ほんわりゲームしてます

仲村 嘉高

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行きたい所へ行く!それが冒険。多分

第490話:踏んだもの

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 踏んだ。
 思いっ切り踏んだ。

 フラグでもイベントでも無く、自分の従魔を。

 そして今、バランスを崩して倒れている途中である。



「10割って見えるんだけど」
 リコンスが俺の手元を見て呟いたのが、商業ギルドを出てすぐの所だ。
 商業ギルド内で別行動していたリコンスと合流していた。
 応接室へ案内されたのを見ていたようで、何が有ったのか説明をしたのだ。

「何割でも構わん。使わないからな」
 貰った商業ギルドの割引カードをインベントリへと放り込む。
 俺はこの街で散財すると決めている。
 無料タダにされてたまるか。

「え?それってお連れ様もどうぞ~のヤツでしょ?リコ使いたい!」
 リコンスが歩きながら、俺の服を掴み甘えた仕草をする。
 これがコイツのオネダリの技なのだろう。
「うるさいぞ」
 無視して歩いていたら、更にしなれ掛かってきた。

 そんなリコンスの顔を押しやり、目的地に向かって歩く。
 レイは止めるか見守るか、俺達の後ろで逡巡している。
 ジルドは、あれから俺に無視されているので、落ち込んで後ろから静かに付いて来ていた。

 そして待ち合わせの噴水広場へたどり着き……俺はタダムネを踏んだ。
 リコンスと絡みながら歩いていたので、タダムネが居た事に気付かなかったのだ。
 いや、その前に、なぜタダムネが地面に転がっている!?
 ……当然の疑問を、傾く視界の中で考えていた。



 覚悟したような衝撃は無く、ボフンと慣れた感触に俺の体は迎えられた。
あるじよ、大丈夫か?>
 おぉ!有能な俺の執事、ガルムが影から出て来て、倒れる俺を受け止めてくれたのか。
 呼ばなくても勝手に影から出て来られるのか?

「えぇえ!?今、呼んでないのに影から出て来たよね!?」
 あ、やっぱり普通では無いようです。
 ミロがガルムを指差して驚いている。
「ありがとうな、ガルム」
 普通だろうが違かろうが、ガルムが俺を助けてくれた事に変わりは無い。
 ガルムにお礼を言うと、無言で頭に頬擦りされた。


 因みにタダムネが地面に転がっていた理由は、ムツゴロウのようにヒレを使って歩く事が出来るかの実験をしていたらしい。
 飛べるし、と言うか浮遊出来るのだから、態々わざわざ歩く必要無くないか?
「そもそもなぜ、タダムネが地面を歩く話になった?」
 保護者的立場にいたオーべに問い掛ける。

「知的好奇心~?」
 何か頭良さげな事を言っているが、駄目だぞ、オーべ。
 ただ単に皆で楽しく遊んでいただけだろう?
<タダムネ~、次は横に転がってみて~>
<浮いては駄目だからね~>
 俺に踏まれてもビクともしないタダムネに、テラとピリリが新たな要求をしている。

<うむ、心得た!>
 タダムネが魚とは思えない音を立てながら、石畳を皆の所へ転がって戻って行った。
 よく見たら、タダムネの首にはムンドがはまっている。
 自分の尻尾を咥えて輪になっているから静かだったのか。

「アイツ等の会話を聞いていると、止める気力を奪われるぞ!」
 ガルムに埋もれていた俺を抱き上げ、肩に乗せながらユズコが言う。
 ユズコにここまで言わせるとは、どのような会話をしていたのやら。


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