502 / 506
行きたい所へ行く!それが冒険。多分
第502話:招待と正体
しおりを挟む無事店内に入った俺達は、それぞれ好きな席に座る。
店の扉をくぐる時にリコンスが凄いドヤ顔で店員を見ていたので、とりあえず軽く後頭部を叩いておいた。
招待客リストみたいなのを店側に渡さなかった俺達にも非が有るから、来客を差別したのを余り責められない。
「それにしても、お前等のファンの情報網って凄いな」
俺の横に陣取ったレイを見上げる。
推しが店の予約をしたら、その情報を入手して追い掛けるって事だろ。
「予約したのは僕ではなく、オーべとジルドですから」
レイが首を横に振る。
どこから漏れたのか判らない、という意味なのだろう。
別に責めた訳では無く、素直に感心しただけなのだが、誤解させたようだな。
その時、入り口の扉が開かれる音がした。この店は引き戸式の入り口なので、開くとガラガラと音がするのだ。
「こんにちは!何で呼んでくれないの?」
ひょっこりと顔を出したのは、はれひめだった。
手には見た事の無い野菜の入った箱を持っている。
「食材持ってくれば入れてくれるんでしょ?」
そう言って近くのテーブルへ箱を置くはれひめ。
なぜリコンスは止められたのに、はれひめは入れたのかと思ったら、食材を持ってくれば入れる裏ルールが有るのか?
いや、それ、駄目だろう。
あ、リコンスを止めていた店員がもう一人連れて……誰だよ、ソイツ。
「いや、ホンマにゼクシィや!」
はれひめの後ろから入って来た大柄な男が、店内を見て大きな声を出した。
はれひめの連れなのかと顔を見ると、無言で顔を横に振られた。
知らないらしい。
「ゼクシィって、結婚情報誌かよ」
俺の前に座っていた咲樹が呆れたように呟く。
口調が素である。
「相方が買ってたな」
ユズコがゼクシィに反応した。
「ちんこに顔描く彼女か!」
思わず反応した俺の言葉に、ユズコの顔が疑問を浮かべる。
「ちんこに顔を描くのはツレで、相方じゃないぞ」
衝撃の事実!
「ツレは職場の同僚で、既婚男性だ」
それはどこから突っ込んで良いのか悩む相手だな。
「リコンスがヴィンの部屋に行って~、寝てるヴィンのちん子に顔を描くみたいなもんか~」
オーべがとても嫌な例えをしてくれる。
リコンスは未婚だが、まぁそこは問題じゃ無い。
「今重要なのは、ユズコの愉快なツレでは無いだろう?」
【sechs(ゼクス)】をゼクシィと呼んだあの男と、それを招き入れた店員だ。
剣呑な空気が入り口から店内へと広がり始めたその時、バチコーンととても良い音が響いた。
「誰が結婚情報誌や!しかも、もうお前には必要無いやろが!」
とても聞き覚えの有る声に、一気に場の空気が緩む。
大柄な男の影から姿を現したのは、手にハリセンを持ったタコ焼き屋のお姉さんだ。ハリセン?
「すまん、これがうちのや」
お姉さんは隣の大柄な男性の頭を掴み、無理矢理下げさせる。
「いつもうちのがお世話になっております」
今度は大柄な男性がにこやかに挨拶をする。
妻なのか、恋人なのか、商売の仲間なのか、どうとでも取れる便利な言葉「うちの」。
とにかくこれ以上誰かが来る前に、美味しい料理が食べたい。
「日本酒辛口、熱燗で」
店の奥へと注文した。
219
お気に入りに追加
1,454
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
我が家に子犬がやって来た!
