバート王子はそんなクラリッサを嫌っていた。挙げ句の果てに、隣国の皇女を巻き込んで婚約破棄事件まで起こしてしまう。長年の王子からの嫌がらせに、ついにクラリッサは心が折れて行方不明に——そして約十二年後、王城の古井戸でその白骨遺体が発見されたのだった。
一方、隣国の法医学者エルネスト・クロードはロロベスキ侯爵夫人ことマダム・マーガリーの要請でイアムス王国にやってきて、白骨死体のスケッチを見てクラリッサではないと看破する。クラリッサは行方不明になって、どこへ消えた? 今はどこにいる? 本当に死んだのか? イアムス王国の人々が彼女を惜しみ、探そうとしている中、クロードは情報収集を進めていくうちに重要参考人たちと話をして——?

公爵令嬢の辿る道
ヤマナ
恋愛
公爵令嬢エリーナ・ラナ・ユースクリフは、迎えた5度目の生に絶望した。
家族にも、付き合いのあるお友達にも、慕っていた使用人にも、思い人にも、誰からも愛されなかったエリーナは罪を犯して投獄されて凍死した。
それから生を繰り返して、その度に自業自得で凄惨な末路を迎え続けたエリーナは、やがて自分を取り巻いていたもの全てからの愛を諦めた。
これは、愛されず、しかし愛を求めて果てた少女の、その先の話。
※暇な時にちょこちょこ書いている程度なので、内容はともかく出来についてはご了承ください。
追記
六十五話以降、タイトルの頭に『※』が付いているお話は、流血表現やグロ表現がございますので、閲覧の際はお気を付けください。
毒を盛られて生死を彷徨い前世の記憶を取り戻しました。小説の悪役令嬢などやってられません。
克全
ファンタジー
公爵令嬢エマは、アバコーン王国の王太子チャーリーの婚約者だった。だがステュワート教団の孤児院で性技を仕込まれたイザベラに籠絡されていた。王太子達に無実の罪をなすりつけられエマは、修道院に送られた。王太子達は執拗で、本来なら侯爵一族とは認められない妾腹の叔父を操り、父親と母嫌を殺させ公爵家を乗っ取ってしまった。母の父親であるブラウン侯爵が最後まで護ろうとしてくれるも、王国とステュワート教団が協力し、イザベラが直接新種の空気感染する毒薬まで使った事で、毒殺されそうになった。だがこれをきっかけに、異世界で暴漢に腹を刺された女性、美咲の魂が憑依同居する事になった。その女性の話しでは、自分の住んでいる世界の話が、異世界では小説になって多くの人が知っているという。エマと美咲は協力して王国と教団に復讐する事にした。

婚約破棄ですか???実家からちょうど帰ってこいと言われたので好都合です!!!これからは復讐をします!!!~どこにでもある普通の令嬢物語~
tartan321
恋愛
婚約破棄とはなかなか考えたものでございますね。しかしながら、私はもう帰って来いと言われてしまいました。ですから、帰ることにします。これで、あなた様の口うるさい両親や、その他の家族の皆様とも顔を合わせることがないのですね。ラッキーです!!!
壮大なストーリーで奏でる、感動的なファンタジーアドベンチャーです!!!!!最後の涙の理由とは???
一度完結といたしました。続編は引き続き書きたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

ある王国の王室の物語
朝山みどり
恋愛
平和が続くある王国の一室で婚約者破棄を宣言された少女がいた。カップを持ったまま下を向いて無言の彼女を国王夫妻、侯爵夫妻、王太子、異母妹がじっと見つめた。
顔をあげた彼女はカップを皿に置くと、レモンパイに手を伸ばすと皿に取った。
それから
「承知しました」とだけ言った。
ゆっくりレモンパイを食べるとお茶のおかわりを注ぐように侍女に合図をした。
それからバウンドケーキに手を伸ばした。
カクヨムで公開したものに手を入れたものです。

公爵令嬢を虐げた自称ヒロインの末路
八代奏多
恋愛
公爵令嬢のレシアはヒロインを自称する伯爵令嬢のセラフィから毎日のように嫌がらせを受けていた。
王子殿下の婚約者はレシアではなく私が相応しいとセラフィは言うが……
……そんなこと、絶対にさせませんわよ?

初耳なのですが…、本当ですか?
あおくん
恋愛
侯爵令嬢の次女として、父親の仕事を手伝ったり、邸の管理をしたりと忙しくしているアニーに公爵家から婚約の申し込みが来た!
でも実際に公爵家に訪れると、異世界から来たという少女が婚約者の隣に立っていて…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる