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乙女ゲームに転生したようです。
第4話:クソ王子
しおりを挟む意識が戻っても、勿論すぐに動けるわけではなく、私は数日ベッドの住人となっていた。
記憶の整理ができると、3~4歳かと思っていた自分は、6歳だった。
前世との栄養状態の違いではなく、私個人の問題のようで、私を階段の上から突き落としたクソ王子は同い年だが前世の6歳と同じ位の体格だった。
いや、こっちの世界の方が早いうちに剣術だ何だかんだで鍛えるから、男子はむしろ体格が良いかも。
で、しつこいようだがクソ王子。
コイツが私を階段から突き落とした理由が『自分が読むより難しい本を読んでいて生意気だから』だ。
お前が馬鹿だからだろうが、クソが。
記憶が戻る前から、魂の影響なのか妙に悟りきった子だった私が気に食わないらしく、コイツはよく絡んで来ていた。
身体が小さい私が、王族の自分よりも魔力量が多いのもその一因らしい。
あ、そうです。
この世界、魔法があります。
魔物もいます。
私の容姿は、母親譲りの綺麗な水色の髪に、父親譲りの赤紫色の瞳。
この瞳がクランベリーのグミみたいですごい美味しそ……いや、綺麗。
父よりも赤みが強いんだよね、私の瞳。
私の記憶が確かならば、王族の始祖の血に近いほど赤みが近かったはず。
父は王家の親戚にあたるらしいが、葡萄色の美味しそ…ゲフン、綺麗な瞳である。
第一王子であるクソ馬鹿よりも、全然赤い。
ちなみにこのクソ王子は、ブルーベリーみたいな色の瞳で、言われれば赤い気もする?程度の赤みだ。
ついでに言うと、王家のくせに魔力量は一般貴族並みだしな!
陛下はアメリカンチェリーみたいな瞳をしているのに、不思議です。
第一王子だけど、王太子ではない。母親が側妃なんだよね。
第二王子を正妃様が産んでいる為、難しいんだよねぇ。第二王子は魔力量も多いし、瞳もラズベリー色。正に王族。
なものだから、陛下も臣下達も悩んじゃってるだろうね。
学年的には1個違いだけど、正確には3ヶ月しか年も違わないし。
これでせめて第一王子が優れた人間性ならね。
年功序列?それが適応されるんだろうに……。
まぁ、まだ6歳だから、様子見なんだろう。
さて、ちょっと頭の整理の為に、この世界のおさらいをしておこう。
魔力量は高位貴族ほど多いとされている。
公爵、侯爵、伯爵、子爵、男爵の順が一般的。
辺境伯は、魔力量は公爵とほぼ同等で、階級的には公爵と侯爵の間?管理する場所により、侯爵の下だったりするんだけど、詳しくは6歳の私が知るわけもない。
平民も少しは魔力があるので「生活魔法」と呼ばれるちょっと火が点けられるみたいな魔法は使えるらしい。
実際に見た事はないので本からの情報。
うちはメイドにも平民はいないもので。人気の職場なので、平民まで回る前に埋まってしまうのだ。
瞳の色や髪の色は魔力の影響が出易いらしく、貴族は基本的にカラフル。
でも腹の出たおっさんがピンクの髪とかちょっと引く。
既出だが、王家の始祖に近いほど瞳が赤い。
稀に父や私のように先祖返りしちゃう者もいるけどね。
始祖と呼ばれる王様は、本当に綺麗な赤い瞳だったらしい。
例えるならば、サクランボ?明るくて、真っ赤な色。
例えが全て食べ物なのは、子供脳だからなのか、私の力量不足なのか、食欲旺盛なせいなのか……。
そんな事を色々考えていたら、部屋にノックの音が響く。
何となく嫌な予感。無視しちゃおうかな。寝たふりっていうか。
「お嬢様、第一王子殿下がお見舞いにいらっしゃいました」
若干棘のあるメイドの声が扉越しに聞こえる。この棘は私に向けたものではなく、見舞いに来た人物に向けられたものだ。
そりゃそうだよね。
私を突き落とした犯人だし、私はそれを隠してない。
両親にも伝えたし、私付きのメイドにも勿論伝えた。
それを聞いた両親は「それなのに治癒師のひとりも寄越さなかったのか」と更に大激怒してましたとも。
多分、私と第一王子の婚約を両親が渋っていたのが原因だろうね。
2年は断り続けているよ。
治療して欲しければ、婚約しろくらいの事は言っていたのかもしれない。
大臣が。
ここ、大事。
陛下じゃなくて、大臣なのよね。治癒師派遣を断って来ていたの。
陛下は知らなくて、昨日、正式な詫び状が父に届いていたもの。
なぜ大臣が、かと言うと、この大臣は第一王子の母である側妃の実の父である。
腐ってるわ、王宮。
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