もも野はち助(旧ハチ助)
ファンタジー
【あらすじ】ラテール伯爵家の令嬢フィリアナは、仕事で帰宅できない父の状況に不満を抱きながら、自身の6歳の誕生日を迎えていた。すると、遅くに帰宅した父が白黒でフワフワな毛をした足の太い子犬を連れ帰る。子犬の飼い主はある高貴な人物らしいが、訳あってラテール家で面倒を見る事になったそうだ。その子犬を自身の誕生日プレゼントだと勘違いしたフィリアナは、兄ロアルドと取り合いながら、可愛がり始める。子犬はすでに名前が決まっており『アルス』といった。
アルスは当初かなり周囲の人間を警戒していたのだが、フィリアナとロアルドが甲斐甲斐しく世話をする事で、すぐに二人と打ち解ける。
だがそんな子犬のアルスには、ある重大な秘密があって……。
この話は、子犬と戯れながら巻き込まれ成長をしていく兄妹の物語。
※全102話で完結済。
★『小説家になろう』でも読めます★
『自重』を忘れた者は色々な異世界で無双するそうです。
もみクロ
ファンタジー
主人公はチートです!イケメンです!
そんなイケメンの主人公が竜神王になって7帝竜と呼ばれる竜達や、
精霊に妖精と楽しくしたり、テンプレ入れたりと色々です!
更新は不定期(笑)です!戦闘シーンは苦手ですが頑張ります!
主人公の種族が変わったもしります。
他の方の作品をパクったり真似したり等はしていないので
そういう事に関する批判は感想に書かないで下さい。
面白さや文章の良さに等について気になる方は
第3幕『世界軍事教育高等学校』から読んでください。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
異世界でのんびり暮らしてみることにしました
松石 愛弓
ファンタジー
アラサーの社畜OL 湊 瑠香(みなと るか)は、過労で倒れている時に、露店で買った怪しげな花に導かれ異世界に。忙しく辛かった過去を忘れ、異世界でのんびり楽しく暮らしてみることに。優しい人々や可愛い生物との出会い、不思議な植物、コメディ風に突っ込んだり突っ込まれたり。徐々にコメディ路線になっていく予定です。お話の展開など納得のいかないところがあるかもしれませんが、書くことが未熟者の作者ゆえ見逃していただけると助かります。他サイトにも投稿しています。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
没落した建築系お嬢様の優雅なスローライフ~地方でモフモフと楽しい仲間とのんびり楽しく生きます~
土偶の友
ファンタジー
優雅な貴族令嬢を目指していたクレア・フィレイア。
しかし、15歳の誕生日を前に両親から没落を宣言されてしまう。
そのショックで日本の知識を思いだし、ブラック企業で働いていた記憶からスローライフをしたいと気付いた。
両親に勧められた場所に逃げ、そこで楽しいモフモフの仲間と家を建てる。
女の子たちと出会い仲良くなって一緒に住む、のんびり緩い異世界生活。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
前代未聞のダンジョンメーカー
黛 ちまた
ファンタジー
七歳になったアシュリーが神から授けられたスキルは"テイマー"、"魔法"、"料理"、"ダンジョンメーカー"。
けれどどれも魔力が少ない為、イマイチ。
というか、"ダンジョンメーカー"って何ですか?え?亜空間を作り出せる能力?でも弱くて使えない?
そんなアシュリーがかろうじて使える料理で自立しようとする、のんびりお料理話です。
小説家になろうでも掲載しております。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
侯爵家の愛されない娘でしたが、前世の記憶を思い出したらお父様がバリ好みのイケメン過ぎて毎日が楽しくなりました
下菊みこと
ファンタジー
前世の記憶を思い出したらなにもかも上手くいったお話。
ご都合主義のSS。
お父様、キャラチェンジが激しくないですか。
小説家になろう様でも投稿しています。
突然ですが長編化します!ごめんなさい!ぜひ見てください!
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!
ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。
悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
聖女の私が追放されたらお父さんも一緒についてきちゃいました。
重田いの
ファンタジー
聖女である私が追放されたらお父さんも一緒についてきちゃいました。
あのお、私はともかくお父さんがいなくなるのは国としてマズイと思うのですが……。
よくある聖女追放ものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる