ほんわりゲームしてます I

仲村 嘉高

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行きたい所へ行く!それが冒険。多分

第498話:可愛い従魔と可愛くない従……魔?

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 アモンとアニンがプーリのパイの端っこを齧って、ペッペッと不味そうに吐き出しているのを見て、インベントリから魔物果物を出してやった。
 オッサンが満面の笑みの葡萄だ。
 皮ごと食べられる品種なのだが、俺は絶対に皮を剥く。
 しかしアモンもアニンも皮ごといくので、頭から丸齧りな猟奇的な絵柄になる。
 誰だよ、魔物果物を考えた奴は!

<きゅ!>
 中空を眺めて遠い目をしていたら、目の前でヨミに鳴かれた。
「うぉ!」
 近い近い近い近い!
 いつの間にか傍に居たレイの頭の上に、ヨミが乗っている。

「何をしている?」
 中腰になっているレイを半眼になって見る。焦点が合わないからだ。
 ヨミが近いという事は、当然レイの顔も近い。
「いえ……」
 そっと顔を逸らしたのは、笑ってるからか?ん?

 レイが顔を逸らせば、上に乗っているヨミの方向も変わる。
 俺とは違う明後日の方向へ向いてしまったヨミは、レイの頭を足で叩いて不満を表した。
 そもそもそこに乗っているのが間違いだからな、ヨミ。


 魔物果物が大好きなヨミと、テラに連れられて来たドーロにも魔物葡萄を渡す。
 また頭から丸齧りである。
 魔物果物が鳴かない品種で良かった。
 魔物野菜は歌ったり話したりするからな。
 叫ぶのは玉葱だったか、茄子だったか。
 蕃茄が爆発するのは覚えているのだが……。

 気が付いたら、皆が俺に注目していた。
 この場合の皆は周りの野次馬のように俺達を見ている客ではなく、うちの従魔達の事である。

 もしや皆も魔物果物をご所望ですか?
<林檎!林檎が良いにゃ!>
 あ、はい。
<シズカはね、桃が良い!>
 はいはい。かしこまりました。

 二匹に魔物果物を出してやれば、当然他の子達も欲しがるわけで……デザートタイムとなりました。はい。
「ガルムは?何が良い?」
 最後まで自己主張せずに、俺の隣で座っているガルムを見上げる。
<主の与えてくれる物ならば、全て美味いからの。何でも良いぞ>
 ガルム!紳士というか、従魔の鑑だ。

 とりあえず抱き着いて、ふわっふわな胸の毛エプロンを堪能してから、林檎入りのホットケーキを出した。
 依怙えこ贔屓ひいきだとリルとムンドの兄弟が騒いでいるが、それが何か?
 こっそりガルムに一口貰っているヨミは、さすがとしか言いようが無い。


「僕には無いのですか?」
 レイが言ってくるが、お前は俺の従魔では無いだろうが。
 何も言っていないが、視線で理解したのだろう。
「獣化、銀狼」
 少し離れて呟いたレイは、銀狼へと変化した。
 いやいや。それでもレイは俺の従魔では無いからな?

 だが、ここまでして食べたいのならば仕方が無い。
「人に戻るなよ」
 ニヤリと笑った俺の顔は、かなり意地悪なものだろう。自覚はある。
 レイの前に林檎入りホットケーキの載った皿を置く。

 いや、さすがにね。俺も本気で言ったわけでは無かったのだが。
 周りの目も若干痛いし、一口食べたレイに元に戻るように言おうとした。
 言おうとしたのだよ。
 それなのに、離れた所から「うお!ズルくね!?」と言う声が聞こえ、走って来るユズコの姿が……。
 途中で飛び上がり、「獣化、白虎」と叫んで空中で白虎に変化し、一回転して着地という曲芸まで披露してくれた。

 白虎になって、レイの銀狼の隣におすわりするユズコ。
 これ、絶対に目撃した異界人プレイヤーに掲示板で好き勝手書かれるパターンだよな。



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同一作品の分割掲載は禁止となっておりますが、話数が多くなりアプリでの管理が重くなったので問い合わせしたところ、分割を許可されました!
今の章が終わったら、次章から「続・ほんわりゲームしてます」になりますので、よろしくお願いします。

その時には、もう一度インフォメーションさせていただきます。
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